森 敦

プラグマティック・アルゴリズムグループ

— 大学時代はどんな研究をしていましたか?

私は、大学時代はシステム工学部に在籍していました。当時の研究は、近赤外線カメラで撮影されたグレースケールの顔画像をカラー化するものです。この研究について、大学院時代に国際発表を行い、世界の研究者と知識を深められたのは良い経験だったと思います。
大学院に進学後はテーマが変わり、複数のカメラ間で人物の追跡を連携させる手法について研究しました。またこの研究を通じて、監視カメラを用いた人物追跡やカメラ間での人物同定などの技術が、セキュリティ分野でどのように活用されているのか興味を持ちました。後にIS研究所のインターンに参加する機会があり、企業の画像処理の研究に触れられたことが、入社のきっかけになりました。

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— 就職後の経歴を教えてください

入社後のOJTでは、さまざまな分野の研究に関わることができました。特に印象に残ったのは、偏光カメラで取得したデータを画像のセグメンテーションに活用する研究です。屋外に出て実際に撮影するところから、撮影した生データの加工や、セグメンテーションして分析するツールを作成するところまで、幅広く経験できました。
その後、ターゲット・ディテクショングループに所属して、画像認識による人物検知や、人物領域のセグメンテーションの研究に取り組みました。このとき初めて深層学習を学び、今の研究にも役立てています。
現在は、プラグマティック・アルゴリズムグループに所属して、多様な実環境で適切に動作する画像認識技術について研究しています。


— 今はどんな研究をしていますか?

私が検討しているのは、ブラックボックスになりがちな深層学習のモデルを、人間が制御できるようにする技術です。画像処理システムを運用する環境が異なると、同じ画像処理タスクであっても適したモデルは異なります。深層学習のモデルを制御できれば、運用環境に適したモデルを構築しやすくなります。また、特定の環境で誤検出などの問題が起こる場合、その原因箇所を突き止められると期待されています。
いま検討している方法は、多くのタスクを複合した巨大なモデルを、細かなタスクごとに分割するというものです。この方法で、どのモデルがどのタスクを担当しているかが分かるため、モデルを制御しやすくなります。一方で、複数のタスクのモデルを別個に実装すると、多くの計算資源が必要になるため、計算の効率化も必要です。

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—普段の仕事や生活はどんな様子ですか?

私は、朝に仕事をする方がはかどるので、主に7時半~17時頃に働いています。通勤は、運動のためにも自転車でするように心がけています。出社後にすることは、前日に実行していた深層学習の結果の評価や、最新の技術の調査です。他の時間は、主にコーディングや論文を読むことに費やし、帰宅前にはまた深層学習を実行するなど翌日の準備をしています。
自身の研究で作成した深層学習のモデルは、他の研究でも利用できるように、別の研究員と共有しています。また、そこで得られた知見や評価結果をフィードバックすることで、モデルの改良などに役立てています。
自由な時間があれば英語を勉強したり、読書をしたりしています。読書は、小説や歴史、事故災害の本を読んでいます。歴史や事故の本から、なぜ起こったのか、なぜ失敗したのか、どのように改善されてきたのかを辿ると、現在の身の回りの物事に繋がり、とても興味深いと思っています。