
第411回 自分にあったダイエットを見つける方法
新しいダイエット方法が次々と登場するなかで「正しくない」ダイエットを見分けるのは難しいもの。
間違ったダイエットや自分の体質にあわないダイエットは、健康を害するリスクもあるので注意が必要です。
今回は、「女性のためのダイエット」の連載後編。
リスクのあるダイエットについてまとめます。
前回に引き続き、セコム医療システム株式会社の管理栄養士にリスクの見分け方や自分にあったダイエットを見つける方法などを聞きました。
【あわせて読みたい!「女性のためのダイエット」前編】
正しいダイエットの基礎知識
- プロフィール
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(左)セコム医療システム株式会社 健康サービス部 管理栄養士 平岡 小町
2024年4月に入社。特定保健指導、働く人のための健康増進事業企画を担当。(右)セコム医療システム株式会社 健康サービス部 管理栄養士 岡部 裕美
2015年7月に入社。特定保健指導、働く人のための健康増進事業企画を担当。
話題のダイエットが安全とは限らない
- SNSを見ると、ダイエットに関する情報をいろいろな人が発信しています。やせる効果がある食事方法やトレーニングなど、試してみたくなるものがたくさんありますね。
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岡部: 科学的に裏付けされたダイエット方法なら、一定の効果は得られると思います。
ただ新しいダイエット方法のなかには科学的根拠に乏しいものが少なくありません。
たとえば食事制限をおこなうダイエットには、リバウンドや摂食障害、骨粗しょう症などの健康リスクが考えられます。これらは継続的な研究なくしてはわからないことです。
トレンドのダイエットを試す前には、安全性やリスクを調べる必要があると思います。
研究論文やリスクに関する科学的な情報が極端に少ないダイエット方法は、あまりおすすめできません。 - 平岡:どんなトレーニングでも継続すればダイエット効果が期待できます。
しかし「1日●分で必ずやせる」とか「3日でマイナス●cm」のような極端な言葉に信ぴょう性があるかは疑問です。
SNSでトレーニング方法について発信しているご本人には効果があるのかもしれませんが、トレーニングの成果は個人差が大きいので、万人が同じ結果を得られるわけではありません。
そのことを理解したうえでトレーニングに取り組みましょう。 - 岡部:やせたい部分に効果的な体の動かし方を参考にするのは良いと思いますが、トレーニングには体を痛めるリスクもともないます。
今の自分の体に負担がかからず、継続できそうなトレーニングを無理のない範囲で続けることが大切です。
医療ダイエットとサプリメントのリスク
- 医療ダイエットが流行っています。具体的にどういうものなのでしょうか?
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岡部: 医療ダイエットは、病院やクリニックなどの医療機関で行われる医療行為のひとつです。
脂肪吸引や脂肪溶解注射、内服薬など、いくつか方法があります。
過度な食事制限や運動を必要とせずラクにやせられる、やせたい部分に集中的にアプローチできるなどメリットはたくさんありますが、基本的には保険適用ではないので高額であることが多いようです。
また、医療ダイエットの消費者トラブルも報告されています。
オンライン診療だけで糖尿病治療薬が痩身目的で処方されるといった安全性に関するトラブル、説明不足や解約・返金などのトラブルも国民生活センターには多数報告されています。
医療ダイエットをおこなうなら、信頼できる医療機関を見極めることが肝心。
医師がこれまでどんな診療をしてきた人か、医療ダイエットの実績などをきちんと調べたうえで判断することが重要です。
口コミをチェックするなど、入念にクリニックの信頼性を確かめておいたほうがいいですね。
もしBMIの値が「30以上」を示すほどの肥満であれば、まずは肥満外来で診察を受けたほうが安心だと思います。
- SNS広告などでダイエットサプリの広告をよく見かけます。宣伝文句や画像にインパクトがあるものが多く、つい気になってしまう女性もいると思いますが...
