ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 子どもの事故原因を取り除く活動
夏休みシーズンに入り、学校以外の場所で子どもたちが活動する時間が長くなっています。お子さんをお持ちの読者の方は、大なり小なり、お子さんの振る舞いでひやりとされた経験があるかと思います。小さい子どもは油断ができません。お風呂でふざけて蛇口に頭をぶつけてケガをしたり、ベランダの手すりによじ登ったり、大人が予想だにしないことをしてしまいます。一歩間違えば命を落としていたかもしれない、小さいお子さんをお持ちの親御さんでこう思われたことがない方のほうが実は少ないのではないでしょうか。
2004年3月に6歳のお子さんが自動回転ドアに挟まれて亡くなるという不幸な事故が起きました。この事故に対する原因を解明し、同じような事故で子どもが命を落とすことがない事を願い2004年6月に「ドアプロジェクト」が、そして2005年6月に、子どもの事故原因について調査し、その知見を事故の予防に活かすための「事故サーベイランスプロジェクト」が設立されました。そして現在、このプロジェクトは発展的に改組され、産官学が連携したNPO法人「キッズデザイン協議会」として、子どもが遊具や身の回りの品々によって命を落としたり、大けがをしたりする事故を少しでも減らすことを目指して、精力的な活動を展開しています。セコムもこの協議会の設立趣旨に賛同し、発足当時から理事を出す形で積極的に関与しています。
子どもが命を落とす原因で最も多いものは「不慮の事故」、先進諸国はどこも共通で、落命原因の一位になっています。この事実にいち早く注目した諸外国では、子どもの事故原因の調査と対策がなされ、不慮の事故による子どもの落命率が大幅に低減しました。子どもの事故は、その原因を取り除くことで防ぐことができます。一方、逆に原因を取り除かなければ、繰り返されるということも分かっています。
「箱形ブランコ」が、全国の児童公園などから一斉に撤去されたことを覚えている方も多いかと思います。多数の子どもたちが、箱形ブランコと地面の間に挟まれるという事故によって、命を落とし続けていたからです。撤去は、箱形ブランコの事故により命を落とす子どもが絶えないという客観的データに基づいて行われました。撤去以来、事故は起こりようがないので統計データはありませんが、この施策によって、実際に多くの子どもたちの命が救われ続けているのは間違いありません。
子どもの事故は、原因が突き止められ、それが解消されない限りある確率で必ず繰り返されます。生活の場で起きる、子どもの事故情報の収集・分析、そして身体・行動の計測・分析などを、保護者・病院・有識者・企業・自治体・政府が連携・協力して行うことで、子どもの事故原因を究明し、その成果を製品やコンテンツのデザインに活かそう、そしてそうすることで、子どもの事故を防いでいこう、というのがキッズデザイン協議会の設立趣旨になっています。
子どもが被害者になる事件については、最近の社会情勢もあり、ずいぶん目がいくようになって、多くの対策が施されるようになってきました。一方、子どもの事故については、ようやく人々の目が向きつつあるところであり、今後ますます努力してその数を減らしていかなければなりません。事故事例を収集し、その原因を究明して、それを潰していく地道な活動が必要となっています。
将来のある命という観点では、それが失われることで家族が受けるダメージと社会に与える損失は、その原因が事件であろうと事故であろうと関係ありません。どうやったら子どもの命を守ることができるか、子どもの事故に対しても、このような観点で活動すべき時がきているのです。
(参考)
セコムと話そう「子供の防犯」ブログ
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |