宮野 修平

シミュレーションテクノロジーグループ

— 大学時代はどんな研究をしていましたか?

私は、高校時代から物理に興味がありましたが、理論物理よりも応用領域に関心をもつようになり、大学院で物理工学を専攻しました。私の所属していた研究室では、交通・経済・生態系などのあらゆる分野に対して、物理学的発想でアプローチする研究を行っていました。当時の私の研究は、人間のグループ形成に関する数理モデルを創るというものです。人間系が対象の研究ということもあり、人文系の研究者とも議論しつつ学際的な研究ができました。また、フィンランドに短期留学し、多国籍の研究者たちと交流できたのが良い経験でした。

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— 就職後の経歴を教えてください

入社後1年間は各ディビジョンを2カ月単位でまわり、多彩な技術分野の研究を行いました。例えば、2次元画像から3次元情報を復元する画像処理、ICチップ内の暗号鍵を盗み読むサイドチャネル攻撃の実践調査、ドローンの自己位置推定アルゴリズムに関する評価検証などです。いずれも初めて触れる領域でしたが、専門以外の分野について学ぶのも好きだったので、どの研究も楽しく進められました。

現在はシミュレーションテクノロジーグループに所属しています。このグループでは、人やサービスプロセスなどの定式化の難しい対象をシミュレーションする技術を研究しています。大学院時代の研究と今の研究は関連があるので、とても面白いと思って取り組んでいます。実は、IS研究所を知るきっかけは、インターンに参加したことです。その際に現在のテーマに関連した研究ができたのも良い経験でした。


— 今はどんな研究をしていますか?

今は、人間の行動選択や歩行をモデル化した人流シミュレーションの実現に取り組んでいます。不特定多数の人が集まる空間では、大規模イベント時や災害時などに向けて、群集を適切に誘導するための計画を立てる必要があります。群集誘導計画を工学的に設計し、最適化するために、シミュレーションによる事前検証が有用です。

この研究では、さまざまな分野の知識が求められます。人間の行動選択や歩行のモデル化には、人間工学や認知科学、行動経済学などの知識が必要です。また、シミュレーターの実装や予測結果の可視化には、コーディングやVR/ARツールに関する技術も欠かせません。とても難しい課題ですが、徐々に成果が表れていて、一部を学会や研究会で発表することもあります。

今後も、混雑を発生させない群集誘導の需要は増すと思われます。私が構築したモデルを用いたシミュレーションによって、より安全で快適な空間づくりが実現することを目指して研究を進めています。

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—普段の仕事や生活はどんな様子ですか?

いつも9~10時頃に仕事を始め,18~19時頃まで働いています。熱中しているときは長めに仕事をすることもあります。主な業務は、関連分野の最新論文の調査、シミュレーターの実装や実験です。

テレワークの日は、一日家に閉じこもると発想が拡がらないので、休憩時間をうまく利用して散歩しながらアイデアを考えたり、コーヒー休憩や昼寝を取り入れたりしながら生産性を上げています。料理をしながら海外ドラマを観るのもよい気分転換です。

終業後は、読書や語学・技術系の勉強をしています。特に統計学や強化学習、競技プログラミングは、趣味の一環ですが業務にも役立つと思っています。裁量労働制なので、全ての時間が仕事であり、趣味でもあります。
他には友達と通話やゲームをして過ごしています。室内運動のゲームで体を動かすと、よく眠れて翌日のパフォーマンスがよいと感じています。