ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 人はその気にならないとものが見えない
・記録的な大雨をもたらした今回の台風
今年は、8月下旬から全国的にぐずついた天気が続いています。台風18号の大雨とその後変わった温帯低気圧は、各地に甚大な水害をもたらしました。
地球温暖化の影響もあるのでしょう。最近、日本に大きな被害をもたらす台風が多いように感じられます。実際、今回の台風は、特に北関東に数十年に一度の大雨をもたらし、茨城県常総市の鬼怒川などの河川を氾濫させました。堤防や、ダムなど、水害を防ぐ対策があるにもかかわらず、想定を超えた雨が降ったからです。
氾濫した水は、地上や地下のいたるところに流れ込みます。そのため、洪水は、感染症や漏電による感電などの二次災害のリスクを増大させます。河川が氾濫した際には、これらのリスクにも注意し、氾濫した水には不用意に近づかないようにしてください。
・災害情報に対する人の傾向
人は、避難に関する情報が出た場合でも、「まぁ、たいしたことはないだろう」、「これまでも大丈夫だったから大丈夫だろう」、「周りが動いていないから、自分も動かなくても」と判断してしまう正常性バイアスやベテランバイアス、同調バイアスなどの、考え方の傾向の影響を受けて、すみやかな行動ができないことがあります。この考え方の傾向、「バイアス」は、非常時における人々の合理的な行動を妨げる心理特性として知られており、多くの災害に関わる専門家が注意を促しています。
行政などから異常に関する情報を得たときには、人間の考え方に、不安全行動をとってしまう「考え方の傾向」、バイアスがあることをぜひ思い出すようにしていただければと思います。バイアスは「万人の心の中」にあるものであり、「自分だけは大丈夫」ということはありません。いざという時、「今の自分がバイアスに支配されていないか」と自問自答することは、自分自身をバイアスによる制限を取り払い、自らの身を守ることにつながります。
・それが出るということは、相当に深刻な事態
各自治体などは、水害などが発生した場合、どこが危ないかを示すハザードマップを公開しています。行政などの避難情報は、このハザードマップに示された危険度も考慮して出されています。ある地域に対して避難情報が出されるということは、その地域のリスクが相当に高まっているということを意味しています。自治体から、自分の住んでいる地域の避難情報が出た場合、自分の身を守るために、ぜひ、速やかな行動をとるようにしてください。
・人は意識しないとモノが見えない
多くの人々に、リスクを正しく伝えること、リスク広報は、一筋縄ではいかない難しいものであることが分かっています。心理学や社会学などの学術的観点、行政や報道機などの実務的観点から、リスクを正しく伝える方法論を検討する、災害情報学なる研究分野があることが、そのことを物語っています。
私たちは、自分で意識しないと、視界に入っているはずの自分の鼻ですらその存在を感じることができません。人は、その気にならないと、ものが見えないということです。
私たちは、災害が多い国として世界的に有名な国、大自然の営みがいつ何時、脅威として襲いかかってくるか分からない国、日本に住んでいます。自らの身に周りにある厳然として存在する自然災害のリスクについては、行政や報道などからの告知を待たず、自分から積極的に情報を得るように心がけてみてはどうでしょうか。その気になって見ることにより、普段見逃している、さまざまな情報が見えてくるはずです。
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