開催レポート
ミートアップイベント
「セコム共想MeetUP!@ILS」

2018年10月22日、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で開催されたアジア最大級のオープンイノベーションイベント「ILS(イノベーションリーダーズサミット)2018」内において、「セコム共想MeetUP!」と題してミートアップイベントを開催しました。キーワードは“共想”によるオープンイノベーション。すなわち、パートナーとの共感から生まれる新しい価値の創出です。

本イベントでは、サービス視座からのオープンイノベーションプロセスを紹介する基調講演や、厳選スタートアップ10社によるショートピッチ、ポスターセッションを併設しながら、社会に必要なサービスを創造するベンチャーと各種大企業との交流機会として、お茶会スタイルのミートアップ(出会いの場)を実施。
登壇するスタートアップは、事前にセコムが関心を持つ「IoT・セキュリティ連携・予防医療/ヘルスケア」をテーマにして公募し、厳選したものです。

ILSとの共同開催により、広く国内外から産学官の皆さまにご参加いただいて豊かな交流の場を展開いたしました。多くの皆さまにご参加いただき、参加者同士の交流や共感から生まれる新しい価値と社会に必要なサービスを議論する機会として、盛会に開催することができました。

開催概要

ミートアップイベント「セコム共想MeetUP!」

主催:セコム

備考:ILS実行委員会主催「ILS2018」内で開催

開催日時:2018年10月22日(月) 16:00〜 18:00

会場:虎ノ門ヒルズ(東京都港区)

定員:130名

登壇者

基調講演「セコム流、サービス視座のオープンイノベーション」

  • セコムオープンラボ総合ファシリテーター/東京理科大学 総合研究院 客員准教授
    沙魚川 久史

    1976年生まれ。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了。東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同大学院イノベーション研究科修了。セコム本社企画部にてコーポレート全般の企画業務を担当する傍ら、イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰。専門領域はサービスサイエンス・技術経営・知財マネジメントで、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進。東京理科大学イノベーション研究センターフェロー、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。

ご挨拶

  • セコム(株) 代表取締役社長
    中山 泰男

    1952年生まれ。76年東京大学法学部第2類卒業、同年日本銀行に入行。93年企画局政策広報課長、96年営業局金融課長、98年金融市場局金融市場課長、98年大分支店長、2001年政策委員会室審議役、03年名古屋支店長、05年政策委員会室長、07年総務人事局を経て、同年4月セコム株式会社に入社 顧問。常務取締役総務本部長を経て、16年5月から現職。18年5月民間警備会社に参加を呼びかけ、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体を発足させ、共同代表を務める。

