IS研究所のチームが匿名加工技術を競うPWS Cup 2021で匿名加工部門優勝

10月27日に行われた「PWS Cup 2021」にIS研究所の研究員7名で構成されたチームが出場し、匿名加工部門で優勝しました。

PWS Cup出場メンバー
参加メンバーの(左から)川田研究員、玉井主務研究員、松永グループリーダー、香川研究員

PWS Cupは、プライバシー保護技術の研究開発を進める学術機関と、データ活用の技術者・専門家との間での議論や交流を活発にし、プライバシー保護技術の研究開発を活性化するために開催されています。この競技会は、匿名化フェーズと攻撃フェーズがあり、匿名化フェーズではパーソナルデータセットを匿名化し、攻撃フェーズでは他のチームの匿名化したデータを暴き、その技術力を競います。

今回の競技会では、糖尿病に罹患するリスクを予想する研究のための匿名加工化技術に焦点が当てられ、健康診断結果や医師の診断結果を含むヘルスケアデータを、匿名化して提供するというストーリーとルールが設定されました。

匿名化フェーズでは、受診者が特定されないようにデータに適切な加工を施します。このとき、匿名化したデータから糖尿病罹患リスクを算出できる有用性を残す必要があります。攻撃フェーズでは、受診者が自分のデータが流通していないかを心配し、匿名化データに自分のデータが含まれていないかを検査するというストーリーが設定されました。他のチームが加工した匿名化データに対して、ある受診者のデータが含まれているかどうかを推定します。もし該当するデータが含まれている時は、どのデータかを識別します。

IS研究所のチームは、匿名化フェーズで、個人特定の手掛かりとなる特異なデータを記録する受診者データを削除しました。その上で、加工前のデータと似たデータにならないように加工することで、類似度をもとにした攻撃をできなくしました。

国内外でビッグデータ活用のニーズが高まっているなか、データの効果的な活用とプライバシー保護を両立させる技術や制度の発展と企業におけるプライバシーガバナンスの実践が求められています。IS研究所では、プライバシーへの配慮はサービス品質向上に繋がる重要な要素と捉え、安全・安心・快適・便利なサービスを提供するために不可欠な技術として、プライバシー保護技術の研究を進めてまいります。

PWS Cup 2021(外部サイト)