防犯 2025年07月04日

スマホをだます「偽基地局」の手口と対策

▼ 偽基地局とは?強い電波でスマホを誘導
通信網を悪用した新たな犯罪手口として「偽基地局」による被害が報告されています。
偽基地局とは、正規の通信基地局を装って強い電波を発する違法な無線装置のこと。

スマホは、常にもっとも強い電波に接続する仕組みなので、近くに偽基地局があるだけで、知らないうちに接続してしまう可能性があります。

偽基地局には、2G通信が使われているのも特徴です。
4Gや5Gでは端末と基地局がお互いに認証する「相互認証」がおこなわれますが、2Gは端末側だけが認証する「片側認証」。
この仕組みを悪用すれば、基地局が本物かどうかを端末側で確認することはできません。
つまり、電波の強さだけでスマホをだまし、強制的に接続させることができるのです。

偽基地局に接続後、SIMカードの識別番号(IMSIなど)を取得されると、悪意を持ったSMSが送りつけられ、フィッシング詐欺サイトなどに誘導されるリスクがあります。
さらに、通話内容やメッセージの傍受、位置情報の追跡といった被害につながるおそれもあり、プライバシーや通信の安全が脅かされます。

現在は、訪日外国人を狙った犯行が注目されていますが、日本在住者も例外ではありません。
総務省や携帯各社が注意喚起しており、警戒を呼びかけています。

▼ あなたのスマホも狙われる?被害の実例と兆候
具体的な被害としては、偽のSMSが届き、不正URLにアクセスさせようとするケースが報告されています。
偽の決済サイトやログイン画面が用意されたフィッシングサイトが存在するようです。
個人情報やカード情報を盗み出すことが目的であることが伺えます。

現在、日本国内では2Gサービスは提供されていません。
つまりスマホが突然、2G表示になるのは不自然です。スマホに「圏外」や「2G」と表示されたり、通信速度が極端に低下したりしたときは、偽基地局に接続された可能性があります。
ほかにもバッテリーの急速な消耗や、通話の途切れなども兆候です。


▼ 今日からできる3つの「偽基地局対策」
(1)不審なSMSには反応しない
見知らぬ番号からのメッセージや、外国語・不自然な日本語で届くSMSは、絶対にリンクを開かず、すぐに削除しましょう。
アクセスするなら必ず公式アプリやブックマークを用いてください。

(2)スマホの設定を見直す「2Gをオフに」
スマホの機種によっては、モバイルネットワークの設定で「2Gを許可」をオフにすることが可能です。
2Gを拒否する設定がない場合は、2G表示になったら即座に「機内モード」に切り替えるなどして防御しましょう。

(3)スマホの通信状況を気にかけておく
偽基地局による攻撃リスクが高いのは、繁華街や観光地など、人が多く集まる場所。
こうした場所では自身のスマホに注意を向け、通信状態をチェックしておきましょう。
「圏外」や「2G」表示が突然あらわれる、通信速度が異常に遅くなるなど不審な通信環境を察知したら、すぐにその場から移動しましょう。

偽基地局に限らず、スマホの仕組みを悪用する手口は増えています。
「自分には関係ない」と思わず、ちょっとした変化に敏感になることが、被害を未然に防ぐ第一歩です。


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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

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