セコム共想MeetUP! ショートピッチ

1.基調講演
「セコム流、サービス視座のオープンイノベーション」
セコムオープンラボ 総合ファシリテーター 東京理科大学 総合研究院 客員准教授
沙魚川 久史

なぜセコムがオープンイノベーションか。サービスのオープンイノベーションとはどういうものか。現代のイノベーションのなかで、協働は重要な要素だ。昨今、社会を取り巻く環境がめまぐるしく変化するなかで、求められるものは実に多様化している。社会課題が複雑化・複合化するなかで、目に留まりやすい大きな社会課題だけに着目するのは危うい。社会が豊かに成熟する中で、一人ひとりがもつ課題感は個別化し、パーソナライズ化してきている。これに対応するために、多様性とスピードを獲得して、多様な社会のニーズに応えるサービスを、“より早く・より多く”生み出す。これが、私たちのオープンイノベーション推進の目的。
こうしたオープンイノベーションの考え方は、コーポレートビジョンにも反映されている。昨年、セコムは、コーポレートビジョンを刷新して「セコムグループ2030年ビジョン」を発行した。キーメッセージは「変わりゆく社会に、変わらぬ安心を」で、そのために様々なステークホルダが集まって「あんしんプラットフォーム」を作っていこう、というもの。このビジョンでは、実現に向けた戦略として、「ALL SECOM」と「共想」という二つの柱を置いている。前者は、セコムグループの総力を結集という内側の連携で、これと対になる後者が、想いを共にするパートナーとの外側の連携、すなわちオープンイノベーションだ。
私たちは、かかるサービス視座のオープンイノベーションに「共想」という字を当てている。協働の視点を「サービス事業」のような継続ビジネスに当てはめた場合、長期の事業運用期間にわたるパートナーシップがより一層求められるため、協働にあたり、未来に向けた共通する「想い」が重要になってくる。サービスの場合は、造って売るだけでなく、仕組みの持続的運用と社会にインストールを拡げていく長期展開が必要になってくるからだ。したがって、共に創る専門性と、課題解決に向けた想いを共にすること、この2つが、サービス視座のパートナーシップには欠かせないと考えている。
さて、私たちのオープンイノベーションの活動は、大きく3つに分けられる。
一つ目は、オープンイノベーション広報。モノとモノがくっ付くには、“のりしろ”が必要。くっ付く余地とも言える。私たちから世界中の“のりしろ”を探しにいくだけでは限界があり、私たちの“のりしろ”を広く社会に知って貰い、くっ付くための提案をしてきて頂くことも大切。そのために、私たちが取り組む課題や研究テーマ、新サービスなど様々な手段で発信を強化している。二つ目は、セコムオープンラボ。私たちは、技術起点ではなく、解決すべき課題起点/サービス起点で発想する集団だ。多様なマインドセットの中で未来の社会の課題を探索して、パートナーとの関係性を高める取り組みとして実施している。そして、三つ目は、事業企画。これは、必ずしもお客様向けの商品だけでなく、オペレーションの課題解決として社内ユースに組み込まれるものもある。

こうした活動を推進するための組織体制には、2つの特徴がある。
1点目は、経営トップのスタッフである本社企画部をオープンイノベーション推進事務局として機能させていること。2点目は、その担当者として、社内各部で感度の高いキーマンを集めて、全員兼任のバーチャルなチームとして「オープンイノベーション推進担当」を組織していることだ。トップ直下の活動として推進力を発揮しながら、研究所、開発センター、マーケティング、広報、各事業部のキーマンが兼任として集まることで、社内を速やかに動かして活動できるように仕掛けている。これにより、オープンイノベーションの最大の阻害要因であるNIH症候群(Not Invented Here:社内で生まれたもの以外は受付けないマインド)を打破し、全社的な取り組みとして推進している。

私たちは、社会にとって、お客様にとって大事なことは何かというところから物事を考える。すなわち、技術からではなく、解決すべき課題とサービスから入るというアプローチである。多様化が進む社会の課題を可視化し、取り込んで行く役割を担うのが「セコムオープンラボ」。特別回含めこれまで14回実施したセコムオープンラボには、述べ767社、1,254名の企画系/開発系の企業人・研究者・自治体・学生が参加し、毎回参加者が仕事でかかわっていない近未来のテーマを設定することで、一人ひとりがそれぞれの文脈の専門家として課題感をぶつけあい、可視化し、共有してきた。
重要なのは解決方法でなく、課題の本質だ。毎回半数以上を初参加として参加者を入れ替え新陳代謝を繰り返しながら、多様な視座、多様な専門性、多様な世代で、テーマの中の課題を議論することでリアルな本質に迫ることができる。
セコムオープンラボの議論はオープンで、その成果はパブリックドメインとして皆で記録を取って持ち帰る。また、webサイトでも公開している。現代において、1社だけで新市場を立ち上げることは容易ではない。参加者それぞれが、かかるテーマにおける社会実装を進めることで社会に新しい価値、新しい市場を築くことができると考えている。セコムでもこの場を起点に多くの協働が生まれており、セコム以外の参加各社でも新事業や協働が生まれている。
伝統的なオープンイノベーションでは、企業と企業や団体が1体1でシーズを出し入れする手法(オープンイノベーション1.0)が採られてきた。しかし、技術ではなく社会の課題を起点とするサービス視座から見ると、これは必ずしも最適ではない。私たちは、企業や団体に属する個人が集合し、議論の交差点で新しい何かを生み出していくオープンイノベーション2.0のムーブメントを志向している。セコムオープンラボはそうした「対話と創造の場」として機能している。私たちのプロセスでは、セコムオープンラボの議論から注目する点があれば、NDAを交わして企業と企業の話(オープンイノベーション1.0)をし、PoCなどに進展する。その結果が不鮮明であれば、また必要に応じてセコムオープンラボに持ち寄って大勢の中で議論をする。このオープンイノベーション1.0と2.0の往復運動を繰り返すモデルが、私たちの考えているサービスビジネスならではのオープンイノベーションの形態と言えるだろう。

