ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > オレオレ詐欺はいまや振り込まない詐欺
2014年上半期の特殊詐欺の被害状況が、先日発表になりました。被害件数は、全国で6167件にのぼり、前年同期比14.4%の増加となっています。
そのうち、未遂を除く、実際に被害に遭った件数は5682件で、被害総額は268億3000万円と、上半期としては過去最高となっています。1件あたりの被害額も472万円と10.7%も増えています。
特殊詐欺は、オレオレ詐欺や架空請求詐欺などの"振り込め詐欺"と、金融商品等取引やギャンブル必勝法情報などの "振り込め詐欺以外の特殊詐欺"に分かれます。
件数ベースでは、振り込め詐欺は増加、振り込め詐欺以外の特殊詐欺は減少となっています。しかし、1件あたりの被害額でみると、前者は360万円、後者は890万円と、振り込め詐欺以外の特殊詐欺の被害が大きくなっています。
オレオレ詐欺の8割以上は手渡し
振り込め詐欺という名称が示す通り、以前は、「今すぐATMに行って、お金を振り込んでください」という手口でした。しかし、最近は状況が変わってきています。
右上の図は、オレオレ詐欺における現金の受け渡し方法を示したものです。現金手交型、いわゆる手渡しによるものが非常に多くなっています。
この方法の場合は、犯人は被害者に直接遭う必要があります。面と向かって対応しなければならないという、大きなリスクを冒す必要があります。それでも、オレオレ詐欺に限っては、この受渡し方法が主流となっているのです。また、宅配便などで送らせる手法も少ないながらあります。ただし、右下の図のように、1件あたりの被害額は、他のどの受け渡し方法よりも多くなっていることがわかります。
過去の損失を取り戻せるという大ウソ手口
振り込め詐欺以外の特殊詐欺の中では、金融商品等取扱名目の被害件数が最も多く、被害額も1件あたり1057万円と、他を大きく上回っています。手口もより巧妙になり、過去に悪質商法や詐欺の被害に遭った被害者に対し、「被害に遭った損失を取り返すことができます」と持ち掛け、「その手数料として××万円を入金してください」と言ってきます。
中には、「被害者の会ができており、集団訴訟の準備を現在行っております。今すぐ手数料を払ってもらえれば、すぐに被害を取り戻すことができます。」などと言ってくる例もあります。実際には、被害回復の手続きなどは大ウソで、被害者の古傷に塩を塗るような手口なのです。
人々の欲求を満たそうと暗躍する詐欺に立ち向かうには
詐欺の犯人たちは、人々の心の隙間を狙って近づいてきます。例えば、払い過ぎたものを取り戻せるものなら取り戻したいという「欲」に対して還付金詐欺が、株や債券で儲けたいという「欲」に対して金融商品詐欺が、異性と出会いたいという「欲」に対して異性あっせん詐欺が、大切な孫を助けたいという気持ちに対してオレオレ詐欺が、それぞれ近づいてくるのです。
人間に欲がある限り、それを逆手に取った犯罪はなくならないのかもしれません。しかし、その手口を知っているのと知らないのとでは、被害に遭う可能性は大きく変わってきます。移り変わる手口をしっかりとチェックしておき、少しでも被害に遭わない心構えを準備しておいていただきたいと思います。
実際に、ATMでの金融機関職員などによる声かけによって、被害を止められた事例は多くなっています。この上半期では、阻止率が45%にまで上昇してきました。また、高齢の方が預金を下ろしに来た場合に、現金ではなく小切手とすることで、被害を抑止できたケースもあります。社会全体での特殊詐欺への対策が、実を結んだケースが増えてきているのです。
【関連情報 pick up!】
・2013年上半期の特殊詐欺被害総額は212億円
・2013年の特殊詐欺被害総額は489億円
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰
オレオレ詐欺の現金受渡し方法
(2014年上半期、警察庁)
オレオレ詐欺の現金受渡し別
1件あたり被害額
(2014年上半期、警察庁)
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