島田 陽介

ヘルスケアグループ

— 大学時代はどんな研究をしていましたか?

私は、早稲田大学の創造理工学研究科に所属していました。子供のころからドラえもんが好きで、将来はロボットを作りたいと思っていたので、ロボットに関わる学科と研究室を選びました。
当時の研究テーマは、建設機械の知能化です。双腕の建設機械を人間が操縦して、2本の腕で複雑な解体工事などを行えるようにするため、操縦支援システムの研究を行っていました。例えば建物の壁を壊す作業をしているとき、破壊の直後は建機のアームが大きく動いてしまいます。力覚フィードバックが無いために、壊したことに気付くのが遅れ、しばらく操作入力を続けてしまうからです。そこで、破壊の衝撃を油圧センサで検知したときに、操作のゲインを自動調整し、大ぶりなアームの動きを抑制するような機能を作っていました。研究室内に小型の双腕建機を作って実験するのは、メカ魂をくすぐられて楽しかったです。

就職する際に、「ロボットの研究を続けたい」気持ちと、「ユーザーに近い技術の研究をしたい」気持ちがありました。セコムの食事支援ロボット「マイスプーン」や、サービス業なのに研究所があることに興味を持ち、セコムへの入社を決めました。

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— 就職後の経歴を教えてください

入社してから今まで、医療やヘルスケアの研究に携わっています。主に医療データを分析して活用する研究を行ってきました。
研究グループに配属される際に、「サービスに近い研究がしたい」と希望し、医療系のグループを勧められました。当初は専門外の医療という分野に戸惑いもありました。しかし、医療スタッフとのディスカッションや、いろいろな問題意識を通じて、この分野の研究の奥深さに目覚め、のめり込んで仕事をしています。また仕事の縁で、附属病院を持つ大学の大学院社会人コースにも通うようになりました。
大学時代の研究と大きく異なり、統計学や日本の医療制度、倫理的な問題などを学びながら、データ分析やそれに関するソフトウェアの試作に取り組んできました。


— 今はどんな研究をしていますか?

今の研究は、病院の医療データを二次利用し、医療の効率化や質の向上を行うというものです。医療の質の指標や経営指標を算出して、診療現場にフィードバックし、病院の定量的なマネジメントを実現しようとしています。また、大学病院との共同研究において、病気がどこで悪化するかを推測する予後予測の研究も行っています。
この研究の難しいところは、二次利用できる病院のデータが限られていたり、個人差が大きかったりすることです。そのため、さまざまな疾患や統計学手法について学ばなければなりません。

統計学は、社会人になって学び始めましたが、セミナーや研究会、実際のデータ分析の経験を通して理解を深めました。論理的な思考・説明の仕方など、大学で学んだ研究の基礎能力も、いま活かされていると感じています。

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—普段の仕事や生活はどんな様子ですか?

いつも9時半過ぎから19時くらいまで仕事をしています。外部の研究班の仕事が忙しいときは、もう少し遅くまで仕事をすることもあります。私用があるときなどは、早めに終わらせています。
主な仕事は、データ分析やシステムの試作なので、自席で作業することが多いです。分析結果は、医療現場のスタッフに分析結果を説明するなど、外部との打ち合わせの機会もあります。また週2~3回は共同研究している大学にも通っています。仕事中に先輩たちと最近の技術動向や社会動向、仕事と関係のない話など雑談することも良い気分転換です。

芸達者な仲間が多いので、プライベートでの交流も面白いです。カメラ好きや音楽好きな仲間と、趣味のショートフィルムを作ったこともあります。また、自主的に医療系の勉強会に参加しています。難治の病気の方の話を聞くと、病気そのものだけでなく、病気を抱えたことで発生する生活の困りごとも問題だと気づかされます。