開催レポート
シンポジウムイベント
「Co-Creation"共想"フォーラム」
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4.パネルディスカッション「時間や空間に捉われないサービスを生み出す『まちづくり』」
- 長谷部 健氏(渋谷区長)
- 齋藤ウィリアム浩幸氏(内閣府参与 兼 経済産業省参与)
- 原山 優子氏(総合科学技術・イノベーション会議 常勤議員)
- 杉本 陽一(セコム(株) 執行役員 ALL SECOM 担当 兼 Tokyo 2020推進本部長)
- コーディネーター:関口 和一氏(日本経済新聞社 編集委員)
「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」としてイノベーションを推進 長谷部 健氏(渋谷区長)
かつて、渋谷ではストリート=公共空間からカルチャーが生まれていたが、歩行者天国が廃止されたり開発に伴う工事が増えたりしたほか、最近は警備や治安の問題もあって、ストリート発のカルチャーが生まれづらくなってきている。大規模開発だけではなく、小さな路地やちょっとウェットなエリアを残しつつ、賑わいと「安全・安心」のバランスが取れた街づくりをしていたい。
渋谷区は2016年に「ちがいをちからに変える街。渋谷区」を新ステートメントとし、政策の最上位概念である基本構想を20年ぶりに改定した。高層ビルなどハードは計画が決まっているが、ソフトをどうするかが課題だ。具体的には「渋谷区クリエイティブシティ特区プロジェクト」を打ち出し、次世代エンターテインメントを実現するための5Gネットワークの社会実験プロジェクトを計画している。壁面デジタルサイネージ、多言語翻訳機能を備えた拡張現実(AR)レストラン検索機、ARストリートファッションショーなどの設置を想定している。ソフト開発では「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」により、オープンイノベーションを積極的に進めている。特区等の社会実験は、その結果そのものだけではなく、学習機能も踏まえて判断していかなければならない。
新しい産業は規制をすると伸びない 齋藤ウィリアム浩幸氏(内閣府参与 兼 経済産業省参与)
日本は「ものづくり」自体は強いが、その後の「デジタル」、「ネットワーク」フェーズに進展していく際についていけていない。また、日本は何か問題が起きると、問題のある一部分だけでなく全て規制してしまうことが多い。これでは新しいものは生まれない。新しい産業は規制をすると伸びない。今の社会で車が無かったとして、新しく「自動車」を作ろうとしても難しい。そんな危険ものは駄目だ、となってしまう。問題が起きたときに新しいものをどう生み出すか。安全な方に倒しがちだが、きちんと考える必要がある。
規制のような新しいルールができると、海外では「ルールを逃れる勉強会」が行われるが、日本では「ルールをきちんと守るための勉強会」が行われる。良くも悪くも海外と日本では国民性が違う。これは良い点もある。海外ではAIが「雇用を奪うネガティブな話」として捉えられることが多いが、日本ではポジティブに捉えられることが多い。これは日本が先端を走る良いチャンスかもしれない。AIによって効率化された分の時間で何をするかが重要だ。半導体では「ムーアの法則」が定説となっており、精度が上がる度に低価格化して普及する。インターネットが開発されたのは最近ではなく、1969年だが、普及したのはウェブブラウザーが開発されたからではなく、1995年にSSLやRSAという暗号化技術が公開されたからだ。つまり、セキュリティがインターネットの進化を加速した。まちづくりにおいても、セキュリティが担保されなければネットワークは広がらない。「CAMBRIC」(ケンブリック)という言葉がある。クラウドコンピューティング、AI、モビリティ、ビッグデータ、ロボティクス、IoT、サイバーセキュリティのイニシャルで、まちづくりでもセキュリティを含めた全部をまとめて議論すべきだ。
新しい社会像は、社会全体で作り上げていくもの 原山 優子氏(総合科学技術・イノベーション会議 常勤議員)
パブリックサービスが充実しすぎると、人は受け身になってしまう傾向がある。まだ見ぬ共感できる社会像というのは本来、政府が描くものではなく社会全体で作り上げていくものだ。
一言でいえば、ソサエティー5.0(内閣府が提唱する、新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人ひとりのニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会)を目標にしている。
主役はインターネットでも機械やロボットでもなく人であり、進化した技術を社会の全員が享受できる世界だ。
私は渋谷区原宿で生まれ育った人間なので、個人的な意見を言えば、共感する空間の創出は人間同士のぬくもりのある付き合いから生まれると考えている。原宿や渋谷にはそうしたぬくもりが生まれるリアルな場があってほしいと願っている。
連携に力点を置いて価値創造を推進 杉本 陽一(セコム(株) 執行役員 ALL SECOM 担当 兼 Tokyo 2020推進本部長)
2020年さらにその先の社会に向けて日本では様々な主体が関わりあっており、それ自体がオープンイノベーションの場になっている。この取り組みの延長に将来のまちづくりがある。
あんしんを提供するためにはデータの小さな変化に気づき、データの意味を理解し、迅速に対応することが求められる。現在はセコムの機械警備で6000万個のセンサーが使われており、それに基づいてプロによる判断や緊急対処が行われている。
センサーの数が60億個になれば、億を超える判断と圧倒的に大量の対処が必要になる。これは人知を超えており、当然AIなどサービス提供にかかわる人間の力を増幅させるためのサービスイノベーションが必要だ。このためセコムグループでは、連携に力点を置いて価値創造を推進している。まちづくりも同様に社会全体で築き上げていくものであり、連携を大切にして、まちの暮らしの中でいつでもどこでも安心というサービスを広げていく必要がある。多様な人々と想いを共にして協働しながら、今後も多種多様なサービスイノベーションを加速していきたい。
参加者アンケート抜粋
フォーラムの内容について
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参加の理由(複数回答可)
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