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建物火災での死因のトップは一酸化炭素中毒

 先日、山口県のホテルで一酸化炭素中毒による死亡事故が起こりました。報道によると、暖房器具ではなく、お湯を供給するためのボイラーが原因だったようです。一酸化炭素が部屋にこもってしまい、それを大勢の方が吸い込んでしまったとのことです。

 毎年、冬になると一酸化炭素中毒による死亡事故が増える傾向にあります。閉めきった部屋の中で石油ファンヒーターなどの暖房器具を使い続けていると、部屋の中の酸素が減ってしまいます。暖房器具が不完全燃焼を起こしてしまい、部屋の中にいる方が一酸化炭素中毒で亡くなるようです。

 また、一酸化炭素中毒は火災の際にも多いのです。火災というと「やけど」というイメージが強い方もいらっしゃるかと思います。確かに火災全体で見た場合、一番多い死因はやけどによるものですが、建物火災を対象に見てみると、右の図のように一酸化炭素中毒もしくは窒息で亡くなる方が多いのです。さらに、建物の構造別で見ると、木造よりも耐火造の方が一酸化炭素中毒で亡くなる方が多いのです。

 おそらく、密閉度合の違いによるものと考えられます。消防隊の方に伺った話では、火を消そうと活動している間に逃げ遅れてしまい、部屋に充満した一酸化炭素を吸い込んで意識がなくなり、倒れたままの姿で発見されるケースが多いと聞きます。火勢が強くなってしまったら、すぐに避難して、消防に連絡してくださいと話されていました。ちなみに、火が天井に届いてしまったら自力での初期消火は無理と言われています。

 一酸化炭素はにおいもなく、気がついたときにはすでに手遅れで、体を動かすこともできず、最終的には窒息してしまうとのことです。初期症状としては、頭がフラフラするとか頭痛がするといったものだそうです。少しでもおかしいと思った場合は、新鮮な空気のある屋外などに移動することが大事です。かつての日本の家屋はすきまが多く、少しずつ換気をしていることと同じだったのですが、最近の高気密・高断熱をうたう住宅では、それを期待することはできません。

 においのない一酸化炭素は、センサーで検知する以外に方法がありません。「セコム・ホームセキュリティ」では、ガス漏れ監視のセンサーも用意しています。そもそも、閉めきった場所で火を使い続けることをしないことが大切と言えます。ガスや石油の暖房機器を使う場合は、いくら寒くても定期的に窓を開けて換気をすることが非常に重要になっています。

(関連記事)
「住宅用火災警報器の全国普及率は77.5%」
「火災は10月から増えてくる」

(参考)
片手で操作できる消火システム「トマホークマッハ」

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
濱田 宏彰

建物火災における死因(消防庁 2007年)

建物火災における死因(消防庁 2007年)

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