
第426回 性的ディープフェイク被害と対策
SNSに投稿した写真が、勝手に性的な画像や動画に「加工」され、拡散される。AI技術の悪用によって、そんな深刻な被害が現実に起きています。
「まさか自分が」と思いがちですが、誰にでも起こりうる時代です。
特に顔写真をネットに公開している女性がターゲットになりやすく、知らないうちに名誉やプライバシーを傷つけられるケースが増えています。
性的ディープフェイク被害の実態やSNS投稿のリスク、被害にあったときの対応方法について、知っておきたいポイントをまとめます。
拡大する「性的ディープフェイク」被害の実態
SNSやネットに公開された写真が、ポルノ風の画像や動画に加工される「性的ディープフェイク」の被害が急速に広がっています。
AI技術の進歩により、画像の一部を加工したり、顔を差し替えたりする高度な合成が簡単にできるようになりました。
特に女性を対象としたケースが多く、本人が知らないうちに性的なコンテンツとして流出・拡散されるなど、精神的苦痛や社会的な不利益を受ける深刻な被害が出ています。
精巧につくられた性的ディープフェイクは、偽物かどうかを見極めるのが困難。
一度ネットに拡散されると削除が難しく、被害は深刻です。
SNSや卒業アルバムも危ない?悪用される写真
性的ディープフェイク被害の多くは、本人がネット上に公開した画像が「素材」として使われています。
SNSのプロフィール写真、自撮り、旅行のスナップなど、顔がある写真であれば加工に使用される可能性を否定できません。「知り合いだけに見せているつもり」でも、画像の保存・拡散はたやすいものです。
さらに最近、卒業アルバムなどの画像が無断使用されたケースが確認されました。
中学・高校の集合写真や個人写真がデジタル化され、誰かがネット上に掲載してしまうと、本人の知らないところで「顔写真データベース」として使われるリスクが高まるのです。
友達が撮影した写真など、自分の管理外にある写真も悪用される可能性があります。
完全に防ぐのは難しい面がありますが、SNSなどに自ら顔を公開することのリスクについては意識しておきたいところです。
またSNS上で知り合った相手に画像を送る行為もトラブルのきっかけになりかねません。
どんなに親しげであっても警戒は必要です。
相手に送った画像や動画が性的ディープフェイクに悪用され、「ばらまく」などと脅される被害例もあります。
「インターネット上で知り合った相手がどんな人物かはわからない」というネットの特性を、常に忘れないようにしたいですね。
性的ディープフェイク被害にあったら冷静に行動を
性的ディープフェイク被害は、発見が遅れると拡散範囲が広がってしまうため、気づいた時点で速やかに対応することが大切です。
また、加害者に対して直接連絡を取ったり、SNSで拡散し返したりすると、逆に脅迫や二次被害に発展する可能性もあります。
以下のような対応を覚えておきましょう。
・証拠を残す
該当する投稿画面や動画のスクリーンショットを取り、投稿のURL、日時、アカウント名などを記録しておきましょう。
・投稿者に直接連絡しない
挑発や脅しにつながることもあるため、加害者との直接的な接触は、絶対に避けてください。
・SNSやサイトの運営会社に通報、削除依頼
ほとんどのSNSや動画サイトには「違反報告機能」があります。
冷静になって通報、削除依頼を出しましょう。
・公的な相談窓口を利用する
「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)」では、専門スタッフが相談に応じてくれます。警察への届け出や法的措置もアドバイスしてもらえます。
悩んだらまず電話番号#8891(「はやくワンストップ」と覚えるそうです)に相談しましょう。
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被害にあったら、ひとりで抱え込まず誰かに相談してください。
信頼できる支援機関があります。心の支えになります。
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