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前回のコラムで「ひったくり」という犯罪について、その本質的な原因について考え、その対策について述べましたが、それでもひったくりにあってしまったらどうすれば良いのでしょうか? ひったくりにあったバッグの中にあった現金については、ひったくり犯のターゲットそのものなので、多くの場合、残念ながらあきらめるしかありません。しかし、もしバッグの中に通帳と印鑑、キャッシュカードやクレジットカードが入っていたら、被害を小さくするためにできることはあるのです。
筆者には、防犯関係の講演をする機会が数多くあります。その際、「もし財布と一緒にキャッシュカードを落としたら、皆さんは今すぐに口座を止めることが出来ますか?」と問いかけると、すぐに止められる人、すなわちご自身の金融機関口座の口座番号とその緊急連絡先を記憶している人、もしくはメモを財布と別に持っている人は、聴衆の種類によらず大体2〜3%の方しかいらっしゃいません。
一般にクレジットカードには保険がかかっており、万が一、不正使用された場合でも過去にさかのぼって保険で救済されるケースが大部分です。一方、キャッシュカードについては、最近は保険がかかっているケースが増えてきたようにも思いますが、必ずしもすべてのケースとは言えません。また、通帳や印鑑の不正使用については、保険でカバーされることはまだ少ないと言っても良い状況にあるかと思います。
従って、金融機関の口座にある自分の財産は、自己責任で守る必要があると言えます。なにかあった場合、ご自分で、すぐに金融機関に連絡して口座を凍結しなければ、ご自身の財産が脅威にさらされるということです。
そのためには、ご自身の口座番号と金融機関の緊急連絡先を覚えておくのがベストです。複数の口座をお持ちなどで、それがなかなか難しい場合、シールなどに書いてたとえばベルトの裏にでも貼っておく、などの対策をしてみてはどうでしょうか? ほとんどコストがかからない対策ですので、ぜひ実施してください。
金融機関の緊急連絡先一覧は、各金融機関の所属する協会(銀行なら全国銀行協会)のウェブサイトにあります。銀行の通帳やキャッシュカードには、必ずしも24時間受付の緊急連絡先番号が記載されているとは言えませんので、ぜひ一度アクセスして、自らがお使いの金融機関について緊急連絡の電話番号をチェックしてみてください。
本コラムでは、不安を感じる何らかの事態に対応しようとするとき、(1)「事態そのものを起きにくくする対策」、(2)「被害の拡大を防ぎ、最悪の状況に至らないようにする対策」、(3)「金銭的な窮地に陥らない対策」の3つの対策が人のできることのすべてであるということについて再三にわたり述べてきました。今回ご提案した対策は、ひったくりに対する二つめの対策となります。
人はあわてると、普段何でもなくできることでもすみやかにはできなくなります。今回の対策は、被害を防ぐためには当然のことではあるのですが、「あたりまえのことを(A)、バカにせずに(B)、ちゃんとやる(C)」という防犯のABCであるということを頭におき、ぜひ各人で行っていただきたいと思います。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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