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夏の暑い時期、ノートパソコンの脇に冷たい飲み物をおいて仕事をされている方も多いことでしょう。防滴仕様のノートパソコンが商品性を持って世に受け入れられているという現状を見ると、飲み物をパソコンにこぼしてしまい、動かなくなってしまったという苦い経験をされた方も決して少なくはないものと思います。
先日、冷たい飲み物を入れた紙コップがやわらかくなって、そこから飲み物が漏れ出るという状況を目撃しました。幸いにも、まわりには濡れて困るものはなく、事なきを得たという状況ではあったのですが、なぜこの紙コップから飲み物が漏れ出たのでしょうか?
日用品としてよく使う紙コップですが、これには、冷たい飲み物を入れるための「コールドカップ」と、熱い飲み物を入れるための「ホットカップ」の2種類が存在するということは、一般的にあまり知られておりません。コールドカップの紙は、結露に強いようにロウでコーティングされており、冷たい飲み物を入れても、紙が水分に侵されて飲み物が漏れ出ないようになっています。逆に、コールドカップに熱い飲み物を入れると、熱でロウが溶け出し、中の飲み物が漏れかねないのです。ホットカップはその逆で、冷たい飲み物には弱く、熱い飲み物には強くなっています。
先の紙コップから飲み物が漏れ出るという事故は、紙コップの中に、冷たい飲み物と氷が入っていたため、防水加工されていない紙コップの外側に、結露による水分がついて紙コップの紙を侵し、起こるべくして起こったのです。ホットカップには冷たい飲み物を入れない、コールドカップには熱い飲み物を入れない。関係者にはあたりまえの知識なのですが、このことを知らないことは、大切なノートパソコン、そして
データを失う原因となり得ます。
情報セキュリティの重要な要素のひとつに「可用性」があります。可用性とは、情報システムの壊れにくさのことであり、障害の発生しにくさや、障害発生時の修復速度などによって評価されます。可用性をいかに考慮したセキュリティ性能の高い情報システムであっても、ほんのちょっとした知識がないばかりに貴重なデータを失うことは十分に起こり得るのです。
戦国時代の武将、伊達政宗が残した名言に「物事、小事より大事は発る(はる)ものなり、油断すべからず」(大きな事件が起こるときは、必ず兆候となる小さな事があり、それが起因して大事に至るので小さな事でも油断してはいけない)という言葉があると言われます。この言葉は、情報セキュリティの分野にとどまらず、実世界のセキュリティを考える上においても、まさにその通りであり、忘れてはならない重要な心得であると思います。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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