所長メッセージ
常務執行役員 IS研究所長
セコムは1966年に日本初のオンラインセキュリティシステムを世に送り出し、「技術で社会を守る」という思想の原点を築きました。その思想を研究の力で前に進めるため、IS研究所は1986年に設立されました。以来、情報セキュリティ、AI、画像認識、センシングなど、安全・安心を支える幅広い先端技術の研究を続けています。
研究所には6つのディビジョン(部門)があり、それぞれ異なる専門領域を担っています。社会の「安心」を科学的に解明するディビジョン、サービス全体のデザインやプロセスを工学的に研究するディビジョン、光や音で状況をセンシングで把握するディビジョン、画像処理で実世界を理解するディビジョン、サイバー空間の信頼できる基盤を築くディビジョン、そして研究成果をプロトタイプとして形にする構築方法を研究するディビジョン。IS研究所の最大の特長は、これらの異なる専門分野の研究員が一つの理念のもとで議論し、知見を掛け合わせられる環境にあります。
社会が変わり続ける以上、それを支える技術もまた進化しなければなりません。私たちは、技術を磨くだけでなく、その技術が届けるべき価値を常に問い直しながら、社会をより「安全・安心・快適・便利」にできるよう尽力してまいります。
「安全・安心」を提供するサービスを創出するには、そもそも「安心」とは何かを深く理解する必要があります。当ディビジョンでは、犯罪・防犯、災害・防災、高齢者ヘルスケアを研究領域とし、情報の収集・解析や哲学的考察、理論構築に取り組んでいます。「安心」の科学的な解明を通じて、社会に真に求められるサービスの実現を目指しています。
レジリエンスインテリジェンスグループ
当グループでは、事件・事故・災害・社会変化に伴う多様なリスクと、その回避・低減・対応・回復について、調査・分析や実証を通じて理解を深め、知見を蓄積しています。これらの知見をインテリジェンスとして発信・活用し、人や組織、社会のレジリエンス向上に貢献します。
ヘルスケアグループ
当グループでは、高齢社会における医療や介護予防、健康増進の研究を行います。高齢者が安心して暮らすためには、病院などの医療介護サービスだけでなく、自宅での生活も重要です。そこで、生活のリズムに合わせた服薬誘導など、利用者の生活スタイルに応じた健康サービスのための技術研究を進めています。
サービスエンジニアリングディビジョンでは、よりよいサービスを作るためにサービス全体のデザインやプロセスを工学的に扱う研究をしています。ここではサービスに関わる人や社会など非定量的な対象を定量化することが重要です。さらにサービスのプロセスとして「①ヒトやモノの状態を把握」「②何が起きるか予測」「③把握した状態や予測に基づいて的確に働きかける」というものを考え、これを実現するサービスデザインや最適な計画の策定する方法にも取り組んでいます。
シミュレーションテクノロジーグループ
当グループでは、人やサービスプロセスのような物理的には定式化できない対象をシミュレーションする技術を研究しています。現在は、人の集まる空間の安全性や快適性だけでなく、運用計画の評価を行うことを目指し、人の動きをモデル化して予測する研究に取り組んでいます。また、サービスオペレーションのシミュレーションにより、スタッフの人数や稼働時間、サービス提供品質などを事前に評価する方法も研究しています。
時空間情報テクノロジーグループ
お客様に質の高いサービスを提供するためには、それを支えるサービスオペレーションが重要です。当グループでは、サービス全体のモノ、コトを時空間情報として統合する技術と、サービスオペレーションの様々なプロセスに時空間情報を活用する手法を研究し、高精度かつ高効率なサービスの実現を目指しています。
オペレーションテクノロジーグループ
サービスのオペレーションは動的な要素や確率的な要素が多く含まれており、状態の把握や解析、さらにはリソースの割り当て・スケジューリングにより、その品質や効率が大きく左右されます。また、人がかかわるオペレーションも多く、人の特性を考慮した設計・計画が必要です。そこで、当グループではサービスの提供にかかわるオペレーションを解析し、よりよいオペレーションの仕組みを実現するための基盤技術を研究しています。
サービスを適切に提供するには、ヒトやモノの状態をリアルタイムに把握する技術が不可欠です。当ディビジョンでは、光・音・電波などのセンシングデータのイメージングやパターン認識、複数の種類のセンサーの統合、センサーが低消費かつ高速に動作するアルゴリズムの実装に取り組んでいます。
EM-Waveインフォマティクスグループ
プライバシーを保護しながら人やモノの状態を把握するには、カメラに依存しないセンシング技術が求められています。当グループでは、電磁波の周波数特性を活用し、状況を認識する技術を研究しています。見守りやヘルスケアなど多様な場面で活用できるセンシング基盤の実現を目指しています。
サウンドインフォ・プロセシンググループ
音には方向や種類など、状況を把握するための豊富な情報が含まれています。当グループでは、可聴音や超音波を利用して環境や物体の状態を認識する技術を研究しています。カメラに依存しない監視や見守りへの活用を目指しています。
マルチセンサ・パーセプショングループ
単一のセンサーにはそれぞれ得意・不得意があり、一つのセンサーだけでは把握できない状況があります。当グループでは、光・電波・音など性質の異なる複数のセンサーを融合する技術を研究しています。単一センサーの限界を超える高度なセンシングの実現を目指しています。
