防犯 2026年07月03日

急増するボイスフィッシングの手口と対策

▼急増する「ボイスフィッシング」の正体とは
ボイスフィッシングは、ビッシングとも呼ばれ、電話の音声を利用して個人情報や金融情報を盗み取る詐欺の手口です。
メールやSMSを使ったフィッシング詐欺と同様に金融機関や公的機関、宅配業者などを装い、もっともらしい理由で情報を聞き出そうとします。
言葉巧みに人を操って情報を盗み出す「ソーシャルエンジニアリング」の一種とされ、被害事例が報告されています。
犯行グループは、金融機関や公的機関、あるいは日常的に使う宅配業者などを名乗り、偽の自動音声で私たちの不安や焦りをあおってきます。

【金融機関・公的機関を名乗る例】
「あなたのカードが不正利用されている可能性があります」
「インターネットバンキングの更新手続きが必要です」
「●●省の調査です。個人情報保護法の改正にともない、情報の再確認が必要です」

【宅配業者を名乗る例】
「商品の発送に必要な情報が不足しています。クレジットカード情報を再度お知らせください」
「住所に間違いがあり、荷物が届けられません。お手続きをしてください」

自動音声で「●(数字)を押してください」と操作させるケースや、指定の電話番号に掛け直させる(リバースビッシング)手口も報告されており、人間のオペレーターにつながるケースもあります。

さも本物の手続きであるかのように、言葉巧みにクレジットカード番号や暗証番号、個人情報を聞き出そうとするのです。
また電話の後に必要な手続きを装って、フィッシングサイトに誘導するメールやSMSを送りつけてくるパターンも確認されています。

▼なぜ「ボイスフィッシング」にだまされてしまうのか
電話を使って接触し、個人情報や金銭をだまし取る手口は「オレオレ詐欺」をはじめ、以前から多数存在しています。
しかし近年、自動音声ガイダンスを悪用することで、一度に大量の相手へ電話をかけられるようになりました。これまでより、効率よく大量にターゲットへ接触することが可能になっています。

「自動音声なら、すぐに怪しいと気づける」と思うかもしれません。
しかし、犯人は人が思わず反応してしまうような状況を巧みにつくります。

例えば、権威ある信頼性の高い組織を騙って不安をあおる。
荷物の未着やカードの不正利用など、焦りから冷静な判断ができなくなることも考えられます。

また自動音声による案内は、企業のサポート窓口などでも一般的に使われているため、形式そのものに違和感を覚えにくいものです。
機械的で落ち着いた案内だからこそ、信頼してしまうこともあります。

ネットショッピングやキャッシュレス決済など、誰もが利用するサービスからトラブルの案内があれば、「確認しなければ」「早く手続きしなければ」という気持ちが先立っても不思議ではありません。
誰でも起こりうる状況を利用している点も、ボイスフィッシングの巧妙なところです。


▼被害を防ぐ心得と対策
ボイスフィッシングで使われるシチュエーションは、時代や流行にあわせて新しいものへと変化しますが、犯行グループの目的が個人情報やお金をだまし取ることである以上、まずは接触をはかってきます。

・知らない番号からの電話には出ない
見覚えのない番号、特に国際電話(「+」からはじまる番号)からの着信には出ないこと。
電話に出なければ犯行グループとの接触は避けられます。

・誘導どおりに動かない
電話を掛け直させるリバースビッシングという手口もあります。音声ガイダンスで案内された番号をプッシュしたり、指定された番号に掛け直したりせず、一度電話を切りましょう。
確認する場合は、自分で検索した「公式サイト」や「公式アプリ」から問い合わせてください。誘導に乗らないことが大切です。

・電話口で個人情報は絶対に話さない
金融機関や公的機関が、電話や自動音声で暗証番号やクレジットカード番号などを尋ねることはありません。電話口で暗証番号やクレジットカード番号の話が出たら最大限に警戒するようにしましょう。

・ネットショッピングの利用状況を把握しておく
普段からネットショッピングを利用する方は、いつごろ荷物が届く予定なのか、どこの配達業者から届くのかを、事前に把握する習慣を持ちましょう。
荷物の状況が把握しておくことで、不意のトラブル連絡にも冷静に対応しやすくなります。

「自分はだまされない」と過信せず、怪しい自動音声から身を守りましょう。

スマートフォンに限られますが、犯行グループが悪用する国際電話番号や、過去に迷惑電話として通報された番号からの着信を自動で検知し、ブロックしてくれる詐欺電話の対策アプリを導入するのが有効です。
警察庁のウェブサイトでも、活用できる防犯アプリが紹介されています。

警察庁推奨アプリ


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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ 上級研究員
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

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