- 岡部:医薬品や医薬部外品は、薬機法という法律で有効性や安全性が確保されています。
しかしサプリメントや健康食品は、薬機法の対象外で「一般食品」と同じ扱いなので効果効能を標ぼうできません。
「やせる」「ダイエット効果」など直接的な表現を使ったサプリメントは法律に反しているので、購入は控えたほうが良いと思います。
うまい言い回しで、間接的に効果効能を演出しているダイエットサプリ広告も多いですが、トレーニングと同じですべての人に同じ効果が得られるわけではありません。
そのことを理解したうえで、商品を選んでいただくことが大切です。
また、サプリメントは直接体に取り入れるものですので、安全性について確かめることも大切。
インターネット通販などで輸入品のダイエットサプリやダイエット目的の医薬品なども手軽に手に入る時代ですが、なかには禁止されている成分が配合されたものや偽物も出回っています。
広告に飛びつくのではなく、その商品に含まれる成分もきちんとチェックしましょう。
特に医薬品に関しては日本で正規に流通しているものを選ぶようにしてくださいね。
自分にあったダイエット方法を見極めるには?
- どんなダイエット方法にもリスクは存在するということですね。では、自分にあった安全なダイエット方法を見つけるには、どうしたら良いのでしょうか?
- 岡部:食事や運動など、いろいろなダイエット方法があるなかで、やみくもに試しても期待した効果が得られないかもしれません。
まずは自分の体質を知っていただくと良いかと思います。
インターネット上に手軽に体質診断等のコンテンツがいろいろありますので、一度試してみてください。
生活習慣や食生活などの質問に答えていくと、体質別におすすめの食事や運動など「糖質を摂りすぎている」とか「脂質が多い」とか肥満の原因になりやすい要因がわかるようになっています。
それを参考にして、マッチしたダイエット方法を選んでいただくと良いかもしれませんね。
- 実際に今、取り組んでいるダイエット方法が自分にあっているかを確かめる方法はありますか?
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平岡:食事制限をともなうダイエットについては、自分の健康状態をチェックすることであっているかどうかを確かめることができます。
(1)おなかの脂肪の硬さをチェック
足を腰幅くらいに開いて立って、おなかの気になる部分に親指を押し込んでみてください。
指が全く沈まない、爪が少し隠れる程度にしか押し込めない場合は、おなかが硬くて脂肪が燃焼しにくい状態。食事制限だけではダイエット効果が得にくいです。
(2)冷え性かどうか
女性は冷え性の方が多いですが、その原因が「自分にあわないダイエット」であることがあります。
体に必要な熱をつくり出すための栄養が不足していたり、ビタミン不足による血行不良になっていたりすると「冷え」につながります。
手足が極端に冷えている場合は、栄養バランスに偏りがないか確かめてみてください。
(3)おなかの調子はどうか
食事制限の影響が、便秘や下痢としてあらわれることがあります。
たとえば「炭水化物を摂らず赤身肉を中心の食生活をする」など、極端な糖質制限をすると胃腸に負担がかかります。
便秘や下痢は体が悲鳴をあげているということなので、食事内容を見直したほうが良いかもしれません。
(4)肌や髪へのダメージはないか
栄養が不足すると、肌荒れのほか、髪や爪のダメージが顕著になります。
ニキビができやすくなった、抜け毛が増えた、爪に縦線ができたり割れやすくなったりするのは、ダイエットによる体への影響だと考えられます。
(5)夜はしっかり眠れているか
ダイエットによるストレスや極端な食事制限で、深い眠りを得られなくなることがあります。
「おなかが減って眠れない」「眠りが浅くてすぐ目が覚めてしまう」という場合は、今のダイエットがあっていない可能性が高いです。
食事制限によるダイエットは体への影響が大きいということ。
食生活を見直して、脂肪を燃焼させる効果が高い「有酸素運動」を積極的に取り入れていただくのが良いと思います。
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ダイエット中は自分の健康状態についても注意を払わないと、ダイエットが成功しないどころか体を壊してしまう可能性もあるということ。
健康的で美しいスタイルを目指すためにも、自分自身の体と対話をしながら、自分にあったダイエット方法を見つけられるといいですね!
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