その他安全 2024年08月21日

第410回 正しいダイエットの基礎知識

「ダイエットしてもすぐリバウンドしてしまう」
「自分にあったダイエットがわからない」
...こんなお悩みを持つ女性は多いはず。
世の中にいろいろなダイエット情報があふれていますが、自分自身の体のことは意外とわかっていないかもしれません。
そこで今回から2回にわたって、「女性のためのダイエット」をテーマにセコム医療システム株式会社の管理栄養士にレクチャーしてもらいました。
痩せる仕組みや健康的なダイエットのために知っておくべきことなど、ダイエットの基礎知識を学びます。

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プロフィール

(左)セコム医療システム株式会社 健康サービス部 管理栄養士 平岡 小町
2024年4月に入社。特定保健指導、働く人のための健康増進事業企画を担当。

(右)セコム医療システム株式会社 健康サービス部 管理栄養士 岡部 裕美
2015年7月に入社。特定保健指導、働く人のための健康増進事業企画を担当。

ダイエット成功の秘訣は「自分の体を知る」ことから

Q
ダイエットをがんばっている女性は多いですが、結果が思うように出ないという声もよく聞きます。
A
岡部: ダイエットの知識が不十分なままがんばりすぎると、体に負担がかかってしまうことがあります。
若い女性に多いのですが、ダイエットが不要なのに食事制限をして低栄養になってしまうことも。
まずは、自分の体について正しく知ることが大切です。

肥満度を図る指標に「BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)」というものがあります。
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出できるので、まずは自分のBMIがいくつなのかを知っておきましょう。

WHOの診断基準では、BMI18.5~24.9は標準体型とされています。
つまりBMIが25より低ければ「肥満ではない」ということなんです。

SNSなどで話題の「シンデレラ体重」(BMI18で求められる体重のこと)を目指してダイエットをする女性が増えていますが、この数値は「やせ」の域。
若い女性に低体重が多いことは厚生労働省の調査でも明らかになっており、将来的にさまざまな不調や病気を引き起こすリスクが指摘されています。

自分が目指す体重が必ずしも健康的であるとは言い切れないので、まずは自分にダイエットが本当に必要かどうかを見極めていただきたいですね。
Q
BMIは健康診断の結果項目のなかに入っていますね。
A
岡部:健康診断の身体計測検査の項目では、BMIと腹囲で肥満度合いを計測します。
腹囲は内臓脂肪を推定するためのもので、女性なら90cm未満が「標準」の範囲です。
腹囲はおへその高さで測るのでウエストサイズより数字が大きいもの。腹囲を見て「太ってしまった!」と考えてしまう女性も多いようです。
体重やサイズなどにとらわれず、医学的な根拠に基づいて客観的に自分の体のことを知ることが大切だと思います。
Q
BMIや腹囲が「標準」の範囲でも、理想のスタイルとは程遠いと感じる女性も多いのではないでしょうか?
A
岡部:もちろん「外見を少しでも理想に近づけたい」という気持ちは誰でもあると思います。
ダイエットをするなら、体重を減らしすぎないように気を付けていただく必要があります。
過剰に食事を減らしたり、過度な運動負荷を与えたりすることは、体を痛めつけているのと同然。
痩せていれば良いわけではありません。
ダイエットの成功とスタイル維持のために、何よりもまず健康であることを心がけていただきたいと思います。

健康的な体型づくりのための食事と運動のバランス

Q
どうすれば健康的にダイエットができるのでしょうか?
A
岡部:ダイエットの基本は、食事と運動。
シンプルに言えば、1日で消費するエネルギー量が食事で摂取したエネルギー量を上回れば、痩せることができます。
1日で消費するエネルギー量は、基礎代謝量+食事誘発性体熱産生+身体活動時エネルギー消費量で算出することができます。

基礎代謝量とは、生命を維持するために必要な最低限のエネルギー消費量のこと。寝ているときやじっとしているときでも、呼吸したり体温を保ったりするために消費されています。基礎代謝量は、年齢によっても異なりますが、20~30代の女性の基礎代謝量は約1200kcalです。基礎代謝量の計算方法はいくつかありますが、身長や体重、年齢などの数値を入力するだけで簡易的に算出してくれるツールが、インターネット上にもいろいろありますよ。

食事誘発性体熱産生は、食物摂取に伴う消費エネルギーのこと。コントロールするのは難しいです。
身体活動時エネルギー消費量は、身体を動かすことで消費されるエネルギー量のこと。つまり、これを増やすことで、1日で消費するエネルギー量を増やすことができます。
また20~30代女性の食事摂取量は、1日約2000kcalが目安。
ここから1日で消費するエネルギー量を引けば、どれくらい運動すれば良いのかがわかります。
Q
具体的にどんな運動をすれば良いのでしょうか?
A
平岡:ダイエットのためには、1日30分の運動を継続するのが良いと思います。
1回30分でも、3回にわけて10分ずつでも良いので毎日続けることがポイントです。

