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昭和初期、東京日本橋であったビル火災から得たもの

・クリスマスイルミネーションが原因の過去の大火
 前回のコラムで、この季節の風物詩であるクリスマスイルミネーションが、過去、大きな火災の原因になったことがあることに触れました。今回は、このクリスマスイルミネーションが原因となって発生した、日本の消防史上に残る大火となった事例を紹介し、色々考えてみたいと思います。

 実は、本日12月16日は、消防関係者の間では、日本で最初の高層建築物火災である「白木屋大火」があった日として記憶に残る日なのです。今から80年ほど前の1932年12月16日、当時、東京日本橋にあった「白木屋」というデパートが大火に見舞われました。おもちゃ売り場に置いてあったクリスマスツリーのイルミネーションから出火し、それがまたたく間に燃え広がって大きな火災となったのです。

 当時の人々は、時代の最先端をいく耐火構造の高層建築物において火災が発生し、多くの人が亡くなる惨事につながるとはよもや考えていなかったようです。この火災は、当時の人々に高層建築物における防火、避難等における多くの教訓をもたらしました。

・燃えるモノも沢山あった
 この火災では、年末商戦のため売り場に山積みになった商品という「もえぐさ」が大量にあったことも事態を悪くする方法に働きました。出火場所が玩具売り場だったこともあり、出火した火が、当時の玩具の主な素材であったセルロイドに引火し、爆発的に燃え広がる大きな要因となったのです。

 ちなみに、童謡「青い眼の人形」の歌詞にもあるセルロイドは、その加工性の良さから、玩具のみならず様々な日用品の素材として当時よく使われていた合成樹脂でした。モノが燃えるための3つの要素、「熱源」、「可燃物質」、「酸素供給」の後ろ2つの性質を単独で有している非常に燃えやすい合成樹脂であり、その危険性のため、今ではほとんど使われていません。

・高層建築物における防火対策のきっかけに
 この火災が起こった昭和初期には、ビルに防火区画は存在せず、階段やエスカレーターなどが煙突となって煙が拡がることも想定されていませんでした。警報設備や避難器具なども存在せず、これが火災の被害を大きくすることにつながりました。さらに当時の消防機材は、このような高層建築物の火災を想定していなかったため、消火栓の圧力や水量が不足し十分な消火活動ができなかっただけでなく、はしご車のはしごも高さが不足し、屋上には届かなかったという記録が残っています。

 この火災によってもたらされた多くの教訓は、高層建築物における消防、防災の技術、法令、運用面の変革のきっかけとなり、その後のビル建設におけるさまざまな消防、防災面のルール制定の面で、社会に大きな影響を与えました。現在の消防法では、「高さ31mを超える建築物」は高層建築物と見なされ、さまざまな防火防災設備の設置が義務づけられると共に、訓練や防火管理などの運用面の対策もしなければならないルールとなっています。

・災害に対する人々の意識も重要
 当時と比較し、このような建物自体の防火性の向上と共に、火災などの災害に関しての人々の意識の変化も忘れてはいけません。現代社会で行われる訓練は、火災などの大きな災害に対して人々の意識を向上させる、一種の災害教育とも解釈できます。災害に対しての多方面からの調査を行い、「天災は忘れた頃にやってくる」という名言で知られる明治時代の物理学者・随筆家である寺田寅彦は、この火災について書いた「火事教育」という随筆で、一般市民、特に子どもたちに対する「災害教育」、すなわち火災への意識向上の必要性を提言しています。

 誰もが、生活する上においては、火災に限らずともトラブルに直面するリスクを抱えています。いざトラブルに直面した際、迅速に、そして適確に行動を起こすためには、その状況に応じた正しい「情報」が欠かせません。その意味で「情報」は、生活する上でのセキュリティの基本であると言っても良いのかも知れません。

 寺田寅彦が提言した人々への災害教育、啓発活動は、このような「情報」の伝達にあたり、今では「リスクコミュニケーション」と呼ばれるようになっています。このこともあり、セコムでは、防犯、防災に限らない広い意味でのリスクコミュニケーションの一環として、本コラム「安心豆知識」をはじめとして、「データから読む」「子どもの安全ブログ」などの形で、生活上で考えられるリスクへの対応する基盤となる情報をお伝えしようとしているのです。

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セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文

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