開催レポート
第16回:「『#Z世代』と問う、2030年、社会や日常の新しいあたりまえ!」

今回は、「『#Z世代』と問う、2030年、社会や日常の新しいあたりまえ!」をテーマに、産業界の参加者とともに、多様な価値観で次代を彩る大学生/院生も交えながら、世代を超えた未来の価値観をディスカッションさせていただく機会を設定しました。

「Z世代」とは、ここでは、生まれたときからインターネットが当たり前にある世代、物心ついたときにはソーシャルに触れ、多様な価値観を理解している世代による、新しい時代感を指しています。

あらゆる発信が「いいね」で評価される時代、自由な働き方でオンとオフが曖昧になっていく時代、エモさやエシカル消費などストーリーへの共感で選択する時代。特に、“多様性と自分らしさ”という現代的な価値観から沢山の正解や可能性が生まれるなかで、今の当たり前を見直して、未来に向けて社会を前に進めるための課題を可視化することが目的です。

まずはアイスブレイクを通じてチームビルディングを行った後、世代や背景、価値観や視点が異なる多種多様な参加者によって、それぞれに異なる想いや感性を交換しながら、少し先の未来、2030年での「新しいあたりまえ」についてワークショップを展開しました。

ワークショップでは、世代ごとに異なる価値観のギャップを描きながら、今現在あたりまえだと感じているもの・ことに対して各参加者が感じている不快や不便さについて議論が進みました。それぞれの視座からディスカッションを行い、2030年に出てくるであろう課題やその解決策についてアイデアを出し合い可視化する場として、盛会な開催となりました。

開催日時

2019年9月26日(木)

総合ファシリテーター

  • 沙魚川 久史

    セコムオープンラボ総合ファシリテーター。東京理科大学 総合研究院 客員准教授、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。
    セコムにてオープンイノベーションチームを率いる。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同院イノベーション研究科修了。専門領域はサービスサイエンス・技術経営・知財マネジメントで、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進している。

当日の模様

社会が成熟して“多様性と自分らしさ”が集まる時代の中で、未来への流れをどう読むかはますます複雑さを増しています。そこで今回は、「『#Z世代』と問う、2030年、社会や日常の新しいあたりまえ!」と題して、Z世代となる、大学・大学院からの参加者約50名と、さまざまな企業の企画部門約50名とともにアイデアディスカッションを開催しました。

「Z世代」とは、一般的には1995-2010に生まれた世代とも言われていますが、ここでは、生まれたときからインターネットが当たり前にある世代、物心ついたときにはソーシャルに触れ、多様な価値観を理解している世代による、新しいカルチャー・時代感を指しています。

あらゆる発信が「いいね」で評価される時代、自由な働き方でオンとオフが曖昧になっていく時代、エモさやエシカル消費などストーリーへの共感で選択する時代。特に、“多様性と自分らしさ”という現代的な価値観から沢山の正解や可能性が生まれるなかで、今の当たり前を見直して、未来に向けて社会を前に進めるための課題を可視化することが目的です。

また、企業からの参加者には紺色のSECOM Tシャツを配布し、カジュアルに開催しました。

冒頭、イントロダクションでは、背景・視点の異なる者同士の対話を通じた知の探索を重視した「セコムの“共想”」とこのセコムオープンラボの狙い、こうした共想で進んでいる「バーチャル警備システム」をはじめとした様々な価値検証と社会実装のケースや、今までのセコムオープンラボを経て蓄積された議論の知識還流について、フロアにインプット。そして、「Z世代」を巡る幾つかの切り口と、今回のテーマに込めた背景について共有しながら、展望する議論のトーンを整えていきました。

今回は、アイスブレイクとして、幅広い世代が集うチームビルディングのために世代の異なる参加者が相互理解を深めるゲームを実施。企業人と学生世代の間のライフスタイルや価値観の違いを可視化しながらグループ内の交流を深め、チームビルディングを進めました。

