開催レポート
第8回:未来都市でのくらしと、まだ見ぬANSHIN

今回は「都市」に着目し、一周年特別回として創造と対話の場を設定。「未来都市でのくらしと、まだ見ぬANSHIN」をテーマに、70人超の企業参加者とともに、規模を拡大してアイデアディスカッションを開催しました。

長期的なトレンドとして、日本全体の推移とは異なり、都市部に関しては人口が流入する局面が当面継続し、過密化が進む傾向があります。今回は、そんな人口集中が進む都市部における未来の暮らし、すなわち、仕事・教育・移動・子育て・買い物といった日常生活を描きながら、現状ではまだ捉えきれていない新しい課題と新しい安心感となりそうな事象(まだ見ぬANSHIN)について、街で暮らす人がより「快適・便利」に過ごすためのアイデアを議論。

話題提供では、渋谷区経営企画部の山﨑善広さんから、渋谷区の事例を基に人口の流入により更なる過密化が予想される街の未来について、参加者へのインプットをいただきました。
これを踏まえて、続くワークショップでは、分野・業界を越えた多様な参加者がそれぞれの視座から、「未来都市での暮らしにおいてどんな課題が予想されるか/どんな都市になって欲しいか」「過密化する都市でより安全・便利・快適な生活を送るために、どんなソリューションが必要か」などについて意見を出し合い、未来の都市部における新しい課題や、そのときに求められるだろう新しい安心感を生むプロダクトやサービスについての議論が交わされました。
都市の未来像やその中で出てくる課題を解決するためのソリューションについて考えることで、新たな発見や気づきを得る場として盛会に開催することができました。

開催日時

9月19日(火) 17:00〜 20:00

話題提供者

  • 渋谷区経営企画部 基本構想推進担当課長
    山﨑 善広

    1984年4月 渋谷区入区。
    管理職昇任後は、特別養護老人ホームの施設長や高齢者サービス課長など、区の高齢者福祉を中心に担当し、都市整備部環境保全課長、教育委員会学務課長などを務める。
    2015年に20年ぶりに渋谷区が基本構想を改定することとなり、担当課長として基本構想等審議会を設置・運営するなど、基本構想の策定に携わる。
    現在は、策定した基本構想のビジョンを区民のみならず、来街者や企業などにも浸透させるキャンペーンを推進している。

  • 総合ファシリテーター
    沙魚川 久史

    セコムオープンラボ総合ファシリテーター。東京理科大学 客員准教授、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。
    セコムの研究開発部門を経てセコム科学技術振興財団事業部長として研究助成プログラムを推進した後、セコム本社企画部主任にてセコムのオープンイノベーションを推進。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院総合科学技術経営研究科修了、東京理科大学大学院イノベーション研究科修了。専門領域は技術経営で、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながらサービス創造の視座より産学官の連携を推進している。近著は「Changes in Business Fields and Technological Fields along with the Advancement of IoT」(特許庁・みずほ情報総研,2017年)。

当日の模様

今回は1周年特別回として、「未来都市でのくらしと、まだ見ぬANSHIN」をテーマに、規模を拡大してアイデアディスカッションを開催しました。長期的なトレンドとして、都市部では人口が流入する局面が当面継続し、過密化が進む傾向があります。都市の課題に着目し、70人超の参加者とともに、過密化が進む都市部において今後顕在化してきそうな課題を考え、それを解決するための未来のプロダクトやサービスを探索することが目的です。現状では顕在化しておらず“安心感”として捉えきれないアイデアも含めて議論すべく「まだ見ぬANSHIN」と表現しました。