画像から多くの情報を読み取る技術は、安全・安心を実現する上で重要な要素です。しかし、画像認識技術の進歩だけでは、現場の多様な要求に応えることは困難です。当ディビジョンでは、画像認識に加え、脳生理や認知科学などの知見も取り入れ、実世界を理解するための研究に取り組んでいます。
ダイナミック・モデリンググループ
さまざまな画像認識技術の基盤として、物体の位置・形状や光源の特性をリアルタイムに把握することが求められています。当グループでは、光学・カメラ幾何・機械学習などの技術を融合した環境把握の研究に取り組んでいます。多様な環境で即座に対応できるリアルタイム認識の実現を目指しています。
インサイトAIグループ
AIの活用が広がる中で、人がAIの判断根拠を理解し、適切に調整できる仕組みが求められています。当グループでは、人とAIの連携を可能にする基盤技術を研究しています。用途や状況に応じて信頼性の高い判断を支援するAIの実現を目指しています。
アクション・レコグニショングループ
人物の行動を映像から自動認識できれば、犯罪の未然防止や事故への迅速な対応が可能になります。当グループでは、深層学習を活用した時系列動作解析や姿勢推定の研究に取り組んでいます。高度な人物の追跡や姿勢推定、行動解析の実現を目指しています。
アトリビュート・アナリシスグループ
人物の外見には、「年齢・性別・服装」「何を持っているか」「その人が誰か」「誰と一緒にいるか」などの属性情報が含まれています。当グループでは、機械学習を利用した人物認証や属性解析の研究に取り組んでいます。
プラグマティック・アルゴリズムグループ
画像解析を実際のサービス現場で活用するには、限られたリソースで高い性能を発揮する工夫が不可欠です。当グループでは、深層学習モデルの軽量化や、現場環境への迅速な適応に関する研究に取り組んでいます。性能とコストを両立し、多様な環境で動作する認識技術の実現を目指しています。
研究成果をサービスとして具体化するには、コンセプトを体感できるプロトタイプの構築が重要です。当ディビジョンでは、多種多様な環境で安定動作するプロトタイプの設計方法を、理論と実践の両面から研究しています。仕様変更を前提とした柔軟な構築プロセスの確立を目指しています。
フュージョン・アーキテクチャグループ
新たな技術を現実の世界で実証するには、完成度の高いプロトタイプを迅速に構築する方法が求められます。当グループでは、技術の進展に対応できる拡張性を持つプロトタイプのアーキテクチャと構築プロセスを研究しています。安定して動作するプロトタイプを効率的に構築できる方法論の確立を目指しています。
システム・エンジニアリンググループ
高度な技術を集約したプロトタイプを効率的に構築・運用するには、高度なシステム化技術が求められます。当グループでは、さまざまな環境でのプロトタイプの構築と運用を通じた実証的な研究に取り組んでいます。システム化技術を実用的な方法論へ昇華させることを目指しています。
サイバー世界とフィジカル世界の融合が進む中で、セキュリティ、プライバシー、トラストの3つの視点が不可欠になっています。当ディビジョンでは、IoTセキュリティ、暗号技術、プライバシー保護、システムアーキテクチャなどを分野横断的に研究しています。高度なデジタル社会を支える信頼できる基盤の実現を目指しています。
サイバーフィジカル脅威インテリジェンスグループ
サイバー世界とフィジカル世界が高度に融合したデジタル社会では、サイバー攻撃や機器への不正な操作などの脅威が、攻撃界面の増加に伴い複雑化します。当グループでは、こうした脅威に関する情報や知見を収集・分析し、社会動向や攻撃者の行動を踏まえて体系的に理解する研究に取り組んでいます。さらに、脅威の予兆や将来の変化を捉え、防御や対策につなげるための脅威インテリジェンスの研究を進めています。
AIセーフティ&プライバシーグループ
AIの社会実装の進展に伴い、AIの安全性・信頼性とプライバシー保護の重要性が高まっています。当グループでは、AIの誤判断やバイアス、誤用・悪用などのリスク低減に向けた研究に加え、AIを活用した新たなプライバシー保護技術やユーザー体験の向上を一体的に扱う研究に取り組んでいます。
トラスト基盤グループ
人・モノ・組織・システムがデジタル空間で相互につながる中で、信頼できるデジタル社会を実現するには、技術だけでなく、ルールや運用を含めた信頼(トラスト)の形成が重要と言えます。当グループでは、認証、権限管理、データ・システム連携などの信頼の形成・持続を支える技術を研究するとともに、デジタル社会における信頼の仕組みを社会基盤とするための知見を体系化する研究にも取り組んでいます。
暗号基盤グループ
デジタル社会の基盤技術として暗号技術が広く利用されています。近年では、耐量子計算機暗号への移行や、ゼロ知識証明、秘匿計算などの新たな暗号技術の活用が進み、暗号技術に求められる役割も大きく変化しています。当グループでは、耐量子計算機暗号をはじめとする暗号技術について、安全性や信頼性を検証する技術の研究に取り組んでいます。また、限られた計算資源でも利用できる効率的な暗号技術や、暗号技術の移行に関する課題を解決するための研究を進めています。
セキュアシステムアーキテクチャグループ
暗号などの優れたセキュリティ技術も、システム全体が適切に設計・実装・運用されなければ、その効果を発揮できません。当グループでは、エッジデバイスやクラウドなどの個々のシステムアーキテクチャから、それらがネットワークを介して連携する分散システムのアーキテクチャまで、幅広い階層を研究対象としています。これらを対象に、安全性と開発・運用の効率を両立する技術について、実装と実証を通じて研究に取り組んでいます。