2.ご挨拶セコム株式会社 代表取締役社長 中山泰男

私たちは、昨年「2030ビジョン」として新しいグループビジョンを策定した。その重要な柱の一つが、想いを共にする「共想」だ。
これからの新しい時代では、サービスにおいても、マスカスタマイゼーションが主流になってくる。一人ひとりに対して、寄り添っていく時代ということ。

つまり、多様な安全・安心のニーズに応えるためには、多様なサービスが必要となる。当然ながら、それをセコム1社でカバーすることはできず、多様なパートナーとの連携が必要。
だからこそ、一緒にやっていきましょう。私たちは、「共想」をベースとしたオープンイノベーションを目指している。

みなさん、是非、このミートアップの場で、たくさんコミュニケーションをしていただき、みなさんの新しいネットワークや連携の起点としてください。

3.セコム共想MeetUP! ショートピッチ

株式会社Empath
代表取締役 下地 貴明氏

「Affective Computing技術の見守り領域での応用」
AIで音声を解析し、感情値(喜び、平常、怒り、悲しみ)と元気度という5個のパラメーターをリアルタイムに出力する技術を見守りやヘルスケア、コールセンター業務などの多様な分野に応用。東日本大震災の支援事業として、仮設住宅をサポートしていたスタッフのメンタルヘルスケアに活用するプロジェクトを2013年から1年間行ったほか、各種スマートロボットでも発話者の感情解析で協働している。

カディンチェ株式会社
代表取締役 青木 崇行氏

「ウェアラブル360カメラを用いた巡回警備」
全天球映像を用いた空間表現技術を得意としている。本日紹介するのは、360カメラのライブストリーミングを用いた警備・監視・点検用のソリューション。無線通信とバッテリ駆動により、ウェアラブルに応用した。
人員や車両が装着した360カメラから全天球の映像をライブで飛ばすことで、監視室にて人員の死角や上空など様々な視点で監視できる。VMSでの保存や解析にも対応。

Coaido株式会社
代表取締役 玄正 慎氏

「IoT×救命共助アプリで心臓突然死を防ぐ」
次世代119番通報アプリ「Coaido119」を提供。119番通報とSOS発信を行う緊急通報共有アプリで、2017年8月より豊島区一部エリアで実証実験を開始した。
倒れている人を発見した人が「Coaido119」を操作すると、119番通報と同時に、事前登録された周辺の救命知識保有者およびAED設置先にSOS情報を送信。救急隊が到着するまでの間に必要な一次救命処置を要請する。

株式会社Z-Works
代表取締役 小川 誠氏

「人生100年 健康サポートサービス」
IoT、AI技術を活用し、居室内センサーと高齢者が持つスマートフォンから得られるデータを蓄積・解析してフレイル(要介護状態と健常な状態の間)の予兆を捉えたり、高齢者ご本人の健康維持へのモチベーションアップや家族間のコミュニケーション促進など、人生100年時代をサポートするサービス提供に取り組んでいる。