また、今回のセコムオープンラボは、11月16日(木)に開催するシンポジウムイベント「Co-Creation“共想”フォーラム」のプレイベントとなります。今回のセコムオープンラボで「優秀共感賞」として表彰される4グループのアイデアを、11月の「Co-Creation“共想”フォーラム」の場で紹介して、当日のフォーラム参加者で大投票会を実施します。今回は「Co-Creation“共想”フォーラム」の前夜祭として、“創造と対話の場”を更に盛り上げることも狙いの一つです。
冒頭、セコムの執行役員企画部長 植松則行より開催宣言があり、賑やかにワークショップがスタートしました。イントロダクションでは、セコムから、セコムオープンラボで出てきている成果やオープンイノベーション活動、セコムが2030年に向けて目指す「セコムグループ2030年ビジョン」についてご案内。セコムが共感を重視して、想いを共にするパートナーと一緒に取り組むための「“共想”戦略」を掲げていることや、セコムオープンラボも“共想”の場つくりの一つであることをご案内しました。
その後、「未来都市でのくらしと、まだ見ぬANSHIN」というテーマにあわせて、渋谷区経営企画部の山﨑 善広さんに、都市の未来像について話題提供を行っていただきました。渋谷区とセコムは2016年8月に「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を締結しており、地域的なご縁があります。
山﨑さんからの話題提供では、渋谷区の統計的な推移と展望などが説明され、あわせて、渋谷区が今年策定した「渋谷区基本構想」についてご紹介がありました。未来像を「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」として定め、成熟した国際都市へと進化するための大切な価値観として「ダイバーシティ×インクルージョン」と「共助×サステナビリティ」を掲げていること、さらにその取り組みについてインプットをいただきました。
続くワークショップでは、48団体77名の参加者が、12グループに分かれてワークを開始。ワークショップでは、ワークタイムを細かく区切り、題目を変えながら、人口集中が進む都市部における未来の暮らし、すなわち、仕事・教育・移動・子育て・買い物といった日常生活について、現状ではまだ捉えきれていない新しい課題と安心感についてアイデアを議論します。
ワークの前半戦は、都市における社会やサービスの未来とそこでの課題、目指したい未来像などを挙げながらディスカッションを行いました。
また、今回は「未来都市」に焦点を当てているということもあり、軽食の一つとして「都市」をイメージしたケーキポップのジオラマをご用意。草木、木々、ビル群、青空、星空が描かれた色とりどりのケーキポップが、参加者の想像を刺激しながら、文字通り華やかな場を演出しました。
コーヒーブレイクタイムを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半のワークで出てきた課題を踏まえ、グループごとに「“まだ見ぬANSHIN”を生み出す解決アイデア(未来都市における新しい不安を解消するプロダクトやサービス)」の探索を行いました。前半の議論や他チームの課題感・未来像を参考にしながら、それぞれの視点から未来の社会に求められるアイデアを生み出しました。
ここで出てきた、幾つかの興味深いアイデアを(名前だけですが)ご紹介します。
  • 都市によっては敷地の2割近くを占有している「道路」という平面空間を有効活用するため、時間ごとに道路敷地の用途が自動的に変わる仕組みを実現して空間が生み出す価値を最大化する「4次元歩行者天国」
  • 都市の真ん中で農業/酪農をする環境を作り、都市に集まる多様な人たちに共通のふるさと体験をもたらし、多様な人々が携わる仕組みを作る「ふるさと2.0を創る街」
  • 機械化・無人化が進む中で温もりを感じる機会を増やすために、良い行動をとった人に時限的な仮想通貨を付与する仮想経済圏を構築し、温もりのある行動と消費を促す「サイバー温もり空間」
  • 経年により変わる暮らしのニーズに応じて、その時々で最適な居住エリアをマッチングするシステムと、住まいの箱やその外部インターフェースに汎用モジュールを採用して、転居の際に住まい丸ごと移設する仕組みを作る「街のモジュール化」
  • 様々な働き方が生まれて職住分離が進むなかで、仕事から離れた住まいの自由化を進めて、趣味や価値観が共通する人たちだけが集うギルド的なカルチャー特化型で個性ある街を各地に作っていく「カルチャーギルドタウン」
  • 日常のルーティンワークは自らの分身ロボット(遠隔対話/操作型とAI駆動自律型とのハイブリッド)を介して行い、人間は多様な人々が集い対話する場で大半の時間を過ごして、クリエイティブの醸成とセレンディピティの確保を促進する「分身ロボットソリューション」
最後に、各テーブルでの議論の成果を発表して参加者にシェアし、全員で投票。投票の結果、高く評価された4グループを「優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたグループのメンバーには、それぞれに「セコムの食」を副賞としてお贈りしました。
今回「優秀共感賞」選ばれた4グループのアイデアは、今後事務局にてブラッシュアップしてイラスト化を進め、11月16日(木)の「Co-Creation“共想”フォーラム」にて紹介予定です。あわせて、「Co-Creation“共想”フォーラム」では、当時のご来場いただいた方々による大投票会を実施して、この4グループのアイデアの中から「最優秀共感賞」を決定する予定です。
今回のセコムオープンラボは、1周年特別回として規模を拡大し、「Co-Creation“共想”フォーラム」につながるプレイベントとして開催いたしました。未来に向けて、多様な視座の皆様と大勢でディスカッションを進めたことで、興味深いアイデアが次々と生まれて大きな学びの場となりました。ここで出たアイデアは、参加した皆様それぞれが持ち帰り、新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。
今回で8回目となったセコムオープンラボ。“創造と対話の場”として毎回多くの気づきと交流が生まれています。今回もたいへんな盛会となり、11月に行われる「Co-Creation“共想”フォーラム」に向けて期待高まるアウトプットが出来ました。

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