その他安全 2025年10月03日

登山での事故・遭難と安全対策

▼ 観光登山でも山岳事故は多い
警察庁によると、2024年に発生した山岳遭難は全国で2,946件。
遭難者は3,357人にのぼります。

原因は「道迷い」(30.4%)、「転倒」(20.0%)、「滑落」(17.2%)が上位です。
遭難者の約8割が40歳以上で、さらに半数は60歳以上となっています。

山での事故や遭難の背景には、天候判断の甘さや装備不足、体力にあわない無理な行程といったいくつかの要因が重なっているケースが少なくありません。
知識・経験・体力の不足が重なると、観光登山や日帰りコースでも命にかかわる事故につながります。

紅葉を楽しむつもりで気軽に入山して、「日帰りだから大丈夫」という油断が遭難やけがを招くことも考えられます。
標高が1,000m以下の高尾山など、観光地として人気の山でも、こうした事故は毎年発生していることを忘れないでください。

▼ 秋登山の事前準備チェックリスト
観光登山や日帰り登山でも、準備不足は事故につながります。

・山の選び方
標高やコースタイムを確認し、自分や同行者の体力・経験にあった山を選びましょう。
初めて登山をする人は、アップダウンが少ない整備されたコースを選ぶのが安心です。

・服装、装備の選び方
体温調整がしやすいレイヤリング(重ね着)が登山の服装の基本。
足元は、滑りにくく、捻挫予防にも有効な登山靴がおすすめです。

・必携品のチェック
水、非常食、タオル、手袋、雨具、防寒具、ライト、救急セット、モバイルバッテリーなど。
スマホの電池切れや圏外に備えて、紙の地図とコンパスを用意しておくと安心です。
足腰に不安がある人や長い下りがあるコースでは、トレッキングポールが活躍します。
負担を分散できるので、体力に自信のない人にも有効です。

・登山届を忘れずに
一部の山域では提出が義務化されています。
提出が難しい場合も、行き先や帰宅予定を家族や友人に伝えておくことが最低限の備えです。

登山届は、救助が必要になった際の大切な情報源。
観光登山でも提出が推奨されています。
スマートフォンから簡単に提出できるアプリや、都道府県警察、自治体のウェブフォームもあるので積極的に活用しましょう。


▼ 山で気をつけることと無理をしない判断
観光登山やハイキングコースでも、自然のなかではさまざまな危険があります。
次の点に注意しましょう。

・決められたルートを歩く
近道に見えても脇道や獣道に入ると、道に迷う原因になります。
必ず標識のある整備ルートを歩きましょう。

・整備された道でも油断しない
木道や石段は濡れると滑りやすく、落ち葉に隠れた段差や根に足を取られることがあります。
足元に注意しながら、一歩一歩慎重に進みましょう。

・混雑に注意
紅葉シーズンは、登山ルートでの渋滞やすれ違いが増え、人と接触して転倒することもあります。
譲りあいと声かけを心がけましょう。

・下りの体力管理
登りよりも下りで筋力を消耗するため、必ず余力を残して行動しましょう。

・日没に注意
秋は日暮れが早く、16時を過ぎると急に暗くなります。
下山時刻を意識して行動することが大切です。

・エスケープルートを確認しておく
退避ルートを把握しておき、無理をせず安全第一で行動してください。
体調不良や天候悪化の際は、途中で戻る決断も必要です。

「せっかく来たから」と無理をすると、事故やけがに直結します。
整備された初心者向けのコースでも、土地勘がない自然のなかでは、どんなトラブルが待ち受けているかわかりません。
万が一のときは、「戻る勇気」が自分を守ります。
慎重な準備と冷静な行動で、安全な山歩きを楽しんでください。


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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

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