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先日、昨年の刑法犯の件数の速報値が警察庁から発表されました。2011年も前年比で減少となり、これで9年連続の減少となりました。件数としては、1981年以来30年ぶりに150万件を下回りました。風俗犯の一部で増加したものがあるものの、ほとんどの犯罪で減少となっているようです。しかし、自動車盗に関しては4.8%の増加となっています。今回は、刑法犯のこれまでの増減について見てみたいと思います。
犯罪が少なかった戦後の復興期
これまで30年間、150万件以上だった刑法犯ですが、さらにさかのぼると、1948年と1949年に150万件を上回っていました。その後は130〜140万件で推移し、先週公開された映画「ALWAYS三丁目の夕日」の3作目の舞台となっている1964年頃から犯罪が減り始めました。いざなぎ景気という高度経済成長とともに犯罪が減ったということでしょうか。1973年には、戦後最小の犯罪数となる119万件を記録します。
その後、犯罪数はじわりじわりと上昇を続け、1982年に150万件を突破します。1998年頃から犯罪数が急上昇しました。この原因は非侵入盗が増加したためと言われています。非侵入盗とは、車上ねらいや自動販売機ねらい、万引きやひったくりなどの侵入をともなわない犯罪のことを指します。そして、2002年に刑法犯は、戦後最多となる285万件となります。それ以降は減少を続け、現在に至っています。
どうしたら体感治安は良くなる
犯罪の数そのものは減っているわけですが、相変らず体感治安は良くなっていないようです。その理由は、インターネットなどの普及によって情報伝達の仕組みが大きく変わり、毎日なにかの犯罪情報を見聞きできてしまう環境に、原因の一つがあるのではないかと思います。また、犯罪そのものが特殊な場所で起こっているわけではなく、みなさんの周りでさまざまな犯罪が起こっていることも原因と言えそうです。
例えば、万引きについては、いまや刑法犯の約1割を占める状態になっています。また、かつては6割もあった検挙率は、昨年の数字では31.2%となっており、ここ数年は2〜3割という状態が続いています。これも、原因の一つと言えるかもしれません。
大震災からの復興で犯罪は?
1964年といえば、東海道新幹線や東京モノレールが開業し、東京オリンピックもありました。戦後の復興の勢いがあった時代です。仕事もあり、犯罪数低下への素地はあったのかもしれません。ひるがえって、現在は震災からの復興という方向にはあるものの、社会情勢が当時とは異なり、同じように犯罪低下に向かうのかどうかは疑わしい部分もあります。やはり、みなさん各自の防犯意識が最後にはものを言うのかもしれません。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
濱田宏彰
刑法犯の推移 (警察庁)
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