ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 夏至の願いと落語 〜 広い意味のホームセキュリティ 〜
・一年で昼が一番長い日
今日6月22日は夏至。北半球では昼が一番長い日にあたります。今日の太陽は、私たちの住む北半球側、北緯23.4度(北回帰線)の真上にあり、北半球では見かけ上の太陽の位置が、一番高い日となります。
半年前、冬至の日のコラムでは、翌日から日が長くなり始める冬至が、暦の起点とされて世界各地で祭りを行う風習が残っていることについて紹介しました。一方、夏至は、北半球では農繁期にもあたることから、冬至と比べて大きなお祭りはあまり行われないようです。
・北欧の夏至祭り
とは言うものの、一年で日が一番長い日である夏至は、やはり特別な日であり、特に、日が沈まなくなる地域(北極圏、北緯67度以上)がある北欧では、「夏至祭り」が行われています。
北欧の夏至祭りは、結婚や縁結びに関係するものが多く、昔から、このお祭りでは、子孫の繁栄や将来の伴侶を見つけるためのおまじないが行われています。この関係からか、今でも、北欧では、夏至の前後は結婚式の多い季節なそうです。
・日本でも家内安全が祈られる
「海に突き出た大小二つの岩の間にしめ縄を張った風景」で有名な「夫婦岩(めおといわ)」がある、三重県の二見興玉(ふたみおきたま)神社では、夏至の朝、日の出前から海に入り、日の出に向かって祈祷が行われる夏至祭りが行われています。夏至の朝は、天気が良ければ、夫婦岩の二つの岩の間に富士の高嶺を見ることができ、さらにその向こうから朝日が昇る特別な朝となっています。ここの夏至祭りは、偶然にも北欧のお祭りにも一脈通ずる「夫婦円満や家内安全」を願うためのお祭りとされているそうです。
・家庭円満を垣間見ることができる古典落語
古典落語に「締め込み」という演目があります。長屋住まいの仲の良い夫婦が、ちょっと家を空けている隙に泥棒が入るという話です。盗むものを風呂敷に包んでいる最中で、住人夫婦が帰ってきたため泥棒は床下に隠れます。この風呂敷包みを見た夫婦はケンカを始めますが、それを泥棒が止めて、夫婦は仲直り。お礼に泥棒を接待して・・・という順序でコトが進みます。最後は、泥棒を家に閉じ込めてしまったり、泥棒に対して「またおいでなさい」という落ちになったりなどのバリエーションがある落語です。
泥棒の残した「風呂敷包み」が、夫婦ともに、それぞれの憶測を呼んでケンカを始めてしまうのですが、その会話のやり取り、そして泥棒との絶妙な間合いなどから、普段の夫婦円満を垣間見ることができる優れた芸能に仕上がっています。古くから残っているのもなるほどとうなずける話です。
・家庭円満、家内安全を乱す存在
古典落語「締め込み」は、夫婦の「平穏な日々」を乱す存在として泥棒が現れ、はじめは円満な家庭生活を乱す原因を作ってしまうものの、夫婦げんかの仲裁をすることで、最後には逆に家庭の円満を保つ働きをするというお話しでした。
落語には泥棒が出てくる噺(はなし)が少なくありません。大抵は、間の抜けた泥棒であり、本当の悪人が登場しないのは、落語ならではと言えるでしょう。このように、古典落語では、愛されるべき人物として描かれることが多い泥棒ですが、本当の泥棒は、「夏至の願い」である家内安全のためには、決して家に入れてはいけない存在です。実際の泥棒が、家庭における「平穏な日々を乱す存在」であることは、間違いないからです。
・平穏な日々の生活が続くこと
北欧における夏至のお祭りでは、夫婦や家庭の円満、ひいては子孫の繁栄を願う行事が行われています。これはいわば広い意味でのホームセキュリティ、「平穏な日々の生活が続くこと」だと言えるでしょう。
「家庭の円満」、「平穏な日々が続くこと」は、北欧に限らず、古今東西、万人の願いと言えます。その意味で、同じ夏至の日の朝、日本の神社で、夫婦を象徴する岩の間から昇る朝日に向かって、家内安全や夫婦の円満が祈られるのは、偶然ではないのかもしれません。
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