ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > まんじゅう恐い?〜倍倍倍の怖さ〜
・倍倍倍と増えていくマンガの中のお話
いろいろな種類の不思議な道具が登場することで、日本のみならず世界中で知られている、子どもたちに人気のマンガがあります。このマンガの話の中に、それを振りかけると、振りかけられたものが分裂をはじめ、5分ごとにその数が倍、倍と増えていくようになる不思議な薬がありました。
物語の中では、栗まんじゅうをおなかいっぱい食べたい主人公のためにその薬が使われ、数が倍々と増えていくようにしたのです。その主人公、栗まんじゅうを十分に堪能したまでは良かったものの、どうしても最後の1個が食べきれずに、こっそり外のゴミ箱に捨ててしまったからさあ大変。1個が2個、2個が4個、4個が8個と5分ごとに数が倍に増えていき収集がつかなくなってしまいました。
・「倍倍倍」は想像を絶する
2009年の新型インフルエンザの流行以降、ニュースなどで感染症の話題が取り上げられることが多くなっています。感染症が怖いのは、倍々と数が増える栗まんじゅうが怖いのと同じ理由です。感染した1人から複数人が感染し、そこからまた感染が拡がることを繰り返すことで、世の中はあっという間にその病気で覆いつくされてしまいます。
ある感染症に罹(かか)っている人が、1日ごとに、1人が2人、2人が4人、4人が8人と増えていくと仮定すると、その感染者数は、単純に計算して30日経たずして現在の地球の人口(80億人弱)を超えてしまうということになるのです。
・「倍倍倍」が歴史を変えた
この計算は決して大げさなことではなく、歴史を見ると、中世ヨーロッパでは、致死率が高いペストが大流行したことにより、当時の人口の1/3から2/3の人が命を落としたと考えられています。この悪疫によって滅んだ村や町は少なくなく、国すらもその存在を脅かされたのです。感染力が強い場合、感染者数は爆発的に増え、あっという間に、村や町、そして国全体を覆い尽くしてしまうからです。
地震が多く、台風の通り道でもある日本では、天災というと震災や風水害を思い浮かべることが多いのに対して、ヨーロッパでは疫病の大流行(パンデミック)を思い浮かべることが多いのは、このような歴史的背景があるからとも言えるでしょう。
・数が少ないうちに抑え込むことが何よりも大切
感染力が大きい病気の場合、最初の少人数の内に感染を抑え込むことが何よりも重要なこととなります。実際に、明治維新以降にペストが入り込んだ日本では、行政機関のみならず一般の人々までもが、精力的に感染予防活動を展開したことで大流行を阻止したという実績があります。
感染症は、初動によって感染者が少ない内に抑え込むことが重要です。これは、人間が罹る感染症に限らず、家畜が罹る感染症、そしてパソコンなどのシステムが罹る感染症であるマルウェア(悪意のソフトウェア)の場合も同様であると言えます。「大変な事態」にならないようにするためには、どのような感染症であっても、それが疑われる場合、周囲にうつさないようにすることが何よりも大切なのです。私たちが「倍倍倍」の脅威から解放されるためには、これしか方法がないということを是非覚えておいていただければと思います。
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