続くワークショップでは、42団体約100名の参加者が、14グループに分かれてそれぞれの視座からディスカッション。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、少し先の時代観のなかで変えていくべき「あたりまえ」について、様々な専門性により議論が展開されました。あたりまえと思っていた不便や不快、課題をもとに新しい時代に必要となりそうなアイデアをそれぞれ提案しました。

ワークショップの前半戦は、今現在の「あたりまえ」に纏わる課題探索の時間帯です。日常の生活であたりまえに感じているもの・行っていることについて改めて考え、そこから感じる不便さや不快なこと、課題についてそれぞれの主観や想いといった視点から課題を掘り下げ、発散させながら議論を進めます。

異なる視点もある、今まで当たり前と思っていた価値観。そのなかで、未来にむけて顕在化しそうな新しい不安を、さまざまな背景・世代の参加者との議論の中で出していくことで、日ごろ感じるもやもや感などの非言語的メッセージを、多彩な切り口から可視化していきました。

今回の軽食には、テーマである「2030年」というキーワードから「フューチャーフード」をコンセプトに、ヘルシー・オーガニック・ビーガンといったサステナブル性で用意したお弁当やサンドイッチ、バーガー、そして集まる参加者の幅広い世代感と専門性を反映して、「多様性」を感じるさまざまなデザインのミルクボトル飲料もご用意。それぞれの好みで思い思いに手に取りながら、多様な価値観と世代間のギャップを五感で体験することでコミュニケーションが進む場を演出しました。

コーヒーブレイクタイムには、参加者が大きく移動して他グループと交流し、更なる多様性を取り込みながら、他の議論を自分達の議論にフィードバックするマッシュアップを進めました。

コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半で各々見出した不便さや課題感を参考にしながら、グループ毎に描く、既存の価値観を飛び越えた、これからの時代にふさわしいアイデアを提案。今までの「あたりまえ」を覆し新たな価値を生み出すサービスや、今現在多くの人が抱える不満を解消する仕組みなど、価値観や課題、その裏にあるそれぞれの想いを紐解きながら、よりよい未来の社会に繋がるアイデアに議論が展開されました。

ここで出てきた、幾つかの興味深いアイデアを、簡単にですがご紹介します。

  • ホログラム技術により、家から出ずに会社・学校に行きコミュニケーションを可能とすることで、通勤・通学時の混雑のない社会を実現するアイデア。
  • ジェネレーションギャップなどによるコミュニケーションの取りづらさを解消する為、相手の思考や文化、世代のズレを考慮して自分が分かる言葉に変えて伝えてくれる翻訳ツール。
  • メイク・混雑・コミュニケーションなどの日常の煩わしさに対して、距離感を大切にしてパーソナルスペースを可視化した自分仕様の「バリア」を構築するサービス。
  • 通勤・通学時やランチ時など、人の動きが集中して不快な思いをする混雑に対して、一人ひとりの生活時間をずらすことで、「混雑」「待ち」のない暮らしを提供するアイデア。
  • 洗濯が面倒と感じている人へ、衣類を一週間ごとにまとめて届けてくれるサービス。衣類はリサイクルが可能で環境にも優しく、コーディネートの悩みも解消。
  • プリンターでその日の気分に応じた「顔」をプリントしその顔で過ごせるようにすることで、メイクの手間をなくしたい、自分の顔を好きなように変えたいという要望を叶えるサービス。

ワークショップ後には、大判のアイデア整理シートに各テーブル内での議論と提案アイデアをまとめ、その成果を発表して参加者全員でシェア。

参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたグループのメンバーには、それぞれに「セコムの食」を副賞としてお贈りしました。

今回のセコムオープンラボは、普段何気なく通り過ぎてしまう「あたりまえ」について、改めて考えを巡らせることで課題感や違和感などの非言語化メッセージを可視化しました。そしてさまざまな視点を持つ参加者同士でその課題感を共有することで、対話を深めていきました。全く異なる視座・価値観を持つ者同士の意見が交差することで、数多くの興味深いアイデアが次々と生み出され、参加者間で多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。

ここで議論されたアイデアや、多種多様な視座からの未来像や課題感は、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視点から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。この場を起点に、みなさまの想いが更に高まり、新たな創発が起きていくことを期待しています。

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