医療情報サテライト

Vol.18 内視鏡検査とは? 第2回(全3回)

監修/伊藤慎芳先生
内視鏡による諸検査について


~胃内視鏡は胃カメラとは違うのですか?~
本来は異なるものですが、現在は両者があまり厳密に区別されずに用いられているようです。歴史的には、1950年に小型のカメラを胃内にいれて遠隔操作でフィルム撮影する検査が始められました。

画像を見ながら撮影することはできませんでしたが、胃内を観察する検査法として普及し、「胃カメラ」という名称が定着しました。この時代は、検査後にフィルムを現像してはじめて様子がわかるという不便さがありました。機器が進歩し、1980年代には胃内の画像をガラスファイバーで検査医の手元に送り、これを見ながら検査する「ファイバースコープ(内視鏡)」が一般的になりました。

さらに1990年代に、固体撮像素子により画像を電気信号に変えて送る「電子内視鏡」が発達し、現在の検査の主流となっています。したがって、現在の胃の検査機器の名称としては「胃カメラ」より「胃内視鏡」が正しいことになりますが、広く普及した「胃カメラ」という名称をそのまま使っている医師もいるようです。

~どういうときに上部消化管内視鏡が必要ですか?~
上部消化管内視鏡は、食道、胃、十二指腸の病気が疑われるような場合、あるいは、胃癌の検診のために、行われています。直接、食道、胃、十二指腸の内腔を観察し、必要なら病気の部位の組織採取もできるため、診断上きわめて有用です。この検査で診断される病気としては、食道炎、食道癌、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃癌、十二指腸潰瘍などがあります。

さらに、消化管出血の止血、胃ポリープの切除、胃癌の治療、誤飲した異物の除去などに用いられることもあり、いろいろな治療分野で応用されています。

~胃癌検診では、レントゲン検査と内視鏡のどちらがよいのでしょうか?~
レントゲンと内視鏡の長所・短所をまとめると、下のようになります。それぞれ、長所があり、胃のレントゲン検査も有用なことが多いため、胃を切除する手術を受けるようなときには、両方の検査が必要になります。しかし、小さな病変を内視鏡で治療するときなどでは、省略されることも多くなりました。

 

  レントゲン検査 内視鏡検査

長所
バリウムを飲用してレントゲン撮影する方法は、誰もが受けやすい検査である
胃の全体像や病変の大きさ、位置関係がわかりやすい
比較的小さな病変や色調の変化を見分けることが可能で、診断能に優れている
病変の組織採取ができるため、診断確定につながる
レントゲン被爆がない
治療的な処置もできる
×
短所
診断確定には内視鏡検査が必要である
レントゲンの被爆がある
便秘がちの方はバリウムが排出しにくくなることがあり、下剤が必要となる
内視鏡をのみ込むことに抵抗感や苦痛を訴えられる場合がある(個人差あり)
このため、検査の苦痛を取り除く鎮静剤が必要となることがある

 


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