第412回 ストーカー被害を防ぐ!女性のための防犯対策
ストーカー行為がきっかけとなって起こる重大事件が頻発しています。
ストーカー犯罪は女性の被害者が圧倒的に多く、誰にとっても他人事ではありません。
もしストーカー行為を受けていると感じたら、ためらわず早期に対策を講じるべき。早めの対応が深刻な被害の回避につながるはずです。
今回は、ストーカー被害の実態と具体的な防犯対策についてまとめます。
ストーカー事案が増えている?
警察庁が公表している「ストーカー事案の相談件数」によると、毎年多くのストーカー被害が報告されています。
令和5年のデータでは、ストーカー事案の相談件数は19,843件(前年比+721件)。
ここ数年は年間2万件前後と高い水準で推移しています。
被害にあっても相談や通報をためらうケースもあるようです。
実際にはもっと多くの人がストーカー行為に悩んでいると考えられます。
また近年、増加傾向にあるのが「ネットストーカー」です。
インターネットやSNSを介して、オンラインでの監視や嫌がらせを繰り返す手口が確認されています。
ほかにも要注意とされているのが、GPSを悪用した手口。
被害者がどこにいても追跡ができるため、遠隔での嫌がらせが可能になり、ストーカー被害の多様化・深刻化が懸念されています。
ストーカー行為がエスカレートして暴力や重大な事件につながるケースもあとを絶ちません。
被害者が「怖い」と感じた時点で早期に対応することが、深刻な被害を防ぐために重要です。
ニュースから見るストーカー行為の実例
実際に報道されたストーカー関連の事件からも、被害の深刻さがうかがえます。
たとえば、2023年には福岡県で30代女性が、ストーカー行為を繰り返していた元交際相手に殺害される事件が発生しました。
事件前、加害者は被害女性の勤務先で待ち伏せしたり、復縁を求めたりする行為を繰り返していたとされます。
また今年5月にも東京都で20代女性が被害者となる殺人事件が発生。
加害者には被害女性へのストーカー規制法違反の疑いで逮捕歴がありました。
「ストーカー行為」とは、ひとりの相手に対してつきまといや嫌がらせを繰り返すもの。
「ストーカー規制法」に基づき、特定の行為がストーカー行為として規制されています。
ストーカー行為は単なる迷惑行為ではありません。
ストーカー行為はそれ自体が重大な犯罪であり、エスカレートすればより重大な事態を引き起こしかねないのです。
主なストーカー行為をまとめます。
(1)つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき
尾行してつきまとう、自宅や職場に無断で現れたり付近をウロウロしたりする、待ち伏せをする、進路に立ちふさがる、たまたま立ち寄った店舗や宿泊先などに押し掛ける
(2)監視をしていると告げる
帰宅にあわせて「おかえりなさい」と電話する、行動や服装をメッセージアプリや電話で告げる
(3)面会や交際の要求
拒絶しているのに面会や交際、復縁を求める、贈り物を受け取るように要求する
(4)乱暴な言動や嫌がらせ
大声による直接的な暴言や脅迫、家の前で車のクラクションをうるさく鳴らす、汚物や動物の死骸など不快感を与えるものを自宅や職場に送り付ける
(5)無言電話・メール・メッセージ
執拗な無言電話、メールやSNSメッセージをしつこく送り続ける、拒否しているのに何度も電話をかけてくる、自宅や職場に手紙や贈り物などを何度も送りつける
(6)名誉を傷つける
名誉を傷つけたり中傷したりするような内容を本人に告げる、SNSに投稿するなどインターネット上で誹謗中傷やプライバシー侵害をおこなう、わいせつな写真などを送ったり卑猥な言葉を告げたりして辱める
(7)GPS機器で居場所を特定する
勝手にスマートフォンに位置情報を共有するアプリをインストールする、無断で持ち物にGPS機器を取りつける、GPS機器を取り付けたものを渡ことで居場所を特定し監視する
もし例示のような行為に心当たりがあるのであれば、「たいしたことはない」「今は実害がないから」と軽く考えるのは危険です。
ストーカー行為は犯罪であり、放っておけばエスカレートして重大な事件に発展する危険性を秘めています。
早めに相談することが肝心です。
ストーカー被害を受けたときの防犯対策
ストーカー被害を受けたら、ひとりで抱え込まずにすぐに専門機関に相談することが重要です。
主な相談先と具体的なストーカー対策をまとめます。
【相談先】
・警察
ストーカー関連のトラブルに24時間対応してくれます。
まずは近隣の警察署に相談し、必要に応じて被害届を提出しましょう。
警察相談専用電話「#9110」でも、相談者の心情や境遇に配慮しながら相談に対応してくれます。
・女性相談支援センター
地域ごとに設置されている女性専用の公的な相談窓口です。
女性が抱えるさまざまな問題について相談できます。
女性相談支援センター全国共通短縮ダイヤル「#8778」からサポートが受けられます。
【ストーカー被害から身を守る対策】
(1)SNSのプライバシー設定を見直す
対象者の行動や情報をSNSなどから得ることが多いため、プライバシー設定を見直しましょう。
公開情報を最小限にし、知らない相手からのメッセージやフォローを制限すると安心です。
(2)連絡先や住所の変更
電話番号や住所が知られている場合は、電話番号の変更や引っ越しの検討が必要になる場合もあります。
友人や職場の人などにも状況を説明して、個人情報を漏らさないように協力してもらいましょう。
(3)証拠を残しておく
被害があった日時や場所・状況をメモしておく、メールや着信履歴などを消さない、電話を録音しておく、つきまとい行為を写真や動画で撮影しておくなど、証拠になるものを残しておきましょう。
(4)警察に相談する
ストーカー行為があれば、警察にすぐに対応を求めることが必要です。
警察はストーカー規制法に基づき、ストーカー行為に対して警告や禁止命令を出すことができます。
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ストーカー被害は、誰にでも起こり得る身近な危険です。
別れた交際相手や知り合いからの被害が多く確認されていますが、SNSに投稿した写真がきっかけで見ず知らずの人から一方的に関心を持たれたり、行動パターンを把握されたりするケースも少なくはありません。
万が一、不安や恐怖を感じる行為が自分の身近で起きたら、様子見をする必要はありません。
適切な相談先に連絡して、早めに助けを求めましょう。
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