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増加する高齢者犯罪と減少する少年犯罪

 昨年末、法務省から平成26年版の犯罪白書が発表されました。今回の特集では「窃盗事犯者と再犯」を取り上げ、年齢別、男女別の窃盗犯罪と、その再犯の実態や要因などについてまとめられています。
 かつては、少年犯罪が

問題視され、犯罪の低年齢化を危惧するときもありました。しかし、近年では必ずしも少年犯罪が問題というわけではなくなってきているようです。

窃盗の検挙人数は少年と高齢者が4分の1ずつ
 2013年の窃盗犯による検挙人数は、13万8947人で、刑法犯の検挙人数26万2486人のうち、半数を超えている状況です。窃盗の中でも、非侵入盗の検挙人数は多く、81%を占めています。
 検挙された人数の分析を、この特集の中で行っています。それをみると、未成年者を表す"少年"が24.0%、20〜29歳の者を示す"若年者"が12.8%、65歳以上の"高齢者"が24.5%となっています。
 また、男女別で見ると、女子の比率は30.9%となっています。これらの比率の推移をみると、女子比率、若年者比率については、ほぼ横ばいとなっていますが、少年比率と高齢者比率は、大きく変化しています。少年が減少、高齢者が増加という傾向が、続いています。

少年の検挙人数を上回った高齢者の窃盗
 少年と高齢者の検挙人数の推移をみると、1999年までは少年の割合が5割を超えていましたが、それ以降は減少が続いています。一方、高齢者については、2003年に1割を超えてからも増加を続けています。
 20年前は、窃盗犯のうちに占める少年の割合が2人に1人、高齢者の割合が20人に1人だったのが、最近はどちらも4人に1人となっています。それを示したものが右の図です。また、これまでは少年の検挙人数の方が多かったのですが、2013年に初めて高齢者が上回っています。少子高齢化によって、この現象が起こったようにも見えます。
 しかし、単位人口当たりの検挙人数をみると、それだけとは言い切れないようです。少年犯罪をみると、この20年で当該人口は3割減少していますが、単位人口当たりの窃盗検挙人数は、ほぼ半減となっています。また、高齢者犯罪では、人口は8割増加しましたが、単位人口当たりの窃盗検挙人数は2.5倍にもなっています。どちらも、人口の変化以上に、犯罪検挙人数が変化しているといえます。

万引きを軽視することなかれ
 今回の犯罪白書の特集をみると、高齢者の犯罪増加が際立っているように感じられます。特に多いのが万引きとなっており、窃盗による検挙人数のうちおよそ8割が万引きとなっています。少年犯罪についても万引きは多く、窃盗検挙人数のうち半数以上となっています。
 また、万引きを始めとする窃盗を前科に持つ者ほど、再犯率が高くなっており、他の犯罪と比べても、仮釈放後の取消・再処分となる割合が高くなっています。出所後の保護観察、社会での受け入れ態勢など、これらの問題を解決するためには、まだまだなすべきことが多くありそうです。
 万引きを軽くみる風潮もありますが、犯罪の入り口となっている面もあり、早い段階で犯罪の芽を摘むという意味でも、店舗などでの厳しい対応も必要と言えそうです。

  【参考情報】
万引き防止に「不正持出し監視システム」

セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰


窃盗の検挙人数の年齢別構成比(上:1999年、下2013年)(警察庁)

窃盗の検挙人数の年齢別構成比
(上:1999年、下2013年)(警察庁)

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