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「豚インフルエンザ」に注意

 ここ数日で、メキシコで発生した豚インフルエンザの人への感染が急速に拡がり、マスコミを騒がせているのは、皆さんご承知のことと思います。

 これまで世間では、鳥類の世界で流行している鳥インフルエンザが、人への感染力を獲得する形で新型インフルエンザが発生するのでは、と予想していろいろ準備をしていたのですが、今回、別の形で豚からの新型インフルエンザ発生が危惧される状況となっています。

 ニュースでも流れていましたが、ニューヨークのセント・フランシス高校で100人以上の生徒が発熱と喉の炎症を含むインフルエンザに似た症状が確認された件について、4月25日(土)に豚インフルエンザの疑いがある8名の検体を米国疾病予防管理センター(CDC)へ送って精査したところ、豚インフルエンザであることが確認されたと、ニューヨーク総領事館が在留邦人に一斉メールで注意喚起を行っています。

 数日といわれるインフルエンザの潜伏期間と、アメリカ大陸と日本との人の行き来の頻度を考えれば、日本に入ってくるのは時間の問題かもしれません。インフルエンザは冬に流行するものと思われている方もいますが、冬に流行しやすくなるだけで、決して冬だけに起こる感染症ではありません。

 今回の豚からのインフルエンザが新型インフルエンザとして流行した場合にも、一般の人ができる対策は通常のインフルエンザの場合と変わりません。参考までに、既に感染者が確認された米国において、米国政府(CDC)がメキシコ国境周辺のカリフォルニア州及びテキサス州住民に対して緊急で出したアナウンスを以下に引用します。

(1)せきやくしゃみをする際にはティッシュで鼻と口を覆うこと。ティッシュはゴミ箱に捨てること。
(2)頻繁に石けんを使って手洗いをする、特にせきやくしゃみの後は徹底すること。
(3)健康状態の悪い者に近づかないこと。
(4)もし健康状態が悪くなったら、仕事や学校を休み、家に留まり、他の者との接触を避けること。
(5)目、鼻、口に触らないこと。

 インフルエンザウイルスの専門家によれば、インフルエンザ全般に対する感染リスクを下げる一番の方法は、「自らの呼吸器を、活性を保っているインフルエンザウイルスに被曝させない」ことに尽きるとのことです。インフルエンザの感染経路で代表的なものは、「飛沫(ひまつ)感染」、そして手についたウイルスを無意識のうちに鼻や口に持っていくことによる「接触感染」と言われています。

 欧米においては「パブリックスペースにおけるマスクの着用」はあまり一般的ではないため、米国政府のアナウンスにはその項目はありませんが、「パブリックスペースにおけるマスク着用」が一般的に行われている日本においては、何をさしおいても、人の多いところに出かける際の「不織布製マスク着用」が、一般の人ができる最大の対策になるかと思います。

 外出中の不織布マスクの着用は、ウイルスを含んだ飛沫を防ぐ意味と、「外出中、手を顔に持っていかない、顔を手で触らない」ためのガードの2つの意味があります。日本ではこれからゴールデンウィークに入ります。行楽地などの人の多いところに出かける際にはマスク着用を心がけてはどうでしょうか。

 インフルエンザの専門家の間では「知識のワクチン」という言葉がよく使われます。今回の豚インフルエンザが新型インフルエンザとなった場合においてもそれは変わりません。今後、事態がどのように推移しようとも、正しい情報を得て的確に対応することが、パニックにならずに自らを守る、一番大切なことになるかと思います。

(参考)
外務省海外安全ホームページ 
厚生労働省ホームページ

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文

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