都市型水害と行動リスク

▼ 予測困難な都市型水害「内水氾濫」
局地的な大雨の発生回数が増加しています。
いわゆる「ゲリラ豪雨」や線状降水帯による大雨で都市部でも「都市型水害」と呼ばれる被害が目立つようになりました。
都市型水害のひとつとしてあげられるのが「内水氾濫」です。
多くの都市の下水道は 1時間あたり50㎜程度の雨量に対応するよう設計されていますが、雨量が排水能力を超えると雨水を処理しきれずに「内水氾濫」が起きます。
天気の急変を予測するのは難しく、なかでも線状降水帯の予測は困難です。
局地的に一気に雨が降るため、短時間で状況が変化することがあります。
警報が出た時点で「早めの安全確保」が重要です。
都市部で内水氾濫が発生すれば、冠水により道路が通行不能になったり、 マンホールのふたが外れて水が噴き出したりする危険な状況につながりかねません。
▼ 内水氾濫発生時は「無理な移動」が危険をまねく
都市部はコンクリートやアスファルトが多く、雨水が地面に浸透しにくいため、ひとたび排水能力を超える大雨が降ると内水氾濫は一気に広がります。
しかも どこに、どの程度の水がたまるのか予測しにくいのが都市型水害の怖いところ。
ほとんどの道路にはわずかな勾配があるため、思わぬ方向から流れが生じ、一部が深く冠水することもあります。
【内水氾濫でのリスク】
・マンホールや側溝への転落事故
冠水時には マンホールのふたが外れることがあります。
また側溝が見えにくくなります。
水面の下がどうなっているかわからない状態で歩くのは非常に危険です。
・車の立ち往生
多くの車は水深30cm程度で走行困難になるとされています。
浅く見えても、走行中に吸気口から水が入り、エンジンが停止するケースも少なくありません。
水位が読めない場所に無理に車で進入するのは禁物です。
・アンダーパスでの浸水事故
アンダーパスは 水がたまりやすく、短時間で水没することがあります。
見た目に判断しにくく、車が進入して動けなくなる事故があとを絶ちません。
浸水深が30cmを超えると、歩行も困難になると言われています。
冠水した道路は水の流れが複雑で、足元に強い水圧がかかります。
濁った水では 水深がわかりにくく、路面状態も不確かです。
路面の段差や穴にも気づけないため、転倒リスクが高まります。
都市型水害は見た目より危険が多いものです。
だからこそ 大雨警報の段階で早めの行動が欠かせません。
▼ ハザードマップを活用し、行動計画を事前に確認
都市型水害のリスクを回避するためには、大雨警報が出た段階で安全を優先することが重要です。雨が降り出してからでは状況が一変する可能性もあります。
・移動は早めに判断
冠水してしまえば車での移動は危険です。車での移動は早めに行動のうえ、警戒レベルが低いうちに行動を開始してください。
・冠水がはじまった道路は歩かない
冠水した道路の移動は危険が伴います。どうしても屋外への移動が必要な場合は、水位が低い間に高台など標高の高い場所に向かいましょう。路面が見えない程の水位や夜間の場合は、垂直避難(頑丈な建物の上層階への避難)を優先してください。
・ハザードマップで「生活圏すべて」を確認
自宅周辺だけでなく、勤務先(オフィスや店舗)やよく利用する場所のハザードマップも確認しましょう。
都市部では意外な場所に冠水リスクがあります。
「通勤・通学ルート」「オフィス周辺」「よく使うショッピングエリアや駅周辺」など生活エリアの浸水リスクや安全な避難ルートは事前に把握しておきましょう。
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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事


侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。
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