その他安全 2026年05月01日

モバイルバッテリー機内持ち込みの新ルール

▼モバイルバッテリーはなぜ機内持ち込みのみ?
近年、航空機内でモバイルバッテリーが発煙・発火するトラブルが国内外で報告されています。
閉鎖空間である機内では重大事故に直結しかねません。

こうしたリスクに対応するため、以前からモバイルバッテリーは預け入れが禁止されており、異常が起きた際にすぐ対処できるよう、手元で管理する「機内持ち込み」が原則とされてきました。

しかし、リチウムイオン電池に関連する火災の増加を受け、国際民間航空機関(ICAO)はさらなるリスク低減を目的とした国際基準の見直しを実施。
これに基づき、国土交通省は2026年4月24日から新たなルールを適用しました。

「これまで大丈夫だったから」という慣れや思い込みは、危険をまねきます。
最新のルールを正しく把握し、一人ひとりが安全を守る意識を持つことが重要です。

▼最新版「機内持ち込みルール」の変更点
2026年4月24日から適用されたモバイルバッテリーの機内持ち込みに関する「新ルール」のポイントをまとめます。

・機内持ち込みは1人につき2個まで(※)
これまでは容量によって個数制限がないケースもありましたが、合計2個まで(160Wh以下に限る)に制限されています。デジタルカメラなどの予備バッテリーは100Wh以下であれば個数の制限はありません。

・機内でのモバイルバッテリー本体への充電禁止(※)
機内に設置されたコンセントやUSBポートなどからモバイルバッテリー本体への充電は禁止です。

・機内での他機器への充電をしない
モバイルバッテリーを使って、スマートフォンなど、ほかの電子機器を充電することもNG。
スマートフォン等の充電が必要な場合は、機内電源を利用するようにしましょう。

また以下の「従来ルール」による安全管理も引き続き徹底が求められます。

・預け入れ荷物にモバイルバッテリーを入れない(※)
預け入れ荷物(受託手荷物)に入れることは航空法で禁じられています。
必ず機内持ち込み手荷物として管理してください。

・収納棚にモバイルバッテリーを入れない
機内持ち込み後も、座席上の収納棚には入れず、座席テーブルや座席ポケットなど、異常が起きたらすぐに気づける場所で管理します。

・ショートを防止する(※)
端子に絶縁テープを貼る、個別のケースや袋に収納するなどして、ほかのバッテリーや金属品と触れないように保護してください。

※が付いた項目については、罰則が科される可能性があります。
その他のルールについても、航空会社の判断により搭乗を断られる場合がありますので注意しましょう。


▼mAhではわからない?モバイルバッテリー容量の見方
制限の基準となる「160Wh(ワット時定格量)」は、市販のバッテリーに多い「mAh(ミリアンペア時)」表記ではイメージしにくいものです。
自分のモバイルバッテリーが制限対象かどうか、あらかじめ計算して確認しておきましょう。

【Wh(ワット時定格量)の換算式】
Wh=(mAh÷1000)×電圧(V)

たとえば、容量が「10000mAh」で、電圧が「3.7V(一般的なリチウムイオン電池の電圧)」の場合、換算式は、「(10000mAh÷1000)×3.7V=37Wh」となります。
このスペックであれば、合計2個まで航空機内に持ち込むことが可能です。

なお、「160Wh」は電圧3.7V換算でおよそ43,000mAhに相当します。
市販されている多くのモバイルバッテリーはこれより小さい容量ですが、大容量モデルでは上限を超える可能性もあるため、注意してください。

また、モバイルバッテリーそのものの状態も確認しておきましょう。

・印字やスペックの確認
本体に記載されたスペックの文字が小さくて読めなかったり、印字が消えたりしていると空港での確認に時間がかかったりや持ち込みができない場合があります。
事前に取扱説明書のコピーやメーカーの仕様書を用意しておくと安心です。

・劣化によるリスクの回避
スペック表記の印字が消えるほど使い込んでいる、あるいは本体が変形しているようなバッテリーは、内部の劣化が進み発火リスクが高まっている可能性があります。

空の旅の安全を守るために、ルールに適合した新しい製品への買い替えを検討することも、大事な安全対策のひとつです。


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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ 上級研究員
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

「信頼される安心を、社会へ。」提供するために、ビジネスに必要な情報の収集と分析および検証(インテリジェンス)により、犯罪情勢を中心にして体系的知識として蓄積・活用できるようにする研究を行い、これらを利活用する諸活動を実施。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

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