ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 10件に1件は身体危害犯罪
近年の刑法犯認知件数は減少が続いています。しかし、皆さんがお感じになる、治安の状況は如何でしょうか。いわゆる体感治安は、良くなっていないと言われます。一つは、事件の解決の割合、いわゆる検挙率が低迷していることがあるのかもしれません。
2002年には、検挙率が19.8%まで低下してしまいましたが、最近は30%程度まで戻ってきています。しかし、かつては60〜70%という高い検挙率であったことと比べると、まだまだ低く、ここに体感治安が良くならない要因があるのかもしれません。
また、セコムが調査した「日本人の不安に関する意識調査」でも、今後の治安悪化を懸念する人は81.0%と多く、前年に行った同じ調査よりも0.8ポイント増えています。
モノ盗り以外の犯罪の割合が増加
刑法犯認知件数は、2002年に285万件のピークを迎えました。それ以降、2013年まで11年連続して減少が続いています。今年2014年も、減少となることは、ほぼ確実といえそうです。
先日、このコラムで、犯罪件数の減少が鈍ってきているもの、増えてきているものがあることを紹介しました。特に、金品を盗む窃盗などの犯罪については、減少が続いています。しかし、別のものを狙ったものの件数の動きが変わってきているのです。別のものとは、命に関わるものです。住宅を狙ったドロボウや、路上でのひったくりなどは、金品が狙いであるため、通常は命を狙われることはありません。しかし、殺人をはじめ、放火、暴行、強姦、わいせつなどは、身体に危害が及ぶ犯罪です。これらの割合が増えてきています。
2000年代に入って状況が変化
右の図は、刑法犯のうち、他人の財物を狙った財産犯以外の犯罪の割合の推移を示したものです。財産犯とは、強盗、窃盗犯、詐欺、横領、背任、恐喝、器物損壊などを合計したものをいいます。これ以外の、殺人、暴行などの犯罪が刑法犯に占める割合を示したものです。今回は、これを身体危害犯罪と呼ぶこととします。
図では、平成に入ってからの推移を示していますが、しばらくは6〜7%となっていました。しかし、刑法犯認知件数がピークとなった2002年以降は状況が変わってきています。犯罪全体の件数は減少しましたが、身体危害犯罪の割合は高くなっていきました。2005年以降は10〜11%となっています。また、ここ数年は、さらに割合が上昇しているようにも見えます。つまり、犯罪全体のうち、身体に危険が及ぶ犯罪は、いまでは10件に1件にまで増えていることになります。
体感治安が良くならない一つの理由か
日々の報道で、子供や女性を狙った事件はよく目にします。先日も、危険ドラッグを吸った男が、隣に住む女性を切りつけるという事件がありました。また、オレオレ詐欺に代表されるように、主に高齢者を狙った振り込め詐欺は、過去最高の被害額となっています。
このように、多数の報道を目にすることから、体感治安が良くないのではないかという説もあります。しかし、それだけではこれを説明することはできません。今回、身体危害犯罪という切り口で、最近の犯罪情勢を見てみましたが、このような形で「データから読む」こともできるのではないでしょうか。
【関連情報 pick up!】
・日本人の不安に関する意識調査(セコム)
・データから読む「減少が鈍化している犯罪、増えている犯罪」
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰
刑法犯に占める身体危害犯罪の
割合の推移(2014年のみ1〜10月)
(警察庁)
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