ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 不正解錠「ピッキング」の対策
以前、あるマンションの個人宅へお伺いしたのですが、築10年ちょっとのマンションで、外観や内装は手入れがなされていてきれいなものの、使われている設備類は建築当時のものがそのまま使われている物件でした。そのマンションで特に気になったところは、玄関の「カギ」でした。住民の多くの方が、不正解錠があまり問題になっていなかった当時のカギをそのまま使われている状況だったのです。すなわち、最近の不正解錠手口に対して脆弱なままであったと言えます。
(ここでは便宜的に「カギ」と表記していますが、正確には「錠前」と言い、扉側の「錠」と、錠を開閉するために持ち歩く「鍵」がセットになったもののことです)
マンションへの侵入手口の多くが、無施錠も含め玄関のカギ周りに関するものです。玄関などに取り付けられたカギを破る、不正解錠には大きく分けて「ピッキング」「サムターン回し」「カム送り解錠」の3つの種類があります。今回はこれら不正解錠の手口のうち、「ピッキング」について考えてみます。
「ピッキング」は、もともとカギの専門家が、鍵をなくした場合に解錠するための特殊技能で、ピッキングツールと呼ばれる特殊工具を鍵穴に入れて、解錠するためのテクニックです。ピッキングに弱いカギは、この解錠テクニックを使うとものの数秒で開いてしまいます。
ピッキングツールの販売や所持が法律で厳しく制限され、またカギのメーカー側でもこの手法で簡単に解錠できるカギの供給を止めたことから、数は減ってきていますが、この手口に弱いカギはまだまだ世の中にたくさんある状況です。この手口に対する根本的な対策は、カギを交換することです。
「ピッキング」に弱いカギは日本ロック工業会のホームページで公表されていますので、自分の玄関扉についているカギが、この手口に弱いカギであった場合、早急に交換を考えた方が良いでしょう。交換にかかる費用は、交換を依頼する業者にもよりますが、そんなには高くありません。カギを「ピッキング」などの不正解錠に対応する新型に交換するだけで、玄関周りの防犯性能が大きく向上します。
マンションの場合、各住戸で同じタイプのカギが使われているため、泥棒にとっては一つやるも二つやるも同じ手法でカギ破りができてしまいますので、狙われやすいのです。マンションでカギを交換する場合、管理組合で話し合って、一気にすべての住戸を交換してしまうことをお勧めします。
マンションのベランダに面する窓は、特に上層階の場合、人の視線を期待することができないため、隣の住戸に侵入されてしまうと、今度はベランダ越しに隣から侵入されるリスクを無視できないためです。一般に、マンションのベランダに設置されている隣との仕切り板は、災害時の非難を考えて、簡単に破ることができるようになっています。加えて、全戸同時にカギ交換をすると、マンション入り口にあるオートロックを開けるための逆マスター錠(どの住戸の鍵でも解錠できる錠)も交換できるため利便性も向上します。
コンピュータセキュリティの分野では、OSやアプリケーションソフトに、新たな脆弱性が発見されると、その対策を随時行うのが当たり前になっています。実世界の代表的セキュリティツールであるカギも、最新の侵入手口対策という観点からぜひ見直してみてください。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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