AI詐欺の脅威

▼ 過去最悪!特殊詐欺被害の現状
特殊詐欺の被害が拡大し続けています。
先日発表された警察庁の最新統計(令和6年の犯罪情勢)によると、特殊詐欺の認知件数は20,987件(前年比10.2%増)、被害額は約722億円(前年比59.4%増)と、過去最多を記録しました。
また、SNSを利用した非対面型の投資詐欺とロマンス詐欺の被害も急増しています。
認知件数は10,164件(前年比64.3%増)、被害額は約1,268億円(前年比78.6%増)と特殊詐欺よりも大きな額になっています。
投資詐欺は、SNS広告やメッセージを利用し、「著名人が推奨」「高額配当が保証される」といった嘘の情報で誘導する手口。
ロマンス詐欺は、マッチングアプリやSNSなどを通じて恋愛感情や信頼関係を築き、資金援助を求める手口です。
特殊詐欺の場合、高齢者が主なターゲットとされていましたが、SNS型詐欺では若年層の被害も目立ちます。
SNSやオンライン取引に慣れた人でも詐欺だとわからないほど巧妙で、被害者の多くは「詐欺と気づかなかった」「まさか自分がだまされるとは思わなかった」と言うほど。
もはや「知っていればだまされない」時代ではなく、誰もが詐欺の標的になり得るということです。
▼ AIの悪用と特殊詐欺の高度化
特殊詐欺やSNS型詐欺の被害が急増している背景の1つとして「AIの存在」も考えられます。
AIは音声、画像、テキストを高度に生成でき、対人の自然なコミュニケーションも可能です。
またディープフェイクを用いて、有名人や知人の偽の動画や画像を生成し、投資詐欺やロマンス詐欺に使うケースも出てきています。
AIの介入により詐欺が巧妙化。
これまでのような「詐欺かもしれない」という警戒をかいくぐるほどになりつつあるのです。
AIによる詐欺のもうひとつのリスクとして、ターゲットの拡大があげられます。
従来の詐欺は人間が直接相手と関わる必要がありましたが、AIを用いれば、詐欺の自動化もできるかもしれません。
一度に多数のターゲットにアプローチできるようになった結果、詐欺の成功率が上昇し被害が拡大しているのかもしれません。
今後はAIを悪用した犯罪が増え、特殊詐欺の手口も劇的に進歩していくでしょう。
インターネットに投稿された動画などから、わずか数秒間の音声サンプルを入手するだけで、AIでほぼ完璧に本人の声を再現できるそう。
誘拐を装って身代金を要求したり、オレオレ詐欺で本人を装ったりもでき、詐欺がさらに横行する可能性も否定できません。
▼ AI詐欺から身を守るために
AIが悪用され、特殊詐欺などの危険度は高まっています。
今後、どのような新しい手口が出てくるかわかりませんが、詐欺の目的のほとんどは「金銭」。
次の3つを意識することが重要です。
(1)「お金がらみの話」「うまい話」は必ず疑う
SNSやメッセージのやり取りには慎重になり、投資話や急な金銭要求を警戒しましょう。
「音声が本人だから安心」「映像で確認できたから本物」と思い込むのは禁物。
AIによる生成が可能な時代であることを念頭に置き、常に慎重に対応することが重要です。
(2)「自分はだまされない」という過信を捨てる
特殊詐欺の手口は想像以上に進歩しています。
「詐欺に引っかかるのはだまされやすい人」と思うのは危険です。
「AI詐欺は見破れないほど巧妙」と認識しましょう。
(3)深入りする前に相談する
詐欺師は、焦らせたり、魅力的な条件を提示したりしてだまし相手の判断力を鈍らせます。
金銭がらみの話を持ちかけられたときは、行動を起こす前に周囲に相談しましょう。
知人や家族に言いにくければ、消費者ホットライン「188(いやや!)」や最寄りの警察に相談してください。
特殊詐欺やSNS型詐欺の被害を防ぐには、「警戒心」が何よりの武器です。
AI詐欺の脅威が差し迫っていることを意識し、日常のなかで警戒を徹底しましょう。
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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事


侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。
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