藤本 裕之

ヘルスケアグループ

— 大学時代はどんな研究をしていましたか?

私は、早稲田大学の総合機械工学研究科にある、画像処理の研究室に在籍していました。高校時代から機械知能に興味があったので、環境を認識してそれに応じて機械などを動かすためのマシンビジョンの研究をしたかったからです。ただし、当時の学科では、苦手な物理の授業ばかりでとても苦労した思い出があります。

当時の研究は、森林の獣害被害を解決するための、森林環境をモニタリングする車輪型自律走行ロボットの行動計画でした。森林全域を効率的にモニタリングするためには、未観測領域も含めてどのような行動させるかが重要な課題でした。当時は、マシンビジョンを活用して実世界で動くロボットを扱うのは、機械知能らしい研究だと思い、楽しんで取り組んでいました。

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— 就職後の経歴を教えてください

入社して1年間は研修があり、そのうちの大半は各研究グループに所属して短期の研究を行いました。Androidアプリのユーザープライバシーの調査やシミュレーション環境での群衆解析など、全く知らない分野の研究も体験できたのは刺激的でした。あまり良い成果が得られなかったものもあれば、良い研究に結び付きそうな片鱗が見える成果が得られたものもあり、可能性を広げられる良い経験だったと思います。

今は、ヘルスケアグループに所属し、医療や介護予防、健康増進の研究などに携わっています。このグループは、IS研究所の中でもサービスに近い研究を多く行っています。大学院時代の経験から実世界で動かして初めてわかる課題が多くあることを学び、本配属のグループを選択する際には、よりサービスに近いところで研究したいという希望をしました。その結果、ヘルスケアグループに配属されました。元の専門分野よりも研究に対するマインドを重視してくれたのだと思います。


— 今はどんな研究をしていますか?

今は、コミュニケーションロボットと自然言語処理を組み合わせた、高齢者向けのサービスのための技術を研究しています。これは、コミュニケーションロボットを活用した、高齢者に寄り添う新たなサービスを実現するための研究です。現在は、ユーザーとロボットの会話を自然言語処理で分析し、ユーザーの特性を見つけたり、そのユーザーにパーソナライズされた会話をロボットにさせたり、といったことを目指しています。
コミュニケーションロボットは、「セコム暮らしのパートナー」という事業で既に試験運用されており、高齢者のQoL(Quality of Life:生活の質)向上に関わる要素として期待されています。

私にとって自然言語処理はほとんど触れたことのない技術でしたが、日々の研究を通じて成長を感じられるようになってきました。新しいことに取り組むのが好きだったことや、興味のある機械知能らしい研究なので、自分の性に合っていると感じています。

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—普段の仕事や生活はどんな様子ですか?

普段の業務の大半は、コーディングや論文の調査です。行き詰まったときには仲間と会話をしたり、社内チャットで世間話をしたりして気分転換をしています。職場まで徒歩で通勤できる距離に住んでいますが、出社する場合もテレワークをする場合も、だいたい10時に仕事を始めて、19時で終わらせています。その日の調子によっては、もっと遅めに出勤したり、早めに退勤したりすることもあります。自分の働きやすいように裁量労働制を活用しています。

仕事以外の自由な時間では料理をしていて、だし巻き卵に納豆やチーズを入れるなど試行錯誤しています。仕事と直接の関係はありませんが、新しいことに執念深くチャレンジして、トライアンドエラーを重ねつつ目標を達成する姿勢は、研究にも役立つ考え方かと思っています。