ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 新型インフルエンザに関する公式情報の提供にスピード感を
メキシコで発生した新型インフルエンザが急速に世界に広がり、日本においても関西地区を皮切りに首都圏でも発症する人が報告されています。東京においても、電車などの公共交通機関や、繁華街などで多くの人がマスクを着用するようになってきています。
人の間の感染事例が、国内で最初に報告された関西では、学校の一斉休校措置が長引くことによる教育の遅れ、人々が外出を自粛したことによる経済活動の停滞など、目の前で展開する事態に対する悲鳴も聞こえてきています。また、感染した人間が所属する組織に対するネット上のバッシング、ネットオークションにおけるマスクの価格高騰、インフルエンザ治療薬の海外からの個人輸入などの、ネット社会ゆえの社会問題も指摘されてきています。
これらの問題の多くは、重症化することを想定した強毒性の「鳥インフルエンザ由来の新型インフルエンザ」への行動指針をベースとした組織の行動と、人々の恐怖感から発生しています。これまで策定してきた行動指針が、今回の弱毒性「豚インフルエンザ由来の新型インフルエンザ」に対しては、必ずしも最適ではなかったということです。政府もこのことに気がつき、地域の発生状況に応じて、受診のルールや、学校などの臨時休業・再開の判断など柔軟に運用する新しい対処方針を発表しています(5月22日朝)。
セコムIS研究所セキュリティコンサルティンググループでは、昨年11月の時点で一般の人々約千人を対象とした新型インフルエンザ(当時は鳥インフルエンザ由来の強毒型を想定)に対して「そのリスクをどのように考えているか」と「リスク情報の共有のあり方」(リスクコミュニケーション)に関するWeb調査を行い、わが国の普及啓発のあり方について分析と提言を行っています。
その調査からは「新型インフルエンザの情報提供が不足している」と感じている人が8割以上もいた一方で、情報の受け手である一般の人々の関心は十分に高まっておらず、社会全体で、新型インフルエンザに関する情報の提供と収集にそれほど熱心ではなかったことがうかがえました。今回、実際に起こっているさまざまな事態は、新型インフルエンザへの対策が本格化しようとしていた矢先に、現実に先を越されてしまったために発生しているという側面を持っています。
災害心理学では、発生している事態に関する情報が、正しい知識に先行すると、人々が過剰な不安心理に陥ることが知られています。こうした状況において人々の不安心理を緩和し、一人ひとりの適切な行動を促すためには「信頼できる情報」と「行動指針(具体的対策)」の提供が必要となってきます。
先のWeb調査では、新型インフルエンザの情報収集において、特に30代以下の若い層においては「インターネットサイトから」の割合が多いという結果が出ています。インターネットのホームページによる情報提供は、即時性と熟読性という、テレビと新聞、両メディアの特長を合わせ持っていると言えます。
厚生労働省のホームページでは、「新型インフルエンザに関する情報」がトップに掲げられ、社会に対して情報発信する形が取られています。先に、我々に求められている態度について「新型インフルエンザという新しい脅威に対しても、恐れすぎず、正しい情報を入手し、人ができる最善を尽くしてきちんと対応すること」と述べましたが、これを実現するためには「正しい情報をいち早く」が欠かせません。
(参考)
・セコムIS研究所 Web調査
「新型インフルエンザのリスク認知とリスクコミュニケーションに関する調査報告書」(PDF)
・
厚生労働省「新型インフルエンザ対策関連情報」
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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