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不正解錠「カム送り解錠」の対策

 前回、不正解錠には大きく分けて「ピッキング」「カム送り解錠」「サムターン回し」の3つの種類があることに触れましたが、今回はこれら不正解錠の手口のうち、「カム送り解錠」について考えてみます。

「カム送り解錠」とは、ドアの外側で、鍵穴のある出っ張った部分をつまんで引くことでできる隙間に、特殊な道具を挿入して、錠内部の機構部を操作することで解錠する手口です。錠に差し込まれた鍵が正規のものかどうかを判断する部分(シリンダー)をバイパスして、機構部を操作することから「バイパス解錠」とも呼ばれます。

 前回お話しした「ピッキング」と呼ばれる手口は、錠の中で門番に相当するシリンダーを、特殊な工具を用いてだますことで、正規の鍵がなくても、シリンダーに正規の鍵が挿入されたと認識させて、解錠してしまう手法です。シリンダーには工具を用いた傷跡が残ります。一方、「カム送り解錠」は、門番であるシリンダーをとばして、錠の機構部を直接操作する手口であることから、シリンダー部に工具による痕跡が残りません。そのため、「カム送り解錠」は、被害を受けても、後からはその手口が分かりにくく、「施錠忘れ」や「合鍵」によるものだと判断されやすいという特徴を持っています。

「カム送り解錠」に対して弱いカギの型番は、警察庁から公表されていますので、気になった方は、ご自宅のドアを確認してみてください。カギのメーカー・型番は、ドアの縁の、かんぬきが出入りする部分のプレート部(アーマープレート)に刻印されています。

「カム送り解錠」への簡便な対策としては、ドアの外側から錠本体への侵入を許す、鍵穴のある出っ張った部分をつまんで引っぱるとできる隙間を、ホームセンターなどで市販されているスペーサーで埋めてしまう方法があります。しかしながら、外から後付ではめたものを外すことは、決して不可能ではないため、この方法は、恒久的な対策と考えない方が無難です。

「カム送り解錠」に対する根本的な対策は、錠そのものに「カム送り解錠」の対策をするよう専門家に依頼することです。錠の機構部に存在する脆弱性を解消することで、本質的にカム送りという不正解錠を不可能にしてくれます。また、本錠に加え、カム送りを含む不正解錠に強い補助錠を設置するのも一案です。
カギは、さまざまな財産を守るもっとも基本的セキュリティ対策です。ぜひ今すぐご自宅のドアを確認してみてください。

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文

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