防災・防火 2022年08月17日

第361回 自宅周辺が浸水したらどう避難する?「ハザードマップ」を見ながら歩いてみた!

「記録的な大雨」の発生回数が増えています。
気象庁によれば、大雨日数の増加傾向が見られるそうです。河川から距離がある市街地などでも浸水に見舞われることがあり、すべての人に浸水リスクがあると言っても過言ではありません。
もし自宅周辺や勤務地などが浸水したら、どのように避難するかご存じでしょうか。
今回は、洪水ハザードマップを見ながら、セコム本社周辺を歩く「防災ウォーキング」を実施しました。
ぜひ浸水時の備えの参考にしてください。

2022.08.17更新

「記録的な大雨」の発生回数が増えています。
気象庁によれば、大雨日数の増加傾向が見られるそうです。河川から距離がある市街地などでも浸水に見舞われることがあり、すべての人に浸水リスクがあると言っても過言ではありません。
もし自宅周辺や勤務地などが浸水したら、どのように避難するかご存じでしょうか。
今回は、洪水ハザードマップを見ながら、セコム本社周辺を歩く「防災ウォーキング」を実施しました。
ぜひ浸水時の備えの参考にしてください。

ハザードマップを片手にJR原宿駅まで歩いてみた!

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今回は、セコム本社から最寄りのJR原宿駅までのルートで防災ウォーキングをおこないました。
洪水ハザードマップを見ると、浸水する可能性がある場所が水深ごとにわかりやすく色分けして示してあります。
JR原宿駅には2つの改札があります。近い改札に向かう浸水の可能性が高いルートと、遠い改札に向かう浸水の可能性が低いルートを選び、防災ウォーキングに出発です。

まずは、浸水の可能性が高いルート。
セコム本社から竹下通りを通ってJR原宿駅方面に向かいます。(地図中の赤い点線のルート)
このルートは洪水ハザードマップでは、最大水深が0.5mに達する場所があることがわかります。

もう一方、浸水の可能性が低いルート。
セコム本社から表参道を経由して明治神宮方面に向かいました。(地図中の青い点線のルート)

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「渋谷区洪水ハザードマップ」を抜粋、加工しています。

画像竹下通りに立ち、浸水の可能性がある場所から周囲を見ると道の勾配や、土地の高低差がわかります。
「大雨が降ったら、こっちから水が流れ込んでくるんだな」「このあたりに水が溜まりそう」などと、洪水ハザードマップにある色分けの理由がわかります。
浸水の可能性が低い明治神宮側からJR原宿駅や竹下通り方面を見ると水が流れ下る様子が想像できます。

防災ウォーキングを通じて、自分のよく知るエリアにどのような災害リスクがあるのか、浸水するほどの大雨に見舞われたら、どのルートを通って避難すれば良いかなど、イメージトレーニングができました。

【洪水ハザードマップとは?】
洪水ハザードマップとは、地域の水害リスクと水害時の避難先などを表示した防災用の地図のこと。河川の整備状況や洪水調整施設等を勘案したうえで、想定最大規模の大雨が降った場合の洪水被害予想が示されています。

ハザードマップは、洪水、土砂災害、津波、火山などのリスクを想定してさまざまなタイプが用意されており、国土交通省や各市区町村のウェブサイトからダウンロード可能です。
「●●(自治体名) ハザードマップ」で検索して、自宅や勤務先、学校周辺のハザードマップを入手しておくことをおすすめします。

ハザードマップを見ながら歩いたからこその「気づきポイント」

洪水ハザードマップを手に歩く「防災ウォーキング」を終えて気づいた、防災スキルアップに役立ちそうなポイントをまとめます。

【気づきポイント1】歩いてはじめてわかる「街の高低差」
画像 洪水ハザードマップを手に歩くと、街には高低差があることがわかります。
水は、高いところから低いところに流れるもの。「浸水リスクが高い場所」が点在しているということです。
よく行く場所や、よく通る道の高低差を観察すると、どちらの方向に避難すれば良いかの目安になります。



【気づきポイント2】わずかな差で大きく異なる「浸水リスク」
原宿エリアで深刻な浸水被害が予想される「旧渋谷川遊歩道路」にも足を運んでみました。 渋谷川の暗渠(あんきょ)の上につくられたこの道。
周辺道路よりも低く、浸水リスクがあることがわかります。
しかし「旧渋谷川遊歩道路」からわずかに場所を移るだけで浸水を避けて避難することが可能です。
避難行動に備えて、「危険な区域」とその周辺の「安全な道」を把握しておくことが非常に大切だと思います。

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「渋谷区洪水ハザードマップ」の一部を抜粋、加工しています。

【気づきポイント3】街はマンホールだらけ!
都市型の内水氾濫では、マンホールのふたが外れる危険が指摘されています。
過去、避難時にふたが外れたマンホールに転落する事故が起きました。
防災ウォーキングで地面を観察しながら歩いてみると、どこの道にも驚くほどマンホールがたくさん!
すべてのマンホールの場所を把握するのは不可能ですので、避難勧告が出たら浸水がはじまる前に早めに避難することが大切だと思いました。
浸水後に避難するなら、なるべく明るい時間のうちに、足元を傘などの長い棒で探りながら歩くことがポイント。このような防災知識も、覚えておいて損はありません。

【気づきポイント4】スマホの地図アプリも必須!
ハザードマップの地図だけだと、自分がいる場所がどこなのかわからなくなることが何度かありました。ハザードマップだけではなく、位置情報が表示される地図アプリがあると便利です。
ハザードマップと照らしあわせながら歩きましょう。
実際に避難する際にも、地図アプリを併用したほうがスムーズに行動できそうです。

ハザードマップを見ながら歩いてみよう!

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今回の防災ウォーキングでは、重要な気づきがたくさんありました。
日常生活の中では無意識のうちに見落としてしまうことがたくさんあるものです。
これでは、本当に災害が発生したときに、安全な防災行動がとれないかもしれません。

ぜひご自宅の周辺や、勤務先、通っている学校などのエリアで、ハザードマップを手に入れて防災ウォーキングにチャレンジしてみてください!

<チェックしたいポイント>
□ 自宅や職場、実家、よく行く場所などがある場所の浸水深
□ 大きな被害が予想される場所(浸水深が深い場所)
□ 避難先の位置(地震の避難所・避難場所と異なる場合があります)
□ 避難経路、アンダーパス
□ 公衆電話や災害対応自販機などの位置
□ 家族との待ち合わせにふさわしい場所

* * * * * * * * *

アスファルトやコンクリート舗装の道は、土のような吸水力がないため、側溝に雨水が流れ込んで排水する仕組みになっています。しかし、側溝にゴミや落ち葉などが落ちていると、水の流れがせき止められて道路冠水の原因になってしまうことがあるそうです。

ご自宅の前の側溝を確認して、ふたの部分にゴミなどが詰まっていたら取り除くようにしましょう。側溝の内側にゴミがたまっていて届かないなど「自助」で対処するのが難しい場合は、お住まいの市区町村に相談してみてくださいね。

【あわせて読みたい!関連コラム】
大雨、洪水、浸水...住んでいる町で発生したら?ハザードマップで確認し対策を~水害編~
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