開催レポート
CEATEC2019
「2030年 共感マッピング」

2019年10月17日、幕張メッセ(千葉県美浜区)で開催されたアジア最大級の最先端技術の国際展示会「CEATEC2019」。今回はその中で特別ゾーンとして、“明日のIoT人材”となる学生たちがトップリーダーや産業界と交流する「学生交流ラウンジ」が設けられました。セコムは、社会の多様な価値観に基づいて社会の動向を議論する場としてステージ講演とMeet-upブース出展を行いました。

本イベントでは、分野・業界・世代を超えた対話から価値創造を進める新たなサービスデザインの潮流やケースについての講演や、「セコムオープンラボ」の特別回として、9月26日(木)に開催した第16回セコムオープンラボ「『#Z世代』 と問う、2030年、社会や日常の新しいあたりまえ!」で出たアイデアを14個のパネルで展示。

来場者に最も共感するアイデアパネルにシールを貼ってもらう形の、世代別の投票を行い、少し先の未来で求められる「新しいあたりまえ」を垣間見る場として、盛会に開催することができました。

開催日時

2019年10月17日(木)

10:00〜17:00(CEATEC2019内で開催)

同日11:30-12:00 講演「セコム流、サービスデザインの進め方」

登壇者

  • 沙魚川 久史

    セコムオープンラボ総合ファシリテーター。東京理科大学 総合研究院 客員准教授、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。
    セコムにてオープンイノベーションチームを率いる。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同院イノベーション研究科修了。専門領域はサービスサイエンス・技術経営・知財マネジメントで、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進している。

1.ステージ講演
「セコム流、サービスデザインの進め方」
セコムオープンラボ総合ファシリテーター/東京理科大学 総合研究院 客員准教授
沙魚川 久史

講演では、「サービスビジネスの提供価値を理解する」、「多様化する社会環境とニーズのなかで、異なるマインドセットによる『感性』の重要性を理解する」、「セレンディピティに気づく行動変化が起きるようになる」の3つを聴講者のゴールに設定。分野・業界・世代を超えた対話から価値を生む、知の探索を重視したサービスデザインの進め方について、事例を交えながらお話ししました。ここではそのエッセンスをご紹介します。

サービスが生み出す「提供価値」は「顧客の体験」であり、無形のもの。無形のサービスは個人の主観で顧客満足が計られ、したがってスペックシートや合理性では一人ひとりのお客様の満足は生み出せない。社会の不確実性が高まり、また、非言語的な無形の「体験」への気づきを獲得するために、一人ひとり異なる顧客の感性を取り込んでいくこと、顧客と一緒に価値をつくることの重要性が高まってきている。

モノを通じた顧客接点のデジタル化が進むなかで、コミュニケーションや顧客対応などサービスのデジタル化も進行している。近年、アプリやWEBなどサイバー空間でのUIUXの議論が成熟してきているが、いま大切なのは、こうした議論の先に回帰する、我々が生きているこのリアルの現実世界でのサービス体験。身体中で感じる感覚は本当に重要。CPS(Cyber-Physical System)、デジタルツイン、ミラーワールド、OMO(Online Merges with Offline)、キーワードは様々あるがリアル空間のサービス体験をいかにサイバーと協調しながら豊かにしていくかが、サービスのデジタル化で問われる。

セコムでも様々な取り組みが進んでおり、たとえば4月に「バーチャル警備システム」を発表した。鏡のなかの等身大アニメキャラクターが、現実世界で来訪者に自律的にコミュニケーションを図る、まさにサイバーフィジカルシステム。これによって案内対応の「顧客価値」だけでなく、労働力不足という「社会課題」も解決する。

知の錬磨・深化と、知の探索という2軸の中で、知の錬磨だけを見つめていると連続的なプロセスとなり、非連続なプロセスや破壊的なプロセスを起こすことは難しい。自分たちの領域・範疇でマインドセットが同じなかで対話をしても、同じ議論が繰り返されるだけ。これは、個々人の感性・主観で満足を図るサービスにおいては大きな問題。

イノベーションに繋がるセレンディピティを高めるには、分野・業界・世代を超えた多様なマインドセットによる対話を通じて、課題感のもとで自分と異なる知を探索することが必要となる。そのために、セコムではセコムオープンラボを運営し、サービスデザインの起点としている。こうしたサービスデザインの現代的な潮流は、多様性とスピード、そしてリアルとサイバーの協調。社会が成熟化して一人ひとりの嗜好性が高まるなかで、多様な価値観や感性に基づく主観を知徳する仕組みづくりと、こうした多様で新たな価値をいち早くプロトタイピングして、顧客と一緒に検証していく取り組みの重要性が増している。

2.Meet-upブース
「共感マッピング」

Meet-upブースでは、「セコムオープンラボ」の特別回として、9月26日(木)に開催した第16回セコムオープンラボ「『#Z世代』 と問う、2030年、社会や日常の新しいあたりまえ!」で出たアイデアを14個のパネルで展示。

「Z世代」とは、ここでは、生まれたときからインターネットが当たり前にあり、物心ついたときにはソーシャルに触れ、多様な価値観を理解している世代による、新しい時代感を指しています。

“多様性と自分らしさ”という現代的な価値観から沢山の正解や可能性が生まれるなかで、今の当たり前を見直して、未来に向けて社会を前に進めるための課題を可視化した9月26日のセコムオープンラボ。今回はそこで出た、課題を解決する14個のアイデアについて、来場者に最も共感するものにシールを貼ってもらう形の、世代別の投票を行いました。

投票した参加者たちは、「このようなアイデアがあったら面白い」「ぜひ、実現してほしい」「面白い企画ですね」といった話をしながら、各々共感するアイデアを選択。20代以下の参加者と、30代以上の参加者で分けて投票を行った結果、世代により投票の傾向や最多票のアイデアも異なり、今後の社会を見据える上で新たな気付きも得られました。

まずは20代以下の参加者から最も多く票を得たアイデア(同票2つ)を、ご紹介します。

  • ホログラム技術により、家から出ずに会社・学校に行きコミュニケーションを可能とすることで、通勤・通学時の混雑のない社会を実現するアイデア。
  • メイク・混雑・コミュニケーションなどの日常の煩わしさに対して、距離感を大切にしてパーソナルスペースを可視化した自分仕様の「バリア」を構築するサービス。

続いて30代以上の参加者から最も多く票を得たアイデアについて、ご紹介します。

  • プリンターでその日の気分に応じた「顔」をプリントしその顔で過ごせるようにすることで、メイクの手間をなくしたい、自分の顔を好きなように変えたいという要望を叶えるサービス。

今回、ステージ講演とMeet-upブース併せて200名以上の方にご参加いただきました。参加者による共感の傾向からは、大きく分けると、20代以下の参加者はコミュニケーションコスト(パーソナルスペース、時間など)を事前に強く意識し、30代以上の参加者はコミュニケーションに際して対応に関する手間やコンプレックス等の解消を意識する、という大まかな流れが見られました。

Meet-upブースでアイデアを見て「セコムオープンラボ」の取り組み自体に興味を持つ参加者も多く、異なる視座・価値観を持つ者同士の意見が交差することで、数多くのアイデアが生み出されることへの関心の高さが伺えました。普段何気なく通り過ぎてしまう「あたりまえ」について、改めて考えを巡らせることで可視化された課題感や違和感。そこから生まれたアイデアや世代間での異なる価値観に触れたことで、今回ご参加いただいた皆さまの新しい価値創造につながっていくことを期待しています。

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