AIの軽量化

プラグマティック・アルゴリズムグループでは、研究成果の実用化を見据えた技術として、アルゴリズムの高速化や省リソース化、現場(お客様の物件)環境へのアルゴリズム適応をテーマとした研究を進めています。ここでは、AIの軽量化について説明します。

近年のAIの発展を支える技術であるディープニューラルネットワーク(DNN)は、ネットワークの層数やパラメータ数が多い程、性能が高くなる傾向があります。そのため必然的に高い計算リソースや消費電力が要求されます。一方で、実用化の観点では、無尽蔵に計算リソースを使うことはできません。性能とコストをいかに両立するかが研究上の課題です。

課題に対する取組みの1つが、DNNの画像認識タスクの共通化です。当グループの所属するビジョンインテリジェンスディビジョンでは、さまざまな画像認識タスクにおいてDNNを活用しています(人物の追跡、認証、属性推定、姿勢推定、行動認識など)。当グループの取組みは、複数の画像認識タスクのネットワークやパラメータなどの共通する構造を利用し、タスクの動作を効率化するものです。これにより計算資源が限られていても、複数の画像認識タスクの連携が必要となるサービスを最小限のハードウェアで実現できます。
複数の画像認識タスクを共通化できれば、計算リソースが限られていても、複数のタスクを効率よく動作させられます。例えば、人物の移動軌跡と姿勢推定で不審な人物を検知した上で、外見特徴を記録して照合するなどのサービスにも活用できます。

また、共通化された画像認識タスクの詳細を解析することで、ブラックボックスであるDNNを制御するための知見が得られる可能性があります。共通化されたタスクが制御可能になると、現場環境への適応や新規機能の追加を効率的に進められ、実運用における効果も非常に大きいです。

セコムで提供する安全・安心のための機能やサービスは、お客様の事業や環境、社会情勢の変化、技術革新等、様々な要因で日々進化します。こうした進化を支える技術であることも、当グループで取り組む意義です。