運動は、有酸素運動と無酸素運動の2つにわけられます。
有酸素運動は、ウォーキングやランニングのような時間をかけておこなう緩やかな運動のこと。体脂肪の燃焼に効果的です。
無酸素運動は、いわゆる筋トレ。腹筋やプランクなど短時間でおこなう強度の高い運動で、筋肉そのものを鍛えることができます。
ダイエットには、毎日継続することが大切なので、負荷の少ない有酸素運動が適しています。
おなかや二の腕の引き締めなど部分やせを目指すなら、無酸素運動を取り入れると良いですよ。
Q
ちなみに30分ウォーキングすると、消費エネルギーはどれくらいなんでしょう?
A
岡部:100kcalくらいです。
有酸素運動であるウォーキングは負荷が少ないため消費エネルギーも小さくなります。
「たったそれだけ?」と感じるかもしれませんね。
もっと消費量をあげたいなら、ウォーキングを早歩きに変えてみましょう。
消費エネルギー150kcalくらいまでアップします。腕をしっかり振るなどちょっとした心がけで消費エネルギーを増やすことは可能です。
また、毎日続けていると基礎代謝量がアップするので、痩せやすい体質に変わっていきます。
筋肉量の増加も基礎代謝量の向上に影響しますから、無酸素運動と組みあわせるとより効果が期待できます。

太らない食事の摂り方とおすすめメニュー

Q
ダイエット中の食事の摂り方で気を付けることはありますか?
A
岡部:食事で摂取するエネルギーが、基礎代謝量や運動による消費エネルギーを上回らないことが大事ですが、少なすぎると低栄養のリスクもあります。
在宅勤務などであまり動かない生活を送っている人でも、1日1800~2000kcal程度は摂取することを心がけましょう。

必要な摂取エネルギーを3食で分散するなら、朝食の比重を多くして、昼食、夕食はだんだん少なくしたほうが太りにくいですね。
朝食をしっかり摂るのは大変かもしれませんが、朝に摂取したエネルギーが体重にはいちばん影響しにくいんです。
1日の活動がはじまるときなので、たくさん食べてもその日のうちに消費できます。

反対に夜は寝るだけなので消費エネルギーが少なく、過度な量の食事は胃腸にも負担がかかります。
胃腸への影響は、実は睡眠の質と非常に関係が深いのです。
良い睡眠が取れないと食欲増進ホルモンの分泌が増えることがわかっています。
そのため結果的に食べ過ぎてしまい、悪循環につながる可能性があります。
胃腸に負担をかけないよう、夕食はなるべく軽めに、就寝の3時間前くらいまでに済ませておくのが理想です。
A
平岡:ダイエット中はエネルギーが低いメニューを選びがちですが食事内容も大切です。
主食・主菜・副菜を用意して、栄養バランスを取ると良いと思います。
主食はご飯やパンなどの炭水化物。
主菜はお肉や魚などのたんぱく質。
副菜は野菜や海藻類、キノコ類など、ビタミンやミネラル、食物繊維にあたるものですね。

朝は食欲がない、夜遅い時間しか食事ができないなど、忙しいと食事のお悩みもいろいろあると思います。
おすすめはお肉などのたんぱく質や野菜を一緒に摂れる、具だくさんのスープやお味噌汁。
スープに溶けだした野菜のビタミンやミネラルも一緒に摂取でき、よく煮込んだ具材は消化に良く胃腸にも優しいです。
Q
ダイエット中は甘いものが恋しくなりますが、やはり間食は控えたほうが良いですか?
A
岡部:間食は、一般的に1日に200kcal程度が適量だと言われています。1口サイズのチョコレートなら6粒くらい。
ポテトチップスなら半袋くらい、シュークリーム1つでだいたい200kcalです。
ちょっと少なく感じますが、最近はローカロリーのお菓子やアイスクリームも多種類市販されていますから、そういったものを選ぶと良いかもしれませんね。

甘いものではありませんが、小腹を満たす間食なら、チーズやナッツ、小魚類などたんぱく質が多いおやつがおすすめです。
おなかの持ちがよく、脂肪になりにくいのでダイエットにも適しています。

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いろいろな種類のダイエットがありますが、基本は「摂取エネルギーを減らす(食事制限)」と「消費エネルギーを増やす(運動)」が軸になっています。

「どちらも大切なことですが、コントロールしやすいのは運動のほう。
食べることをがまんするって、想像以上にストレスがかかっているんです。
好きなものをしっかり食べて、その分たくさん動くという意識でダイエットに取り組むほうが、続けやすいですしモチベーションが維持しやすいと思いますよ」
と岡部さん。

健康的に美しいスタイルを目指すダイエットの心構えとして、ぜひ参考にしてくださいね!

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