ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 「言葉の壁」が防犯には有利に働く
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。「安心豆知識」は、カレンダーの関係で、今回が今年初めとなりました。本コラムでは、今年も日々の生活を犯罪から守るために参考となる「安心豆知識」を提供していきたいと思います。
「言葉の壁」のデメリットとは
年始めの今回は、犯罪における「言葉の壁」について考えてみたいと思います。言語学の分野では、私たちが普段使っている日本語は、世界の多くの場所で使われている言葉と異なる独特な言語体系を持つと言われています。そのため、日本語は外国語として学ぶ場合、その習得に大変苦労する言葉の一つとされています。
日本の大学では、授業、研究、論文執筆や紀要の発行などを含め、基本的な活動は日本語をベースとしており、多くの情報が日本語で発信されています。しかしながら、多くの外国人はこの日本語が理解できません。このことは、日本の大学の世界ランキングが、他の先進国の大学と比較して、あまり高くはないことの要因の一つになっているのではと思います。
一般に、大学ランキングというと入学試験の難易度を考えてしまいますが、この大学ランキングは、学生の学力以外に、研究論文が世界中の研究者に引用された数、世界に対して開かれているかなどをベースとして決められたものです。その意味では、世界で使われている言語を基本として活動している諸外国の大学と比較して、日本の大学は損をしているかもしれません。
最近、産業界において公用語を英語にする試みがなされ、それが議論を呼んでいます。世界をマーケットとし、世界中から優れた人材を採用したい企業にとっては、公用語として英語を採用することは理にかなっているとも言えます。
犯罪における「言葉の壁」のメリットとは
さて、ここで犯罪について考えてみます。実は、新しい犯罪手口は世界中で考案されており、インターネットが普及した昨今ではそれが瞬時に伝播してしまいます。昨日、ある場所で考え出された犯罪手口が、今日は地球の裏側で使われるというのも珍しくなくなってきています。
しかし、幸いなことに、日本には、日本語という言葉の壁が存在します。そのため、世界で新しい手口が考案されてもそれが入ってくるまでに時間がかかっています。私たちは、その時間を利用して手口を研究し、対策を考えることができるのです。
乗り越えられつつある「言葉の壁」
言葉の壁によって良くも悪くもガラパゴス状態の日本ですが、昨今の技術革新により、若干状況が変わってきています。情報処理の研究分野の一つである「自動翻訳」という技術が、一般の人でも手軽に使えるようになってきたのです。
前にも触れたことがありますが、ネット上にある翻訳サイトで外国語を翻訳すると、まだまだ未熟ではあるものの、その言いたいことの大体を理解できる日本語が出力されてきます。日本語しか分からない場合でも、外国語で書かれた多くの手口情報を入手できるということです。
言葉の壁を乗り越え、世界に向かって扉を開けるべく研究が進められている自動翻訳の技術ですが、その開かれた扉からは、良いも悪いも区別されず、多くの情報が入って来てしまいます。攻める側の犯罪者が世界の情報にふれられる昨今、守る側の私たちも世界の情報に無頓着ではいけないのです。
本コラムでは、今年も、世界のさまざまな情報を始めとして、「安心豆知識」を提供していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いします。
(参考)
・安心豆知識「犯罪手口に関する開国の時代」(2010/2/8)
・安心豆知識「安心への第一歩は情報の入手から」(2010/9/6)
・「日本国内で遭う国際詐欺事件」(外務省・海外安全ホームページ)
・「おいしいメールと国際詐欺」(外務省・海外安全ホームページ)
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