ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > セルフ方式のホームセキュリティ
以前、本コラムにおいて、セキュリティを考える場合における「ストーリーの完結性」の重要性について述べ、具体例として「無人の自宅でセンサーが異常を感知したそのあとのストーリー」について触れました。
現在、ホームセンターや家電量販店などに行くと、手軽なホームセキュリティとして、自宅に異常を検知するセンサーを設置し、そのセンサーが侵入などの異常を感知した場合に、携帯電話などのあらかじめ登録した電話番号に自動的に通報がいく、セルフ方式のホームセキュリティが市販されています。今回は、このタイプのホームセキュリティについて考えてみたいと思います。
自宅に泥棒の侵入があり、携帯電話にセルフ方式のホームセキュリティから通報を受け取った状況を考えてみましょう。おそらく多くの人は、情報を受け取った携帯電話で110番に電話しようとするかと思いますが、ここで問題が発生します。
各都道府県警が設置している110番受付センターでは、電話による通報者が本当にその家の住人であるかを確認する方法がありません。誰もその場所にいない状況では、いくら電話の向こうの声が自宅を確認してくれと言っても、裁判所が発行する捜索令状なしでは、警察が個人の住宅敷地に立ち入るのは法的に問題なのです。
また、電気通信事業法の具体的な内容を規定した事業用電気通信設備規則では、その35条の2「緊急通報を扱う事業用電気通信回線設備」の項目で、「緊急通報は、その発信に係る端末設備等の【場所を管轄する警察機関等】に接続すること」と規定しています。
これは、自分の家が東京にあり大阪出張中だった場合、携帯電話に異常発生の通報があったとしても、東京の110番に電話することはできないということを意味しています。加えて、「市外局番+110番」がつながらないことはほとんど知られていません。「110番」というシステムは、基本的に「事件が起きたところにいる人から電話されてくることを前提に作られた社会インフラ」なのです。
セコムの提供しているホームセキュリティサービスでは、センサーが異常を検知したら、緊急対処員が、その家に急行し現場を点検した上で、必要に応じてその地域のセコムのコントロールセンターから110番通報がなされます。従って、これらの問題が発生することはないのです。
セルフ方式のホームセキュリティでも、あらかじめ登録した自分の携帯電話に何の通報もないということで、自宅に泥棒の侵入が「起きていない」ということが分かります。現状では、セルフ方式のホームセキュリティは、帰宅時にこれから玄関を開ける自宅に泥棒が入っていないことを確認し、安心してドアを開けるためのツールであり、泥棒が入った事実を知って対応するためのツールではないと理解した方が良いかと思います。
ホームセキュリティというサービスのストーリーを完結させるためには、センサーが異常を検知した際に、その家に急行する人間の存在が必要不可欠です。ホームセキュリティの本質は、緊急対処員が急行することで被害を最小化するというところにあります。十分に訓練を積んだ緊急対処員が常に待機しているというのが、セコムの最大の強みとなっています。
ホームセキュリティの本質は「人によるサービス」です。家に取り付けるセンサーなどのハードウェアは、人によるサービスを支えるためのものという位置付けであり、その意味でホームセキュリティとはホームセンターや家電量販店などでは買えないものなのです。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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