医療情報サテライト

Vol.1 乳がんについて


乳癌は、その異常を本人が気付くことの出来る臓器の中でも、一番便利なものです。
それに早い時期、早期癌のうちに見付けられます。しこりのある、なしは触ってみればすぐ分かります。
乳腺症のある女性は「触ってもゴリゴリしていて、良く分かりません」と言って自己検診をいやがります。
しかし、定期的に触ることにより、そのゴリゴリの間に、今までとは違うものを触るかもしれません。たまに触ったのでは気付かないでしょう。

いつもと違う感じがしたら外科を受診して下さい。女性の病気だということで婦人科を受診する人がいますが、日本全国で乳癌を手がけている婦人科医はわずかでしょう。
こうした自己検診は月経後に行い、2~3ヶ月ごとに触ってみることが重要です。
「2年前に触ってみたが、その時にはしこりがなかったのに・・」ということでは、せっかく自己検診を始めた意味がなくなってしまいます。それどころか、むしろ危険でさえあります。
なにか気になるものが見つかったり、自己検診できなかったり、乳癌がどうしても心配だという人は、外科を受診して下さい。
その外科医がはっきり診断できなければ、乳癌専門医を紹介してもらうのが良いでしょう。


椅子に座って、乳房の上半分を上から下へなでるようにして触って下さい。
なるべく右の乳房は左手で、左の乳房は右手で触ります。つまむとしこりがはっきりしなくなるので、胸壁に押し付けるように、触る力は控えめにして下さい。
大きなしこりは強く押してもわかりますが、1㎝以下あるいは0.5㎝以下の小さなしこりは、力を入れすぎると上手に触れないので、注意してください。

次は仰向けに寝てください。
座ったまま乳房全体を触って検診をすませてはいけません。寝た位置で触ることが最も重要なポイントです。
座ったままよりしこりが見付けやすくなるからです。
仰向けに寝てまず乳房の内側半分を触ります。
右の乳房は右手で、左の乳房は左手で乳首に向かうように触ってください。
反対側の手で乳首に向かうように触ると逆になでることになり、指先の感覚を十分に活かすことができません。

次に寝たままで腕を頭の上に上げ、乳房の下半分を触ります。
右腕を上げたときは、左手で右乳房を下から上へ乳首に向かって触ります。

最後に、腕を頭の上に置いたまま横を向いて寝て下さい。
そうすると片方の乳房が内側に垂れ外側半分が触りやすくなるので、乳癌の発生しやすい場所を上手に触ることができます。
このときも反対側の手で、乳首に向かうように触ります。

乳がんについて
乳癌とは何か?、乳癌の予防法
乳癌の自己検診
乳癌の診断、乳癌の治療
高須 良雄(たかす よしお)先生プロフィール