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子どもの“ケータイ” 利用教育と機能絞り込みの必要性

 最近、大阪府において公立の小中高校で、携帯電話の持ち込みや校内での使用を禁じる方針が打ち出されたという報道がなされ、各方面でいろいろな議論を呼んでいます。携帯電話は、子どもたちに学校裏サイトや出会い系サイトなどの犯罪に巻き込まれる機会を提供する機能を持つというのがその大きな理由のようです。

 実際、塾の行き帰りが心配だからという理由などで、子どもが小学生のうちに携帯電話を買い与える親が増えてきています。しかしながら携帯電話はもはや「携帯できる電話」ではなく、「ネット社会にアクセスするツール」という性格が強くなっています。“携帯電話”ではなく“ケータイ”と呼ばれることが多いこともこの事実を物語っていると言えるでしょう。

 “ケータイ”は、電話としてよりも、メールやネット上のケータイサイトの閲覧、楽曲やゲームのダウンロード、さらには写真の交換といった使い方をすることの方がはるかに多いのです。したがって、“ケータイ”を子どもに与える前には、十分なネット利用に関する教育をする必要が生じてきます。

 一般に、セキュリティと利便性は相反する関係にあります。便利になればなるほど、その闇の部分も大きくなり危険性が増すというのは、“ケータイ”によるネットアクセスも例外ではありません。子どもにその危険性を教えずにネットアクセス環境を与えることは、歩き出したばかりのよちよち歩きの赤ん坊を一人で外に出すことと同じなのです。

 子どもたちには、“ケータイ”などのネット社会へアクセスするツールを本格的に使い始める前に、ネット社会への参加の仕方についてその基本的なところを十分に教える必要があります。実世界で例えれば、赤信号では渡ってはいけない、横断歩道を渡る場合でも曲がってくる車に注意する等、ごくごく初期的なことです。

 不特定多数が見ることができるネット上に個人情報は書かない、ネット上で個人名を出さない、誹謗中傷はしない、見知らぬ人から送られてきたメールに反応しない等、がこれにあたります。これを小学校の早いうちに十分に教育する必要があります。つまり、意識せずに加害者になったり、被害者になったりするケースがあることを子どもたちによく理解させることが必要です。

 一方、“ケータイ”は、子どもとつながっている安心感を提供するのも事実です。「ネット社会にアクセスするツール」としての機能を大幅に制限したものや、“ケータイ”から通話機能自体を省略し、非常通報・位置検索機能に特化した“ココセコム”などの位置情報提供サービスも出ています。子どもにとって、今本当に必要な機能は何か。子どもに携帯電話を買い与える際に考えなければいけないことだと思います。


セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文

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