スプリームシステム株式会社
営業部部長 沖野 聖史氏

「マーケティング&セキュリティのための高精度動線分析」
人数カウントや、人の流れのヒートマップ表示だけではなく、「動線」解析に特化している。LiDARなど非画像系センサーを用いたリアルタイムの動線解析により、プライバシーを保護しながら、高精度な分析やOne to Oneプロモーションが可能となる。小売り店などの店舗だけでなく、製造工場や物流、医療・介護現場、大規模施設など、多種多様な業界に展開している。

株式会社チカク
代表取締役 梶原 健司氏

「デジタル時代の二世帯住宅」
「シニア・ファースト」を掲げて、お年寄りでも若者でも簡単に使えるプロダクトを開発している。離れて暮らす家族の写真や動画を、実家のテレビに届けるIoTデバイス「まごチャンネル」を提供中。
スマホアプリから写真や動画を送信すれば、実家のテレビでは通常のリモコン操作で送られてきた映像ライブラリを観たりお気に入り登録することができる。スマホ側に閲覧通知もきて、ゆるやかな繋がりが生まれる。

株式会社ナレッジコミュニケーション
熊本ラボ・R&D戦略チーム 藤本 賢志氏

「XRで届けるこれからの『安心』」
大量の手順書や多数のチェック項目が存在する煩雑なデータセンター保守業務において、「適切な手順書を適切なタイミングで適切な場所に表示する」というコンセプトを実現するXR(AR/MR/VR)デバイスによるサービスを開発中。将来的には警備計画策定や実際のトラブルが発生した際の経路案内、遠隔拠点での情報共有などのツールとしての活用を想定している。

ノバルス株式会社
事業開発責任者 取締役CMO兼CSO 山中 亨氏

「MaBeeeを用いた見守り+ヘルスケア」
乾電池型IoTデバイスMaBeeeにより、センサーや見守り専用機器の新たな導入なしに、高齢者の方が普段通りの生活を続けたままでさりげない見守りを実現する。認知症や心臓病などの早期発見だけでなく、火災警報器に入れることで火災の早期検知や緊急通報も可能となる。また、交換不要のAI乾電池など、今後さらに技術的に進化させていく。

株式会社ハタプロ
代表取締役 伊澤 諒太氏

「働くAIロボとIoT技術で、街の未来を支える」
手乗りサイズのフクロウ型AIロボットZUKKUを用いたマーケティング支援サービスを提供中。
電動モーターを一切使っていない為、省電力・小型・安価を実現している。画像認識AIによる自動広告配信や、取得データの可視化により分析に活用できる。外装など、お客様に合わせて自在にカスタマイズできることも強みで、海外で島全体をIoT化するプロジェクトも実施している。

ユカイ工学株式会社
事業開発部マネージャ 鈴木 裕一郎氏

「コミュニケーションロボットが実現する「高齢者の生き生きした毎日」」
コミュニケーションロボットBOCCOを用い、対話を軸として高齢者の自立的な生活を促すことができるサービスを提供している。今後展開する高齢者見守りサービスでは、オペレータがロボットを介して高齢者へ声掛けする一方、ロボットのみでは解決できない問題には駆け付けサービスで対応するなど、本当に高齢者に役立つサービス提供を目指している。

4.セコム共想MeetUP! ポスターセッション

本イベントでは、会場に、ショートピッチに登壇したスタートアップ10社のポスターパネルを配置し、大勢の参加者同士の緩やかな交流機会としてお茶会スタイルのミートアップを実施しました。テーマは、「IoT・セキュリティ連携・予防医療/ヘルスケア」です。ILSへのご参加者を含め国内外より多くの大企業、ベンチャー、行政機関にご参加いただき、賑やかな交流イベントとなりました。ここでは各社のパネルを順にご紹介します。

① 株式会社Empath
② カディンチェ株式会社
③ Coaido株式会社
④ 株式会社Z-Works
⑤ スプリームシステム株式会社
⑥ 株式会社チカク
⑦ 株式会社ナレッジコミュニケーション
⑧ ノバルス株式会社
⑨ 株式会社ハタプロ
⑨ ユカイ工学株式会社

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