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高級品を扱う店舗などに車で突っ込み、短時間で手に取ることができる商品を、手当たり次第にその車に投げ込んで、ものの1、2分で逃
走するという犯罪の手口があります。雄羊(Ram)が突進する(Raid)かのごとくに店舗に突っ込んで盗みを行うことから、海外では「Ram Raid
(ラム・レイド)」と呼ばれています。この手口による窃盗が、日本でも見られるようになってきました。
社会の情報化や国際間移動の活発化に伴い、海外で開発された犯罪手口がすぐに日本に入ってくるようになってきています。海外における
「ラム・レイド」対策である、「車に対するバリケード」などを日本で見る日も近いのかもしれません。
さて、皆さんは「ナイジェリアの手紙」「スペインの囚人」と聞いて、これが何だか分かりますでしょうか? 先の「データから読む」で
、2009年の振り込め詐欺の被害が減少したことについて紹介しましたが、実は、これらの耳慣れない言葉は、世界的に有名な、古典的振り
込め詐欺の手口に付けられた名称なのです。
前者は「自分はナイジェリア政府の元高官で、裏から入手した巨額資金を資金洗浄するために、お礼はするので、あなたの口座を経由させ
て欲しい。ついては送金手数料を・・・」と言うもの、後者は「スペインで人違いによって囚われの身になった大富豪の保釈金を出しても
らえば、お礼はたんまり・・・」と持ちかけるものです。これらの振り込め詐欺は、昔は手紙などの手段でなされていたのですが、ネット
の普及により、非常に簡単にかつ大量に情報を送ることができるようになったため、最近は電子メールによるものが中心になっています。
古くから世界的に有名なこれらの詐欺ですが、日本においては「ナイジェリアの手紙」「スペインの囚人」と聞いても、ピンと来る人は多
くはありません。日本語という「言葉の壁」が、これらの詐欺を防いでくれていたことが、その一番の理由と考えられます。
しかしながら、昨今、この日本語という「言葉の壁」に風穴が開けられようとしています。ネット上にある翻訳サイトで外国語を翻訳して
みると、完成度としてはまだまだなものの、その言いたいことの大部分を理解できる日本語が出力されてきます。国際的な詐欺グループが
、これらの翻訳手段を使って、日本社会を狙ってくる日はそう遠い未来ではないのかも知れません。
日本は、四方を海に囲まれ、長い間、それによって独自の文化が育まれ、安全が守られてきたという歴史をもっています。しかしながら、
航空機による国際間移動の活発化や、ネットによる情報化社会の活発化によって、この海や文化によって守られてきた安全が脅かされつつ
ある状況が出現しはじめています。われわれは、世界で行われている犯罪の手口にさらされる時代に生きているということを忘れてはいけ
ないのです。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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