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犯罪数が減少しても、治安は悪い?

  昨年の犯罪状況が警察庁から発表され、各紙にその概要が掲載されました。それによると、2012年の刑法犯の認知件数は138万2154件となり、戦後最多となった2002年の285万件から半分にまで下がったことになります。2002年より以前で、昨年と同水準の認知件数だったのは、1980年の136万件が最も近い数字です。したがって、ほぼ20年で倍増して、10年で半減したことになります。

窃盗犯の減少が効果を発揮
 窃盗犯の件数は、刑法犯全体の75%を占めます。ここ数年、その窃盗犯の減少割合が増えています。2008年の対前年比は4.0%減でしたが、2009年は5.3%減、2010年と2011年が6.6%減と推移し、2012年には8.2%減となりました。このように、窃盗犯の件数が年を追うごとに減ったことで、性犯罪などごく一部の犯罪の件数が増加したものの、全体として犯罪件数は減少傾向となりました。

伸び悩む検挙率
 このように、この10年の間に、犯罪件数は減ってきています。しかし、検挙率という観点では、2006年頃から伸び悩みが続いています。かつては6割ほどあった検挙率が、平成の時代に入ったころから低下し始めました。右の図のように、2001年に19.8%という史上最低の数字となった後、改善傾向が続きましたが、2006年に30%台に入ってからは、あまり変わっていません。

体感治安はいつ回復する?
 犯罪件数は確実に減少しているにもかかわらず、体感治安について論ずると、良くなっていないとよく言われます。その要因のひとつに、検挙率の低迷があるのかもしれません。警察官の増員などで対応を進めていますが、犯罪の複雑化や巧妙化にともない、簡単には検挙率は上がってきていないのが現状です。まずは、地域での防犯活動や、各自の防犯意識の向上を通じて、自分の街は自分で守るという気持ちを持つことが必要です。


セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰

刑法犯の検挙率と認知件数の推移(警察庁)

刑法犯の検挙率と認知件数の推移
(警察庁)

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