ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > リスクマネジメントの手順と防犯手法
セキュリティと関連の深い言葉に「リスク」があります。リスクというのは、損失が発生する可能性のことで、人が何かを行おうとするところに必ず存在します。このリスクを最適にコントロールする技法がリスクマネジメントです。
このリスクは「損失発生の可能性」ですから、リスクがリスクとして留まっている場合、損失が発生していないため、何の問題もありません。しかしリスクは何らかの要因によって、事故やトラブルなどの形で損失として姿をあらわし、社会や、組織、そして個人の生活に影響を与えます。
それゆえ、発生する損失を最小に留めるように、リスクに関わる必要が出てきます。この「損失を最小に留めるようにリスクに関わる」ためのテクニックが「リスクマネジメント」と考えて良いでしょう。
リスクマネジメントは、もともとは欧米で発達した経営管理手法で、組織に関係するさまざまなリスクを分析し、対策を講じることで、その組織の経営目標の達成や、組織存続を図ろうとするものです。しかしながら、日本では「保険を掛けること」、「保険を掛ける際のコストを下げること」といったイメージで誤解されていることが少なくありません。
「見える防犯」、「守る防犯」、「知らせる防犯」とは
リスクマネジメントでは、3つの観点からリスクに関わります。一つは、損失発生の可能性であるリスクを、可能性のまま留め、実際の損失をできるだけ抑えるようにすることです(リスクコントロール)。
たとえば、植栽を剪定して家の周りの死角をなくし、できるだけ泥棒に狙われないようにするなどがこれに当たります。「見える防犯」と呼ばれるテクニックはこの範疇に入ります。
もう一つは、リスクが不幸にして具現化した場合に、発生する損失をできるだけ小さく抑えることです(クライシスマネジメント)。たとえ家が泥棒に狙われたとしても、窓ガラスを防犯ガラスにして、窓の部分だけの損傷だけで済むようにする対策がこれにあたります。「守る防犯」と呼ばれるものです。
さらに、発生する損失をできるだけ小さく抑える対策には、ホームセキュリティを導入してすぐに安全のプロが駆け付けるようにすることで、泥棒に家捜しの時間を与えないようにする対策もあります。これが「知らせる防犯」と呼ばれる防犯対策です。
保険の検討は最後に行う
そして最後の視点が、保険を掛けることです(リスクファイナンス)。リスクをリスクのまま留める対策、万が一の際の発生する損失をできるだけ小さく抑える対策の2つを十分に行ったあとに、保険などの金銭的な損失補填の方法を検討するというのが、リスクマネジメントの基本的な手順となります。
リスクマネジメントにおいては、保険などの金銭的な損失補填の対策が重要なのはその通りなのですが、順番を間違うと本質的なところでのボタンの掛け違いが起こり、本末転倒ということが起こりがちなので注意が必要です。
前回のコラムで、人の持ちがちな「まさか自分が・・・」という言葉で表される思い込みの傾向(レイクウォビゴン効果)について述べましたが、損失が発生する可能性である「リスク」は万人が持っているものです。万人が持っているさまざまなリスクを正しく認識し、それに正しく対応していくことこそが、「リスク社会」と呼ばれる現代に生きる私たちに求められる姿勢なのではないかと思います。
(参考)
・セコム防犯・防災用語集(「リスクマネジメント」の項)
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文
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