AIの現場環境への適応

ププラグマティック・アルゴリズムグループでは、研究成果の実用化を見据えた技術として、アルゴリズムの高速化や省リソース化、現場(お客様の物件)環境へのアルゴリズム適応の研究を進めています。ここでは、アルゴリズムの現場適応について説明します。

研究開発したアルゴリズムの実用性は評価用データで検証します。しかし、実世界のあらゆる事象を網羅したデータが事前に収集できるわけではありません。そのため、評価用データに含まれていない現場特有の環境に起因する問題が発生した場合には、その環境に適応するようアルゴリズムを改善する必要があります。

近年、深層学習に代表される機械学習を利用した人工知能(AI)の発展は目覚ましく、セコムの画像認識においても活用しています。しかし、AIを新たな問題へ適応させるには、学習用データの収集とAIを再学習させるための時間が必要です。ときにはアルゴリズム改善に週単位や月単位の時間がかかる場合があります。24時間365日サービスを提供するセコムのセキュリティ事業では、スピーディな対応が要求されるため、お客様の現場で問題が発生する度に、アルゴリズム改善に長い時間をかけられません。

そこで、AIを現場環境に迅速に適応させる技術が必要になります。例えば、従来のルールベースの識別手法とAIを組み合わせることで、AIの再学習が不要になると考えています。ルールベースの手法は人間の知識を利用して、現場特有の問題に対して即座に対応できます。ただし、現場の問題ごとに人間がルールを記述するのは人的負担が大きいという課題があります。そこで、AIと組み合わせてルール記述を容易にするなどの人的負担を軽減する方法の検討を行っています。
また、AIの再学習が避けられない場合、問題に関連しそうな部分を特定してAIをはじめから全て学習し直さずに済むようにすれば、短時間に性能調整ができるかもしれません。
このように、アルゴリズムの性能や速度だけではなく、セコムの運用を踏まえた環境適応についても考慮した実用化技術の研究を行っています。