ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > モノの壊れ方とトラブルを抑えるための方法
過去のコラムで、多くの工業製品について、その寿命があらかじめ設計されていることに触れました。工業製品に限らず、モノを長く使っていると壊れやすくなるのは事実です。昨年末のトンネルの天井板落下事故でも明らかになったように、高度経済成長期に多く作られた日本の社会インフラは老朽化し、そろそろ抜本的な対策をする必要が出てきているようです。
モノの壊れやすさの経時変化
一般に、モノの壊れやすさは、使い始めと長く使った時に大きく、その間は小さくほぼ一定となります。そのため、使用時間を横軸、故障率を縦軸にとってグラフを描くと、洋式の浴槽を切ったような形状となります。そのため、この曲線(故障率曲線)はバスタブ曲線と呼ばれています。
使い始めには壊れやすい
モノを使い始めた時に現れる故障は「初期故障」と呼ばれ、設計の不具合、製造のときの不慣れ、新たに採用した部品や材料の欠陥などが原因となって発生します。どんなに注意してモノを作っても、この初期故障をゼロに抑え込むのは難しいのです。そのため、工業製品の多くは、保証書が添付され、使い始めの初期故障への対応が約束された形で出荷されています。家電品などの1年間の保証は、壊れにくいから保証するというよりも、その期間に壊れるかもしれないから「壊れた時の修理対応を保証する」という性格が強いのです。
人の命に関わる医療機器や、金銭決済に用いられるシステムなどの高い信頼性を求められるモノについては、十分な試運転期間を設けて、初期故障が起きないかを確認した後に世に出される場合も珍しくありません。
ある時期を過ぎると順調に
モノの故障率は、初期故障が発生する期間(初期故障期間)を過ぎると、ほぼ一定の小さい値となり、その状態が、ある期間続くようになります。この期間を長く留めるのが、モノを長く使う上で重要となります。この期間に発生する故障は「偶発故障」と呼ばれます。
寿命が近づくと
モノはその寿命が近づくと、部品の磨耗、材料の劣化などにより、故障率が大きくなってきます。この期間の故障は、宿命的に、かつ必然性をもって発生するもので「磨耗故障」と呼ばれます。
トラブルを低く抑えるために
モノの壊れ方にはこのような特徴があります。そのため、モノを使う上においてトラブルを低く抑えるために必要なことは次の3つとなります。
(1) まず、十分な試運転期間を取って初期故障を出し切ったあとで本格的に使い始める。
(2) 本格的に使い始めたら、適切な間隔で点検を行って、部品の磨耗や材料の劣化などがないかを確認する。
(3) 不具合を発見したら、それが大きなトラブルになる前に適切に対応する。
これらを励行することで、モノの不具合による大きなトラブルを避けることが可能になるということです。
セキュリティ機器では
セキュリティ機器には、万が一の時の確実な作動が求められます。しかし、現状ではセキュリティ機器は、点検と整備が義務づけられてはいません。セコムのオンラインセキュリティシステムは、自己点検機能を持ち、調子がおかしくなると、その旨を自ら通報する機能を持っています。信頼できるセキュリティサービスを提供するのに欠かせないからです。
宿命的な必然性をもって発生する機器の不具合を見つけ、それに迅速、かつ適確に対応する仕組みと体制を持っているか。ホームセキュリティなどのセキュリティサービスを選ぶ際に欠かせない視点かと思います。
(参考)
・安心豆知識「モノを大切に長く使うコツとは」
・安心豆知識「信号機とセキュリティ機器との共通点」
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文
「バスタブ曲線」のイメージ図
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |