
第209回 【インタビュー】身近な紙を使って生活用品を生み出すカトー折り
こんにちは。明日は七夕ですね。今年は久しぶりに笹の葉に願い事を書いてみようかなと思っています。ただ、願い事がありすぎて短冊1枚には書ききれなさそう。一つに絞ろうとすると、あれこれ自分自身のことを振り返ることができるので、見直すいい機会にもなりそうです。
2016.7.6更新
災害は、いつ起こるかわからないからこそ備えが必要です。ただ、被災後は、非常持ち出し袋に入れて準備したもの以外にも必要なものが出てくることがあります。そんなときに便利なのが、新聞紙などの紙類で生活用品を作ることのできる「カトー折り」。今回は、カトー折り考案者の加藤祐一さんに教えていただきました。
- プロフィール
◆セコム株式会社 総務部SCセンタービル管理課 課長
加藤 祐一さん
1992年にセコム株式会社へ入社。会社のお昼休みにちょっとしたひらめきから「カトー折り」を生み出す。その後、eco japan cup 2009では「広げるエコ賞」を受賞し、2011年には「エコチャレンジ賞」も受賞。現在は、展示会などで「カトー折り」を披露するなど、幅広く活躍している。
さまざまな用途に使えるカトー折りとは
- 新聞紙などでできるというカトー折りとはどういったものなのですか。
- カトー折りとは、新聞紙や包装紙、コピー用紙などの紙を折るだけでさまざまな生活用品を作ることができる折り方のことです。のりやハサミ、テープも必要ないので、被災したときなどでも紙さえあれば食器やごみ袋などの生活用品を作ることができます。
- それは助かりますね。そもそもどうして、カトー折りを考案されたのですか。
- 実は、会社の昼休みに持参の弁当箱を洗い、生ごみを捨てようとしたとき、においが気になったのがきっかけです。環境問題への関心から、レジ袋を使っていないので、ゴミを入れられるものがなかったのです。そのときに目についたのが、いらなくなった紙です。この紙でにおいを封じ込められないかと試行錯誤してでき上がったのがカトー折りです。作ってみると、水も漏れないことを発見しました。それからは、毎日、この袋を作り、ごみ箱に捨てていました。これがきかっけとなり、せっかくの機会なのでecojapancup2009に応募してみようと思い、合わせて他の折り方も考案しました。そして、「カトー折り」と命名し特許を取得。その後、エコチャレンジ大賞で「広げるエコ賞」を受賞し、現在ではブログも運営しています。
- たくさんの折り方がありますが、災害時に役立つ紙で作成できるものを教えてください。
- 紙で作るゴミ袋や靴の作り方を覚えておくと便利ですよ。避難所にいる間は、さまざまなゴミが発生することが考えられます。そうなるとゴミのにおいも気になります。カトー折りは、においも封じ込められるので、とても実用的です。紙なので、中身が見えないため、ごみ以外のものも風呂敷のように包み込めます。中に入れたものが何かメモできるのも便利です。また、靴は、避難場所の室内などで足を守る意味でも効果的ですし、履いていると温かいので、ぜひ折り方を覚えて欲しいです。しかも、カトー折りは、切らずに折るだけなので、またあとで元に戻せ、他のものに使えます。物資の少ない時には、便利ですよ。

間違えてしまっても、紙は折りなおせるのが魅力と語る加藤祐一さん
- では、ゴミのにおいを封じ込められる折り方と靴の折り方を教えてください。
- ゴミ袋は、紙の大きさで自由に変えられます。小さくすれば、紙コップとしても使えます。水が漏れないので、においも漏れません。実際に、折ってみるのが一番です。
紙でつくるゴミ袋
- 折り目を下にして、半分に折る
- 折り目の角を三角形に折る
- 点線の順に折っていく
- ゴミを入れる
- さらに折り進めて袋を閉じる
靴も同様に、自分の足に合わせて、折っていくだけです。もっと暖かく丈夫にしたいと思ったら、紙を重ねるといいですよ。
紙でつくる靴
- 簡単で、これなら被災中でもすぐに作ることができますね。包装紙など、自分の好きな柄の紙で織ると、気分も変わりいいですね。
- 折り方の応用で箱を作ることができますが、いろんな大きさの箱を作れば食器にもなります。紙以外にも、牛乳パックを使えば、さらに丈夫になります。また、ラップを上からかぶせて使用すれば、食べ終わった後、ラップを捨ているだけで洗わなくてすむので、水の節約にもなります。

サランラップを捨てるだけで何度でもきれいに使用できます。
- 紙というと、こんなに丈夫なイメージがなかったですが、折ることで様々な用途に使えるのですね。最後に、女性の読者のみなさんにメッセージをお願いします。
- カトー折りを通して、本来、ゴミになるはずのものがいろんな形になって活かせることが分かります。役立てたいという想いで作ることでいいものができますし、自分で工夫して作ったものだから防災にも役立ちます。その場で紙と相談しながら知恵を絞って、何かを守ろうという想いで作ってほしいです。作る・使う・役立てる・喜んでもらえるのがカトー折りの楽しみです。紙や人とのやりとりを通して、防災に役立ててみてください。

紙で作成した靴やごみ袋。牛乳パックを使用して箱を作れば食器代わりにも!
エコという観点から生まれたカトー折りですが、物資がない時の救世主になってくれそうですね。いざという時に折れるよう日常に取り入れ、非常持ち出し袋には、カトー折りや新聞紙、サランラップなどを追加して、いざというときに自分を守れる「防災女子」を目指したいですね。
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